デート?
今日は休日だからゆっくり出来ると思ってたのにな……。
「何でいるんだよ?」
「お兄ちゃん成分吸収してるんだ。えへへ」
そういってはにかみながら笑っているのは、俺の妹である一ノ瀬優香。
今は髪を下ろしているが、普段はそのさらさらヘアーを後ろで括っている、元気の一言が似合う中学3年だ。
優香も身内ってことを差し引いてもかなりの美少女だと思う。
後、かなりのブラコンである。
他の兄妹は、今の時期になるとかなり仲が険悪になると言っていたのにな……。
「で? 今日は何か用があったんじゃないのか?」
「あっそうそう。今日私と一緒に買い物に行ってもらうからね」
「俺に拒否権はないのか……?」
「ないよ。だってお兄ちゃんは将来私と結婚するもんねー」
「兄弟で結婚はできないぞ」
「だいじょーぶ! 愛さえあれば法律なんか乗り越えられる!」
こんなことを言ってニッシッシと笑っているけど、割と冗談だとは思えないんだよな
俺が中学2年の時に彼女が出来たと妹に報告したらガチで大泣きされたしな……
あの時は妹のご機嫌取りに走るために元カノには迷惑かけちゃったしな
申し訳ないことしたなー。
このことを元カノに話してみたら、
「兄想いの良い妹さんね」
と苦笑いされたしな。
まぁこんなことがあったかなりのブラコンな妹だが、いずれ彼氏の一人や二人出来たら変わると思ってる。というか変わらないとやばいと思う。
「分かったから、どいてくれ。朝飯食わないといけないだろう」
「えぇーいーやーだ。じゃあお兄ちゃん抱っこしてよー」
「ハイハイ、わかったから。自分の足で歩け」
駄々をこねる妹を放っておき、リビングに向かう
「ちぇー。お兄ちゃんのけち!」
後ろから声が聞こえるが気にしてはいけない。
ここで構ってしまうと話が進まなくなってしまうからな。
リビングの扉を開けると、お腹をすかせるいいにおいが充満していた。
ちなみに優香の家事スキルは上限突破していると思う。
なんでもお兄ちゃんのお嫁さんになるためにマスターしたらしい。
その努力は俺のためじゃなくて、ほかの人のためにしてほしかった感はあるが仕方ない。
「今日も朝ごはんを作ってくれたのか」
「えらいでしょー。だからね?」
「ハイハイ、わかった。えらい、えらい」
という風に何かするたびに、頭撫で撫でを要求される。
まぁ優香もこんなことでも喜んでくれるので、俺も嬉しかったりする。
「ごちそうさま」
「お粗末様でした」
「じゃあ今から準備してくるから」
そういってリビングを後にする。
自分の部屋に戻っていつも通りの服に着替えて、玄関で優香を待つ。
ちなみにいつもの服はジーパンに白いパーカーという無難恰好であると思っている。
ダサくはないよな?自分では普通だと思っているんだが……。
そんなこと考えながら待つこと10分程度。
女の子にはいろいろ準備に時間がかかるっていうことを知っているので、待つこと自体はそんなに苦ではない。
「お待たせ~どう? 似合ってる?」
「うん、似合ってるよ」
そんなこと言いながら出てきた優香を見る。
女子の服はあんまり詳しくないからわからないが、よく似合ってると思う。
それにしても何きても似合うよな~優香は。
中学3年生にしては出るとこ出てるし、最近大人の女性らしさが増してきた気がする。
「何じろじろ見てんの。別にお兄ちゃんになら見られても良いけど」
なんて言いながら胸の前で腕をクロスさせ、頭を振っている優香。
「何言ってんだよ。ただ優香は何きても似合うよなと思っただけだよ」
「えっそれって……告白?」
「違うから、そんなことよりさっさと行くよ」
「もーうお兄ちゃんはせっかちなんだから!」
玄関を出て外に出ると、優香が腕を組んでくるが気にはしない。
いつものことなので。
そしてその駅から5駅ほど、時間にして20分ぐらいするとこの辺りで一番大きい駅に着く。
そこで降りて最初に向かうのはどうやら映画館らしい。
「あれ? 買い物に来たんじゃないのか?」
「その予定だったけど、昔やっていたドラマが映画化されているらしいから、そっちを見に行こうと思って。だめかな?」
そんな目をされると断りにくいよな。
俺もなんだかんだ言って優香には甘いからな。
「おう、全然良いけどチケットとかはあるのか?
「なかったらあきらめる予定だから」
券売機を見ると席はカップル席がしか空いてないんだけど……どうしようか?
とはいっても答えは決まっているんだが……
「優香? カップル席しか空いてないんだけどどうする?」
「もちろん! カップル席に決まっているじゃないですか」
そうして座席の確保が終わったのでポップコーンを頼むことにする。
当然塩味だ。ポップコーンの味は塩こそ王道だと思っているからな。
「おーいポップコーン頼むけど何がいい?」
「私はキャラメルで」
「ふっ、邪道が。塩の良さがわからないなんてな」
「急にキャラどうしたの? っていうかお兄ちゃん甘いものが嫌いなだけじゃん」
「バレてしまってはしょうがない。俺の味覚がな……」
とかなんとか言いながら注文を終わらせる。
「それより上映時間まで時間があるけどトイレにっでも行かなくていいのか?」
「今から行くつもりー。 そう言うお兄ちゃんのほうこそ行かなくていいの? 前回映画行ったときなんか、俺の膀胱は世界一―! とか言ってたのに途中でトイレ行ってたじゃない。しかもいいところで」
「今回は大丈夫だ。多分……」
「それなら良いけど……。途中でトイレに行かないでね? じゃあちょっと行ってきます」
そんなことをしながら時間をつぶしていると、上映時間まであと15分となったので指定されたシアターに向かう。
指定されたシアターにつくと自分が確保した席を探す。
まぁカップル席はそんなに座席数がないためすぐに見つかったが。
カップル席ってどんな感じのものなのかな?と思っていたけど、そんなに悪くもないな。
二人分のシートの間を仕切る肘置きが外されていてゆったりできるし、前に机が置いてあるからポップコーンやジュースも置きやすいしな。
優香がいなければの話だが……。
「おい、ちょっと近すぎじゃないか。少し暑いんだけど」
「えぇ良いじゃない。せっかくこういう席なんだからさー」
「へいへい、しょうがないな。ただ暑さが限界を迎えたら離れてもらうからな」
「ありがとー。お兄ちゃん優しいー」
はぁー、やっぱり俺甘いよな……優香に対して。
というか後ろの席の女の集団うるさくないか?まだ始まってもないのに悲鳴とか聞こえるんだけど……。
「いやー面白かった~。今からどこか行きたいとこでもある?」
「腹減ったから飯でも行く? 何か食べたいものでもあるか?」
「いや特にないからファミレスでいいんじゃない?」
「おけ」
映画の感想を話しながら目当てのファミレスに向かう。
それにしても今日は人通りが多いな。あんまり人が多いのは好きじゃないからな……
そうしてファミレスで飯を食った後に今日の本来の目的である買い物をするらしい。
その後優香が服を見に行きたいと言ったので、服を見に行くことにする。
「お兄ちゃん、これなんかどう?」
「オー似合う似合う」
「ほんと?」
「ホントホント。優香は何着ても似合うからな」
「えへへー」
そう笑いながら、今持ってきた服を全部かごに入れていく優香。
そんなに服を買って全部着るのだろうか不思議だ……。
服を買い終わった後に本屋により本日発売のラノベを購入して帰宅した。
今日は疲れたなー。
帰り道に大量の服たちをもって帰ったからな……。
明日はバイトだから早く寝ないとなー。
ピコン!
どうやらまだ俺を寝かしてはくれないらしい。