上村麗華の回想
あー今日は散々だった。もう最悪だー。
今日はヒロト君にお礼を言おうと思って、朝下駄箱で待っていたら、伊藤君が一緒にいてダメだったなー。
伊藤君って怖いイメージがあってあんまり喋りたくないっていうか何というかな……。
そのせいで朝にお礼を言い損ねっちゃって
そしてその日の学校で話す機会がないかな?と伺っていた時に何回も目線があったしなー。
絶対向こうも私が何回も視線を送っていることに気づいているよね。
「うわーー!」
「麗華うるさい!」
「ごめんなさい」
お母さんに怒られてしまった。
でもそのおかげで落ち着いてきたや。
今日の学校はいつヒロト君に話に行くか悩んでいたせいで、授業で差された時に変な声出ちゃったし!
明日からはきちんと聞かないと!
そんな感じで授業を終えた後、下駄箱でヒロト君にお礼を言うために待っていたんだよねー。
ちなみにこの時はめちゃくちゃドキドキして右往左往してたと思う、そう思うと恥ずかしい!
下駄箱で待っているとすぐにヒロト君はやって来た。
ヒロト君が一人で来ていたため声をかけやすかったのが幸いだった。
そして普段の私のイメージが損なわれないように、深呼吸をして声をかけた。
「あのー一ノ瀬。昨日は急に帰っちゃってごめん。そのー昨日のお礼もかねて今からカフェでも行かない?」
我ながら上手く声をかけれたんじゃないかなと思っている。
「あーそのことは気にしなくてもいいよ。昨日も言ったけど困っている人を見逃せないただの自己満足だから」
ホントに優しいよね、ヒロト君。ただこのままじゃ何もできずに終わってしまうと思って、少しヒロト君のセリフを真似さしてもらった。
「いや、でもそれじゃ私の気が済まないからさ。それに私も受けた恩は返さないと気が済まない質だからさ」
「ごめん、今からバイトだからその話はあとにしてもらっていいかな? あんまり時間もないからさ」
逃げられました。絶対面倒くさいと思われたんだけど……。
これは本当にバイトまでの時間がなくて急いでたってことにしよう。そうじゃないとメンタルが……。
けどヒロト君バイトしてたんだな。
どんなバイトだろう?カフェの店員とかかな。
もしそうだったら絶対リピートするのにな。そしてバイト先で
「上村さんだけは特別だからね」
とか言って、サービスしてくれたりね。えヘへ……。
ピコン!
せっかくたのしい妄想をしてたのにな……
ってヒロト君!?えっなんで?っちょっと待って。そんなの聞いてないんですけど
フーと深呼吸はおっけー。落ち着いてはないけど、何が来たのか確認してみよう
えーっと何々?
「急に連絡ごめん。今日の放課後は急に帰っちゃって」
良かったー。ほんとにバイトが忙しかっただけなんだろうね。
安心したので普通に返信しておこっと。
ってしまったー!普通に返信してしまったので、会話が終わってしまった。
も~最悪だー!何でこんなことになってしまったんだ……トホホ。
そうして落ち込むこと30分。
ピコン!
こんな時に誰だ?私の気持ちは最悪ブルーなのに……。
ってヒロト君だー。
「シャーーー!」
「うるさい! 何回言わすの?」
思わずまた叫んでしまった。
けどまさかこんなことが起きるなんて
「俺のRAINのIDをもらったとか言って人に言ったらダメだからね笑」
どういうことだろう?何か昔トラブルでもあったのかな?
「えぇ何それ?何でそんなことを聞くの?笑」
「実はかくかくしかじかで……」
なるほどねー。やっぱりトラブルがあったんだね、ヒロト君も。
てかやっぱりヒロト君モテるんだな。分かっててもやっぱり嫉妬しちゃうよ……。
ってイケナイ。こんなこと考えてたら自分がどうしようもなくいやな女に見えてきちゃうから……。
「でも上村さんもそんなことがあったんじゃないの?」
「上村さんかわいいからさ」
いっ今ヒロト君が私のことかわいいって言ってなかった。
もう一回見てみよう。うん。嘘じゃないね。
「キャーーー!?」
「うるさーーい!何回言わせんの、ほんとに」
そういって私は嬉しさのあまり気絶してしまった。