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お礼?


「おいヒロト、お前上村となんかあったのか? 先からずっとこっちを見ている気がするんだが」

「いや? なんもしてないと思うぞ。……そういえば昨日上村さんのスマホを一緒に探したからそのことかな」

スマホのロック画面のことについては言わないことにした。

上村さんがそのことについて隠そうとしていた気がしたしな。それに俺もそういった趣味が周りに知られるのが恥ずかしかったしな。今も自分の趣味に関してはあんまり広めていないからな。


そうして上村さんに見つめられること以外は普通な学校が終わり


「なあ、今日の放課後カラオケいかないか? 男子で騒ぐんだが」


俺たちは普段男子たちと遊ぶことにしている。なぜなら俺の周りには俺の苦手な明るい活発系女子がのさばってるから修二たちが気を使ってくれているのだ。

ほんとにいい友達に恵まれたと思うよ、俺は。


「悪い俺も今日はバイトのせいで行けないわ。すまん」

「そういえばそうだったな。それならしかたないな」


今日は駅前の本屋でバイトがあるからな。

 ちなみに俺はライトノベル以外の本も結構読むので、本屋でのバイトは結構楽しかったりする。

 ポップを書いたり、バイト先の本好きの同僚と盛り上がったりなど。

 

 「あのー、一ノ瀬。昨日は急に帰っちゃってごめん。そのー昨日のお礼をしたいから少し時間をもらえない?」


 バイトに向かおうと思って靴を履行こうとすると、上村さんに声をかけられた。


「あー昨日のことは気にしなくてもいいよ。昨日も言ったけど困っている人を見逃せないただの自己満足だから」

「いや、でもそれじゃ私の気が済まないからね。それに私も受けた恩は返さないと気が済まない質だからさ」


 そういって頭を下げる上村さん。

 それに昨日俺が言ったことと似たようなことを言われるとなかなか断りにくいしな。


「ごめん、今からバイトだからその話はあとにしてもらっていいかな? あんまり時間もないからさ」


 一ノ瀬ヒロトは逃げ出した。

 

 こんな時は逃げるに限るからな。

 問題を先延ばしにすることによって、なかったことにさせてもらう。


「うん、わかった。また明日」


 そういって寂しそうな顔をする上村さん。

 少し悪いことをしたかもしれないと思い、後ろ髪が引かれる思いだったが、バイトに向かった。


「お疲れさまでしたー」

「お疲れヒロト君」

「先輩!お疲れ様です。先輩も上がりですか?」

「えぇ、今日はもう上がりだから一緒に帰らない?」

「分かりました。帰る準備をするのでちょっと待っててください」


 そう言って話していたのは白石先輩。隣町の高校の一つ上の先輩。見た目は眼鏡をかけた文学少女、中身は明るい活発系女子。まるでどこかの名探偵みたいだな。

 そして彼氏持ちである。

 ただ、その見た目のせいなのか、話していても苦にならないので、唯一の女友達としていろいろ相談に乗ってもらっている。

 

「今日、ヒロト君少し元気なかったけど何かあった?」


 先輩は少し首をかしげながら、こっちを見ながら声をかけてきた。

 こう見ると先輩も顔整ってるよな。先輩に彼氏がいるのも納得って感じだ。

 そう言って昨日、今日で起きた出来事について先輩に話をすると、先輩はクスッと笑いながら


「いやーまさかあの草食系男子ヒロト君が女の子のことで私に相談してくるなんてねえ。お姉ちゃん、嬉しいよ」


 久しぶりに会った親戚のおばちゃんのように、しきりにうなずいてる先輩。

 先輩の文学少女感あふれる見た目で、そんなことされると物語の終盤でキャラ崩壊しだすアニメのキャラクターみたいな印象を受けて、笑っていると


「あー笑った。良かったー、今日浮かない顔をして顔が固かったからね。それでヒロト君はどうしたいのかな?」


 そういってクスクスと笑っている先輩を見ると、この人に彼氏がいなければなと思ってしまう。


「バイトを理由にあからさまに逃げてきた感じだったんで悪かったと思ってますよ。ただそれでお礼を理由に二人きりでどこかに行く、とかだったらいやだなと思って」

「なるほどね、男なら腹をくくってシャッキっとデートでも何でも行きなさいよ。そんなんだから顔はいいのに彼女ができないんでしょう」


 先輩はほんとにキャラが変わるよな。今なんかシュッシュとか言いながらシャドーボクシングしてたからな。

 周りの人も先輩の見た目とキャラのギャップに驚いている。

 けど先輩の言う通りだよなー

 俺もとっとと腹をくくって地獄のランデブーを乗り切ってやるぜ。


「分かりました。俺も腹をくくってその女の子と話をしてきます」


 そんな感じのことを話しながら帰路についた。


 家に帰って、いつも俺が見ているアニメを見終わったので、上村さんのこともどうにかしないとな。


 う~ん、あんまり送りたくはないけど上村さんにRAINを送ろうかな。

 こういうのは長引かせても意味がないからな。

 

 えっと、上村さんのRAINのIDはどれかな?

 へぇーアイコン自撮りなんだ。

 やっぱりよく見てみるときれいな顔をしているよな。


 って現実逃避している場合じゃないよな。

 緊張してきたなあ。おんなのことRAINを始める時はいっつも緊張するからな。

 はー、上村さんにきちんと謝らないとな。



 




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