きっかけ
「あーあ彼女が欲しいな~」
「何言ってんだよ! 本気でそう思ってんなら作ればいいじゃんか。 もてるんだろ? 学年一のイケメン様よ」
「そうはいってもな~、てかその言い方はやめろよな でもさいきなりほとんど話したこともない人に好きです、って告られるんだぜ」
「確かに、それはきついな」
そう言って笑うこいつは伊藤修二。茶髪が似合うワイルドなイケメンだ。修二とは帰る方向が一緒だったので仲良くなった友達だ。今もこうして二人で下校している。
「あ~そうだ。あいつはどうだ?」
「あいつって誰だよ?」
「あいつだよ、あいつ。上村麗華 俺らの学年の男子人気ナンバーワンの」
上村麗華。茶色に染めたさらさらとした髪に整っている顔 如何にもクラスの中心的存在です、という存在である。そして成績もよく先生からの信頼も厚い。そういうやつだ。
「え~嫌だよ 俺、彼女にするならもっとおとなしめの女の子って決めてるから」
「そういえばそんなやつだったな。おっもうこんなところか じゃっまた明日」
そう言って修二と別れて一人帰路につく。
はあ~彼女ほしいな。って言っても上村さんみたいな明るい系ではなくおしとやかな感じの子がいいな。
実は、俺こと一ノ瀬ヒロトは上村さんみたいな明るい活発系の女子が苦手だ。しかし昔からきらいだったわけではない。
これにはきちんとした理由がある。
俺はイケメンだ。自分で言うのもなんだがイケメンだ。昔からバレンタインデーでは多くのチョコをもらってきたこともあるし、多くの告白も受けてきた。だから多分イケメンだ。
そんな俺にも中学二年の夏に彼女ができた。
当時付き合ってた彼女は今の上村さんみたいな感じだった。クラスの中心的存在で、コミュニケーション能力に優れ、顔もよかった。そんな彼女だったのでクラスからの信頼も厚かった。
そんな彼女との仲も良好で、お似合いカップルなんて揶揄されて満更でもない生活を送っていた時、事件が起きた。まぁ事件と呼ぶほどでもないが……
付き合って3か月が経ったある日、俺は彼女を家に呼んだ。
当時俺はとあるアニメにはまっていた。俺はそのアニメが好きすぎたので部屋の扉を開けた真正面にそのアニメのポスターを飾っていた。
そして部屋にアニメのグッズなんかも置いてあった趣味全開な部屋になっていた。
そんな部屋に入った時の彼女の顔を俺は忘れそうにない
あの顔を見たとき人生終わったと思ったぐらい焦ったからな。
そんなことがあってか家を招いた3日後に彼女に呼び出され、別れを切り出された。
人の趣味がどうしても受け入れないみたいな人もいるとは思うので、彼女のことを悪くは言えないが、それからは自分の趣味と合わなさそうな明るい活発系女子が苦手になってしまったのも事実だ。
だから次に付き合う子はおとなしくて趣味を受け入れてくれる女の子がいいな……
なのに何故か俺の周りにいる女の子の多くはいかにも陽キャです、みたいな感じなのだろうか?……
そのせいでおとなしめの女の子に怖がられている気がするんだが……
そんなことを考えながら下校していると、前方に前にかがみながら何かを探している女性が
「……なにやってるんだ?」
ん~あれは上村さんかな。遠目からじゃ不審者にしか見えないが……
俺はあいつのことが苦手だが、何か困ってそうだし声でもかけてみるか。
「こんなところでなにしてるんだ?上村」
「ふぁああい。ヒロじゃなかった、一ノ瀬。どうしたの?」
「すっごい変な声してたけどなにしてるんだ?」
「ゴメーン。急に声かけられたからびっくりしちゃった。いやー恥ずかしい話なんだけどねぇスマホを落としちゃってね 探してたの」
「それはドンマイ。手伝おうか?」
「それは申し訳ないから遠慮しようかな。」
「遠慮しなくていいよ。俺は困っている人がいたら見過ごせない質だからね」
そう言うと何故か顔を赤くしてうつむいてる上村さんの姿が
「そういうことならお願いしようかな。これで貸し一だからね」
「それはこっちのセリフだよ。それよりどんなスマホなの?」
「ごめんごめん冗談だよ。赤いスマホケースだからわかりやすいと思うんだけどな……
後駅から帰り道の間のどこかにあるからお願いします」
そういって、二人でスマホを探していくこと30分
自動販売機の横の溝に赤いスマホが見えた。
「スマホってこれのこと?」
そういってスマホをひろって上村に渡そうとする拍子にスマホの電源が付いて……ってこのロック画面はもしかして?……
「あ~ちょっと待って。勝手に見ないでよ」
「すっすまん。悪気はなかったんだがつい……。」
「もう最悪! 帰る」
「ちょっちょっと待てよ」
そういって上村さんは早足で帰ってしまった。
しかしさっきのは……俺が愛してやまないアニメの壁紙だった気が……。
まあそんなわけないよな。だってあの上村さんだしな
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