第一章 第八部 悪魔殲滅作戦
飛竜に乗る隊長、副隊長に続き、飛竜部隊。小竜部隊。食料部隊の計200名がコレクトの町に移動し始めた。
「しかし、こんな夜中に攻め入るとは卑怯者め」
いらいらと、目で見てわかるように荒く飛竜に乗る隊長がそうぶつぶつとつぶやいている。
副隊長は隊長の様子を見ながら、機嫌を損ねないように隊長に話かけていた。
「しかしながら隊長、始まりの町とはいえ、かなりの上級冒険者もいないわけではございません。きっと我々がつくまでは耐えしのぐことも可能でしょう」
「我々の探知隊ですら。町に入る前まで気づかなかったというのに。これがどれほどのことを表しているのかわからないのか」
「分かっては、おりますが。しかし」
「口を慎め」
隊長の機嫌を気にしすぎた副隊長の発言は、油に水でしかなく、機嫌の悪い今の隊長には一切耳に入ることはなかった。
それから数時間後
エヒリヤス探知隊から大きな反応に隠れる、悪魔とは別の強い反応を二つ確認したと隊長に伝わった。
「なに。それらはいったいどのくらいの強さがある」
「探知隊からは一つは全体の魔族の半部以下とのことです」
ほう、と隊長は額に手を当てながら、もう一つの反応は?と副隊長に聞き返した。
「それが。我々の感知隊には反応の確認しかできなかったのことです」
「つまりは。それほど厄介ではないということか」
少しばかり安心したかのように見えた隊長に、さらなる追い打ちとなる一言が、副隊長の口から出た。
「確認できないほど強力だと、いうことです」
「なんだと。そんな事例は今までになかったぞ。魔力が高すぎて感知できないだなんて。いったいこの世界はどうなってしまうんだ」
隊長のイライラは次第に収まり、新たなるもう一つの気持ちが沸き上がってきた。
「我々にはどうしようもならないのでは。」
「な、なにを隊長。私たちにはこれほどの味方がいるというのに。あきらめるのはまだ早いです。。」
副隊長も隊長につられ次第に気持ちが落ちていった。
それから飛竜を休ませたり、食事などを済ましてコレクトの町に向かった。
日が昇り始めたころ、コレクトの町に隣接する森の端に到着していた。
「皆の衆まもなくコレクトの町に到着する」
沈んでいた気持ちも時間と共に落ち着いた隊長が皆に聞こえるように気合を入れなおしていた。
「この戦いが終われば皆を酒場にでもどこでも連れて行ってやる。手を抜くではないぞ!」
「「うぉーー」」
そんな隊長の隣で副隊長が落ち着いた感じで現在の状況を報告をしていた。
「何、反応が消えただと」
「はい、ついさっき感知隊の方から後から感知した二つの反応が消失したと入りました」
悔い改め隊長は周囲を警戒して、飛び始めた。
それから少し森を進み町から昇る煙が見えるあたりで拠点を作り悪魔討伐の準備を始めた。
「準備は整った、今から悪魔殲滅作戦を開始する。」
「我々に続け。行くぞ」
気合の入った、掛け声とともに町に進撃を始めるエヒリヤス隊。
まず彼女らを待ち構えていたのは、町の入り口でぐっすりと眠る中級程度の悪魔だった。
「くそ、そんなにすやすやと。なめていやがるのか」
そう言うと隊長は鞘から剣を抜き静かにその悪魔に近づき大きく振りかぶって切りつけた。
「ふぎゅう~」
空気が抜けるような音とともに消滅していった。
「切った感覚がないな」
確かに隊長の刃は悪魔の首元を捉えていたが彼女には一切、切った感覚がなかった。
それから町の中心部に進みながら中級程度の悪魔をなぎ倒していった、しかしながらなぎ倒していった悪魔はどれも、門で眠っていた悪魔と同じように切った感覚はなかった。
「ここがギルド本部か」
ほぼすべての建物が崩れていたのにもかかわらず、町の中心にあるギルド本部だけは埃一つ無くきれいな状態でその場に残っていた。
「このギルド本部の中に上級の魔族の反応があるな。」
「はい、私もこの中が一番強い反応を感知しております。」
彼女らはそんな悪魔が待つギルド本部の扉に手をかけ、少しずつ押して、開けていった。