第一章 第四部 はじめての依頼
ジリウスと彼は防具屋、武器屋、雑貨屋といろいろ店を回り装備を整えた後森へと続く道についた。ジリウスは戦士という職柄で分かるように、長剣と盾を持ち、彼は新人冒険者向きの短剣を持っていた。
「意外と軽いんですね」
「なんだ優馬、武器を持つのは初めてか?」
彼はそもそもこの世界で生まれたわけではないので、剣など持ったことがなく、初めての経験であった。そんな彼とジリウスは剣の話をしながら森のほうへ歩いていた。
「だから初心者に勧める武器は、軽いエンゴウから作られていることが多いいんだ」
そんな話をしているうちに、森の中まで入っていた。たくさんの木々に囲まれている森は、彼が今までに体験したことがないほど静かで、空気がとてもきれいなところだった。
「っと、もうここか。もう少し歩いた所が俺たちの目的地なんだが。おかしいモンスターの気配がしないぞ」
彼らは買い物ついでにギルド本部でゴブリン狩りの依頼を受けてきたのだが、対象のゴブリンがいなかった。近くには何の気配もなく、彼らの声が森に響いていた。
「おっかしいなあ、依頼ではここら辺にゴブリンがいるって書いてあったはずなんだけど」
「その依頼ちょっと見せてもらっていいです?」
彼が依頼を再び確認をするが間違いはなかった、おかしいなあと、あたふたしているとジリウスが一体のモンスター反応を感知した。
ジリウスがモンスターを感知できるのは最長1000mしかしモンスターはすでに彼らのすぐそこ50m以内にいた。モンスターなど見たことのない彼でさへ、おぞましいほどの殺気とさっきの森とは思えないほど重たい空気を感じとっていた。
「なんですかこの嫌な殺気は。」
「姿まではわからないが、たぶんこの森の中で一番強いモンスターだ」
ほんの一瞬にして彼らに近づくほどの強力なモンスターがこの森に出るとゆう事例は今まではなかった、しかし今彼らの前に姿を現したのは、ゴブリンではなく巨大な体と翼をもつ赤黒くきらめく大きなドラゴンだった。ジリウスは猛烈なドラゴンの殺気に立っていることも許されず、地面に膝をつけていた。彼はその殺気に対し辛うじて立っていることはできたが、恐怖のあまり足がすくみ、ただ立っていることしかできなかった。ドラゴンはそんな彼らに情けなどなく、彼らに飛びかかろうとしていた。
「ジリウス、お前だけは逃げてくれ」
彼はまだこの世界に、町に来たばかりで、ジリウスは皆から愛されている、町を回りながらそう感じた彼はジリウスだけは助けたいとゆう気持ちのほうが強く、ドラゴンの殺気に耐えながらそう言葉を発した。
「無理だ優馬を置いていくことはできない」
「約束を忘れたか、自分を大事にしろ、僕はいい」
「でも、二人とも死なないって優馬も言っていただろ」
ジリウスはそう言いながら意地でも立ってやると、両手を地面につき踏ん張った。しかしそんなかれらに一瞬の会話も許さないドラゴンは優馬に向かって猛烈なタックルを仕掛けていた、距離にして20mその距離をドラゴンは一瞬で詰めた。その勢いを一切殺すことなくドラゴンは彼に突撃した。ドラゴンに比べ軟弱な彼はタックルを受けた後、いくつもの森の木にぶつかりながら後方へ吹き飛ばされ、止まった時にはすでに何百ともいう距離を飛ばされていた。
「くそ、死ぬのか僕は。でも痛く、ない」
そんな距離を飛ばされたはずの彼はほぼ無傷でその場にいた。普通ならば痛みすら感じないまま死んでいるほどの攻撃であった。
彼が飛ばされた後ジリウスはただ一人で希望を捨てることなく、ドラゴンに対抗していた。先ほど彼を吹き飛ばしたほどの強力な攻撃はなく、少し手を抜いているかのように見えた。
「くそ、なんで。二人とも死なないんじゃなかったのかよ」
せめて彼の復讐を、だから今死ぬことはできない。ジリウスはひたすらその言葉を心で繰り返した。死んではダメだまだ彼が生きているかもしれない。まだ、、、
「ぐおぎゃああああああ」
そんな彼の気持ちを捻じ曲げるかのように、ドラゴンは大きな雄たけびを上げ、先ほど彼を吹き飛ばした攻撃を再び繰り出そうとしていた。