表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/57

間話 或るメイド

私の名前はヘレン・ウェスリー。

エクリエル王国の城に仕えているメイドの一人。


そうねー私がどんな感じの子って言うと、くせ毛のセミロングで少しそばかすがあるのがコンプレックスかしら?

あと、お鼻もお胸も背も小さいのにアリッサ様と同い年……女として自信がないわ。


今まで男の子とお付き合いとかしたことないけど、気になる人がいるの!

そう、執事でカッコよくて頼りになるゼロ様!

気になると言うかもう大好きなの!(あー告っちゃった笑)


あの爽やかな笑顔はとても素敵!

メイドの中でもライバルが多いし、私なんて相手にされないかもしれないけど頑張ってアピールしてるもん!


でも、ゼロ様ったら全く気付いてくれない……。

ホントに鈍感なんだから。


そうねー……ゼロ様と初めて会ったのは私が9歳の頃。

市民街で食材を買っていたゼロ様に私がぶつかってしまってったのが出会いだったわ。

その時の彼は私より少し背が高いくらいで、服装から貴族のお坊ちゃんかと思ったけど、違ったわ。

ゼロ様ったら自分より大きな袋に食材をいっぱい持ってて、私とぶつかった時に何個か落としちゃって、私は何度も何度も謝ったわ。


そしたら、

「大丈夫ですよ、お怪我はございませんか」って私の心配をしてくれて……。

もう一目惚れだったわ! ものすごーくかっこよかったもん!


それから話を聞いてみたら城に勤めてる執事ってのがわかったの。

貴族街に欲しい食材が無くて市民街まで来たみたい。


あんまり話が出来なかったけど、その日から私はメイドになるって決めたわ。

それから三年間ものすごく勉強して、お作法とか学んでなんとかメイドとして勤める事が出来たの!


あぁ、これで憧れのゼロ様に会えると思うと嬉しくてしかたなかったわ。


そして久しぶりにゼロ様を見たけど、初めて会ったあの日と比べると身長がすごく高くなってて、顔の凛々しさはより高まってて、でも笑顔は変わってなかったわ。

あぁ、カッコいい!!!!


私の仕事はお掃除とかアリッサ様の着付けもやったりするわ。

でも、お城が広いから大体は掃除をしているわね。

アリッサ様の近くにゼロ様がいるからあまりお話しする機会はないのだけれど、でも毎日必ず会うことが出来るのよ!


そう、アリッサ様のおかげで!

アリッサ様ったら毎日起きないし、勝手に入ったら怒られるから部屋の前で私と他のメイドも足踏みしてると、ゼロ様が起こしに来るから会うことが出来るの!


みんなゼロ様の事気になってるみたいで、なかなか話しかける事が出来ないみたいだけど、私は勇気を出してちゃんと話しかけてるわ!


「申し訳ございません、私どもでは手に負えません……」


ここで上目遣いで言うのがポイントね!

今まで男の子と接点無かったけどこれってアピールしてることになるわよね?

あぁ、ゼロ様も私の気持ちに気付いてくれてデートとか誘われたらどうしよう!

デートの終わりにはプ、プロポーズとかされちゃったりして……!

キャー!


あ、ごめんなさい妄想が過ぎたわ。

城に入って数年経ったけど未だに進展はないのよ、まぁこれからが期待よね!


でも、業務中にゼロ様が私たちを必要としてるタイミングはわかってるから見計らって飛び出しているの。

あと、手を叩いて私たちに知らせる時もあるわね。

大体、アリッサ様の授業とか食事が終わった後に呼ばれることが多いわ。

なのでそれを計算して私たちは事前に準備しているの。


アリッサ様って顔も綺麗だけどスタイルも良いから羨ましいわ……。

怒ってる時に部屋へ入れて着替えのお手伝いをするんだけど、機嫌悪いときは大体ゼロ様の悪口をブツブツ言っているわ。


「なんでゼロは一緒に食べないのよ」

「なんでゼロが呼んだらすぐにメイドがすぐ現れるのよ」


とか言いながらね。

文句も多いけど着替えの時には素直だわ。


機嫌がいい時には今日あった出来事とかいろいろお話してくるし、男の人には叩いたりする時があるけどメイドには決して手を上げないし。


ゼロ様とは業務の話が多くてなかなかプライベートな話とか出来ないけど、見てるだけでも満足だわ。

周りのメイド達もゼロ様に見られながら業務の話とかされると目が合った子は恥ずかしがって下を向いちゃうみたい。

ま、私も照れて下を向いちゃうけどね。


あ、そーいえば。

キラーラットが城に入って来た時は大変だったわ。

誰かの悲鳴? が聞こえると思って廊下を覗いたらキラーラットがわんさかいたんだもの。

あれは焦ったわー。

急いで広間に逃げたらゼロ様がいて思わず「ゼロ様! 助けて下さい!」って叫んじゃった。


私に直接何か被害は無かったけど、初めてあんな大量のキラーラット見たから腰が抜けちゃったのよね。

その後、兵士さんも来て駆除してくれたけど……やっぱ駆除って見るもんじゃないわね。

剣が刺さった時の断末魔を聞いて思いっきり血の気が引いちゃったわ。


ゼロ様ったら私を置いて他の部屋の様子を見ようとしてたけど、私あの場所から動けなかったから思わず呼び止めちゃった。


「あの、ゼロ様……私、魔物が殺されるところを初めて見たので、その……」

今思うと全然うまく話せなかったけどね。


でも、まさかおんぶして運んでくれるとは思わなかったわ!

もう、嬉しくて嬉しくて! あー思い出しただけでニヤニヤしちゃう!


医務室までの運んでくれる時間は至福の時だったわ。

ずっとこのままで居たかったのにあっと言う間に時間は過ぎるのね。

気付いたら医務室だったわ、はぁ……。

でもすごくいい匂いだったわー。何か香水でもつけてるのかしら?

ずっと背中に顔を埋めていたかったわ。


ゼロ様は私を運び終えたらすぐに周りの様子を見に行ってしまったわ。

医務室では他の子たち(メイド)が既にいて、何人かキラーラットに噛まれた子もいて泣いちゃってた。


でも、治癒術ってすごいのね。

かじられて傷が出来たメイドの子もあっという間に治しちゃうんだから。

傷が出来てめそめそしてた子もびっくりしてたわ。


あ、でもゼロ様に医務室に運ばれたとこ見られたからあの後、周りのメイドに色々聞かれたわね。

羨ましがられたわ! ちょっと優越感を感じちゃった。


あの後、私たちは休むことが出来たけど朝の掃除が大変だったわ。

キラーラットの死体は片付けてくれたけど血がいたるところにあって、布で拭き取るのに時間かかったし。


その日あんまり情報は入って来てなかったけどアリッサ様が居なくなったみたいで、結局その日に見つかって朝から部屋に籠りっぱなしだったわね。

ゲイル様が原因って聞いたけど……。


ゲイル様で思い出したけど、あの人絶対レッスン場である庭園の場所知ってたと思うわ。

やたら城の中うろうろしてたから、庭園までの道を何度か教えたけど「骨董品とかみたい」とか「ここには何があるんだ?」とか、理由を付けて城の中を見て回ってたわね。


アリッサ様が引きこもってからゲイル様も城に来なくなったので間違いないわね。

そんな状態のアリッサ様を部屋から出しちゃうんだから、さすがゼロ様よね!


アリッサ様も王女だけあって危険がいっぱいよね。

良く知らないけど他にも外出した時に誘拐されかけたとも聞いたわ。

外出の時はさすがに普段のドレスじゃいけないみたいだったから、ゼロ様から服の用意を任せられわ!

まぁ、個人的にじゃなくて私達(メイド)への業務連絡だったけどね……。


可愛い服を用意して寝てると思っていつものようにドアをノックしたら、珍しく起きてて服だけ取られて「自分で着るから大丈夫」なんて言ったんだもん。

あれはビックリしたわ。普段のドレスでも自分で自主的に着ることなんてないのに。


ドレスで思い出したけど、披露宴はものすごく大変だったわ。

料理とか常に運んでたし、おトイレの場所とかも教えなきゃだし。

料理を運んでもドリンクを要求する人もいっぱいいたから大変だったわ。

掃除も午前中からいつもより念入りに行ったしね!


披露宴が始まる前に入口で騒いでる人がいたけど誰だったのかしら?

姿とかよく見えなかったけど趣味の悪そうな服着てたわね。

ジョルジュ様がその人に話しかけてた追い払ったみたいだけど、ジョルジュ様もすごいわ。

私なんて怒鳴られたら泣いちゃうかもしれない。


そーいえば、ゼロ様よりジョルジュ様から業務の連絡が多い気がするわ。

ジョルジュ様についてはあまりわからないのよねー。

アルフォード様の傍にいるのは知ってるけど、普段何やってるのかしら?


業務の大半はゼロ様が行ってるし、もしかしたらアリッサ様の授業のお手伝いをしてる時に代わりに業務をしているのかも? うーん、でもよくわからないわ。

メイドは若い子が大半でメイド長も居るけど、家庭があるからほとんどお城に来ないのよね。

それでジョルジュ様やゼロ様のこと聞く機会もないし、私も一つ上の先輩に仕事教えてもらってたし。


あと、最近アリッサ様が病気? で旅立つとか聞いてそれにゼロ様も同行するとか聞いたわ。

でも、あくまでも噂話よね? 信じてないわ。



※※※



え、ちょっと。

ゼロ様が話しがあるってメイド集めて「アリッサ様と旅に出るからしばらく帰って来れない」って言われたわ。

え? 噂話ホントのやつじゃん。


え、なにそれ?

他の子がいつ帰ってくるか聞いたら「わからない、もしかすると帰って来れない」とか言ってたけど。

え? 帰って来れないの?

いや、泣くでしょそれ。


ってか、もうほとんどのメイド泣いてるし。

ほぼ全員ゼロ様のこと好きなやつじゃんこれ。

やばい、そーゆー私もめっちゃ泣いてる、くしゃくしゃになって泣いてるわ。

たぶん今すごい不細工だと思う。

もう関係ないわ、だって悲しいんだもん。


あまりにメイドが泣くもんだからゼロ様ったら少し困ってたわ。

なんならもう頭撫でて慰めてほしいと思ったくらいよ。


せめて旅立つ前に気持ちとか伝えた方がいいのかしら?

あーダメよ! 恥ずかしくてそんなこと出来ないわ!


私に出来る事はゼロ様が無事に戻ってくるように祈るだけ。

愛する男を待つ女ってのも素敵じゃないかしら?

うふふ。



※※※



出発当日にメイド達から熱烈なお見送りをされ、困り果てるゼロと何故か機嫌が悪くなるアリッサであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ