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第46話

 まずは、すっかり覚えてしまった最短ルートを、まっすぐ第1層のボス部屋に向けて向かう。


 道中1層に出現しないハズのイビルバットが飛んでいたのは、いわゆる戻りモンスターが付近からダンジョンに流入している証拠でもあるので、知らず知らず緩みかけていた気を引き締める良いきっかけにはなった。

 ギガントビートルを瞬殺し、特に休憩することなく、第2層のボス部屋を目指す。


 兄達は2層でもモンスターを狩りまくっていた様子で、一度も戦わないまま、すんなりとボス部屋に到達することになった。

 今日の目当ては第4層の間引きなので、これは歓迎するべき事態と言えるだろう。

 ヘルスコーピオンとの戦闘にも既に慣れたもので、上昇した槍術スキルの恩恵もあって、ここも楽々と勝利。

 今のところは兄達が来ていないという、第3層へと歩を進めていく。


 ここはさすがにリポップしているモンスターの数が多い。

 デスサイズとの再戦に向けて、しっかりとコンディションを整えるべく、丹念に間引きしていく。

 ここは、製パン機が宝箱から出た階層でもあるので、行き止まりと分かっている小部屋なども、しっかりと確認することにした。

 そして……そうした丁寧な探索が、功を奏する結果に繋がる。

 小部屋そのものに擬態していたゼラチナス・キューブが、重厚な装丁の施された本を落としたのだ。

 さほど時間を掛けずに、ここでスキルブックを入手出来たのは運が良い。

 ちょうど出入口が1つしかない小部屋に居るということもあり、幸い【危機察知】が新たなモンスターの接近を知らせるようなことも無かったので、早速スキルブックに籠められたスキルを確認することにする。

 この時、ふと【解析者】スキルを得た時のことを思い出した。


 あの時は……えーと?

 そうそう『アナライズ』って念じたんだな。


 すると、念じた途端に……見覚えの無いハズの背表紙の文字が、今回は【鑑定】と読めるようになった。


 え……【鑑定】だって!?

 売れば億単位の金が動く、あの【鑑定】!?

 自分で取得しても、ダン協就職で左団扇人生確定のスキルじゃないか。


 …………思わず取り乱してしまった。


 異変発生以前ならともかく、今の世の中で大金を得たところで、使い道に苦労するだけだろう。

 ……人間の欲って怖いのな。

 物欲の普段あまり強くないオレでコレなのだ。

 大金を持ったことが原因で、身を持ち崩す人を笑えないな、こんな有り様じゃ。


 どうにか冷静さを取り戻したオレは、淡々と【鑑定】のスキルブックをライトインベントリーに収納し、小部屋を出てモンスター退治に専念することにした。

 しばらく間引きと探索に精励した甲斐も有り、

 完全に平常心を取り戻せたと思うし、ボス部屋を除けば3層の探索は既に完了している。

 ……どうも表情筋が疲れているような気がするのだが、恐らく気のせいだろう。


 さて……気を引き締めていこう。

 既に討伐成功した実績が有るとはいえ、デスサイズは決して気を抜いて良い相手では無い。


 今日はデスサイズ戦の後も、第4層の間引きで、かなりの数のモンスターを相手にする必要がある。


 ──パァン!


 気合いを入れ直すため自分で叩いた頬が、あまりの痛みにジンジンと悲鳴を上げている。


 腕力……べらぼうに上がってんの忘れてた。

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