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第33話

 ……うーん、さすがに少し眠いな。


 早朝5時半に起き、朝ごはんを皆と摂るのを諦め、オレはおにぎり持参でダンジョンに来ていた。

 現在、時刻は7時を回ろうとしている。

 ギガントビートルが姿を消した後の第1層のボス部屋で、朝食として持ってきたおにぎりを味わっているところだ。

 おにぎりは妻が頑張って早起きして握ってくれたもので、中身は梅干しと昆布。

 まだ幾らか眠気の残っていた頭を、梅干しの酸味が心地よく刺激してくれた。


 今日、早朝からダンジョンに来たのには、2つの理由がある。

 1つは、探索の時間を長く取るため。

 兄と比較した時に、力不足なオレの強化こそ、今のオレ達にとっての急務だからだ。

 もう1つの理由が、ギガントビートルのリポップ時間を探るため。

 この第1層に出て来るのには不釣り合いな強さを持つ階層ボスだが、その分かなり良いアイテムを続けて落としているので、可能ならば1日に3回はギガントビートルを狩りたい。

 昨日、オレと兄達が同日中に続けて撃破していることから、恐らくは可能だと思われる。

 昨日、オレがギガントビートルを倒したのが、だいたい9時過ぎ。

 兄達が探索の締めとして、同じく討伐したのが概ね17時過ぎ。

 このことから8時間以内にリポップしているのは、まず確定ということになるだろう。

 とりあえず7時と13時の討伐が成功したなら、19時以降にも1回チャンスがあるということになるだろう。

 早朝や夜間にダンジョン探索に来るのは、外が暗い分だけ奇襲されてしまうリスクは高まるが、ダンジョンに入ってしまえば朝も夜もない。

 ダンジョンでは、天井自体が発光しており、ある程度の明かりが供給されていて、夜間でも探索自体に不都合はない。

 どういう理屈で発光しているかは不明なのだが、とりあえずダンジョン内部では時間帯に左右されず行動が出来る。

 重ねて言うが、問題は外の夜道の暗さだけだ。

 オレや兄なら、充分に注意していれば、対応は可能だろう。

 兄は実力的に不安は無いし、オレには【危機察知】のスキルがある。

 いくら田舎だからといっても、街灯の明かりや車のヘッドライトで、普通に歩く分には何ら問題は無いのだから。


 食事と休憩を終え、第2層へ繰り出す。


 今日は第2層でも兄達3人が探索にチャレンジする予定のため、モンスターの間引きは、そこそこで良いだろう。

 敢えてあっさりと探索を終え、ボス部屋の前に立つ。


 第2層の階層ボスは、ヘルスコーピオンというモンスターだ。

 大きさ自体は今までも狩りまくってきた、ジャイアントスコーピオンと変わらない。

 問題はハサミの攻撃力や、甲殻の防御力、毒針の鋭さが段違いなうえ、敏捷性が全く別物だということ。

 更には取り巻きモンスターとしてジャイアントスコーピオンが数体、同時に出現するという話なのだから、数的な不利を強制されるのは既に確定している。

 つくづく、余所のダンジョンと比べれば比べるほど、ここは圧倒的に難易度が高いと感じさせられる。

 無理ゲーダンジョンという悪名を(こうむ)り、長年に渡って仙台市内では圧倒的な不人気ぶりを誇ってきたのは伊達ではないのだ。


 さて……ぼやいていても、サソリは居なくならない。

 意を決して、オレは初めてのヘルスコーピオン討伐に挑む。

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