表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/312

第1話

 なっ!?




 玄関を開けてすぐ、オレの視界に飛び込んで来たのは緑。


 それも酷く薄汚れた深緑(ふかみどり)


 正確には緑の肌をした醜悪な小人……いわゆるゴブリンだ。




 オレも大いに面食らったが、あちらも同様に驚いた様子で、グゲグゲと意味の分からない言葉(?)を発しつつ眼を剥いて固まっている。




 お互いに驚愕の表情を浮かべ、咄嗟に身動きが取れずに居たが、それでも先に我に返ったのは幸運にもオレの方だった。


 とにもかくにも考えるよりも先に前蹴り。汚いし臭いしで、恐らく無意識に距離を離したかったんだろうオレは、ゴブリンの鳩尾辺りにキックをお見舞いし、狙い通りに彼我の距離を稼いでやった。


 たたらを踏んでゴブリンが後ろに倒れそうになりながらも、こらえようとして頑張っている間に、オレは玄関の横に置いて有った雪かき用のスコップを構え、ゴブリンを牽制する。




 しばらくにらみ合いが続いたが、冷静になればなるほど、意味が分からない。




 ゴブリンを見たことが無いからじゃないかって?


 いやいや、今どきゴブリン見たことない大人も珍しいよ。


 何せ、世界中にダンジョンが発生してから、もう既に20年が経っているんだ。


 テレビの映像や、ネットの動画は元より、ダンジョン探索が本職じゃなくとも、週末やなんかにダンジョンに潜った経験の有るヤツなら、それこそ掃いて捨てるほど居るご時世だ。


 オレも学生の時には随分と潜っていたし、今でも小遣い稼ぎ程度には、ダンジョンを利用している。


 じゃあ何故、オレが今さらゴブリン風情に驚いているか……それは……ゴブリンがダンジョンの外に居るから、そこに尽きる。


 ダンジョンの魔物……いわゆるモンスターには絶対の法則として、ダンジョンの外に出ないという特性が有り、それは世間でも既に常識になっている。


 第一、ウチのすぐ近所にもダンジョンが有るので、もしモンスターが気軽にダンジョンから外出するようなら、そもそもこのあたりには住んでいない。


 しかし現実に目の前にゴブリンが居る。


 一度こうやって同等以上の態勢で向き合ってしまえば、小学校中学年程度の身長と膂力(りょりょく)しか持たないゴブリン相手なら、今のオレ(スコップ装備、普段着姿)でも十分に渡り合える。


 そういうわけで既に脅威にもならないのだが、なんでここに居るのかという疑問ばかりが、グルグルと頭の中を支配して、具体的な行動(ゴブリンを倒す、いったん逃走する、助けを呼ぶ、家族に注意促すなど……)を出来ずにいた。


 そう……まさにフリーズ中。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] カクヨムで読んでますがここでも応援させて頂きます 毎回楽しく読ませてもらっています、是非書籍化して欲しい作品です 皆読んでくださいw
[気になる点] 読点(、)の位置 例えば 「しばらく睨み合いが続いたが、冷静になればなるほど、意味分からない。」 ここだと「しばらく睨み合いが続いたが、冷静になればなるほど意味が分からない。」の方が読…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ