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黒光りする薄い刃物が正確に回転しながら空を切る。

そして先端が1人の喉元をとらえた。

一瞬注目が集まるが、そこではない。


俺は、跳んでいる。


マチェットを投擲、跳躍、着地の勢いをククリ越しにもう一人の脳天に流し込む。

刃物を回収、敵の中枢に入れば奴らも簡単に発砲することはできない。


警棒を手に駆け寄る者を確認、重力に身を委ね姿勢を落とす。

踏み出した膝に正確に前蹴りを刺し関節を破壊する。

そのまま地を這うように人の間を縫い、ながらも幾人もの腿を切り裂いていく。

しなやかで軽快な動きではあるが全てに体重がかかっており確実に動脈をとらえている。


刃を持った獣。


鎌鼬。


倒れた隊員たちの中心に姿勢を低く構えている。

ここぞとばかりに数十の銃口が向けられた。


下、の次は上。

跳躍。

着地の勢いをククリ越しに一人の脳天に流し込む。


これが多人数相手の刃での戦い方である。

もちろん常軌を逸した身体能力が要求される。

その鍵がこの


「錠剤」


糖を媒介に脳へと信号を送る。

脳内物質、一般的には知られていないホルモンが分泌される。

全身に指示が送られる。

そして

全細胞が「覚醒」する。


兄の遺作であり

死因。


「半分は片付いた。そっちはどうだ?」

 「大方準備は完了。あとはゲートが開けば出発だ。」

「了解。衝撃に備える。」


倉庫のシャッターが動き始める。

プロペラ機が夕日に照らされ、露わになった。


「おいあいつ飛ぶ気か!?」

「と、いうことはこの獣は囮…!?」


「人聞き悪いな。俺も飛ぶんだよ。」


カーボン製のプロペラが回転を始める。

変速機を切り替え高回転に。あっという間に機体が全身を始める。

海沿いを加速、離陸速度に到達。


「残りは…30人前後か。まぁ及第点だな。そんじゃ、あばよ。」


プロペラ機が離陸、日本海へ向かっていく。

特殊ゴム製のハーネスが伸びる。

その限界に合わせ跳躍。一瞬でハーネス越しにプロペラ機へ吸い込まれていく。




「あははははははは!!!!!!バンジーフライトだぜ!!!!!!!!」


港に残されたものはその異様な光景を見送ることしかできなかった。

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