SS:なぜこうなった(カイオ視点)
ルシアに寝室へと連れ込まれた俺は、裸に剥かれて部屋の中央に立たされていた。
興味深そうに俺の体を見つめながら、ルシアは俺の周りをぐるぐると回っている。そして、時折俺の腹や太ももを指でつついて、うんうんと頷いていた。まるで彫像を鑑定しているような動作だ。
なぜ、こんなことになっているのだろうか?
新婚初夜がこんなのでいい筈はない。
「カイオの体はやっぱり美しいわね。思った通りよ。体中が筋肉に覆われていてとても硬いし、中央公園に飾られている彫刻みたい」
いくらなんでもそんなに見つめられると恥ずかしいからな。それに、やっぱり彫刻扱いだ。
「俺は男だし。体なんて別に美しくもないだろう」
美しくなろうと思ったこともないし、訓練以外のこともしていない。正直、そんな余裕などなかった。
「だって、カイオはこの国の人々を守るために竜騎士になったのでしょう? この体はその努力の賜物よね。だから、カイオの体は誰よりも美しいと思うの。私もね、カイオと結婚できたことをとても誇りに思うわ」
ルシアが俺を見上げてそんなことを言う。確かにこの言葉にはぐっとくるものがある。俺の今までの努力を認められたようで本当に嬉しい。
俺はルシアみたいに泣いたりしないけどな。
「今度はルシアの番だからな。自分で服を脱ぐんだぞ」
俺ばかりがこんな風に見られるのはいくら何でも不公平だ。俺もルシアの裸を見たい。そして、触れてみたいんだ。夫なのだから許されるはずだ。
「本当に私も脱ぐの? 私の体なんてごく普通だから、見ても楽しくないわよ。カイオみたいに鍛えてもいないし、特別なことなにもないもの」
「別にルシアに筋肉なんか求めてないし。見て楽しいかは俺が決めるから。さあ、さっさと脱げ。俺一人だけ全裸なんて馬鹿みたいじゃないか」
「あんまり期待しないでよね。カイオにがっかりされると悲しいから」
そう言うと、ルシアは恥ずかしそうにワンピースを脱ぎ始める。意図したわけではないだろうが、時折俺を上目遣いで見ながら、焦らすように脱いでいくその様子は俺を煽っているとしか思えない。
ルシアの頬は真っ赤に染まり、それだけで女の色香を感じさせた。
ルシアはワンピースを脱ぎ、椅子の上に置いた。そして下着に手をかける。ためらいながらゆっくりと一枚一枚と脱いでいく。
ルシアの胸を覆っていた下着が取り払われ、形の良い大きめの胸が現れた。
最後に下半身を覆う下着も全て脱いだルシアの体は、くびれた腰もふっくらとした尻も全てが見事だった。
ルシアの大人の魅力ってやつは、こんなところに隠れていたのか! 俺はてっきりルシアは幼児体型だと思い込んでいた。
心は聖女のように清らかで、って、ルシアは本物の聖女だけどな。体はちょうど食べごろに熟れているなんて、これは反則だろう。
俺がルシアの体に見惚れていると、下を向いていたルシアが恥ずかしそうに顔を上げた。
「カイオ、そんなに見ると恥ずかしいもの。ねえ、私は普通でしょう? 変ではないわよね」
「十分綺麗だと思うぞ」
どう見ても予想以上だ。嬉しい誤算にも程がある。
「本当に恥ずかしいから。あっ! そうだ、こうするとカイオから見えないでしょう?」
突然、ルシアが抱き着いてきた。密着すると確かに前は見えないが、白い背中は丸見えなんだけど、ルシアはそんなこと考えていなさそうだ。どうだと言わんばかりに得意げにしている。
「と、とりあえず、子づくりを始めようか?」
「カイオ、裸のままで? 何か用意しなければならないことはないの?」
首を傾けて訊いてくるルシア。そんな姿も可愛いと思うけれど、俺の忍耐にも限界がある。
「このままで大丈夫だ。最初はかなり痛いかもしれないが、癒してしまうと次も痛いから、回復魔法は使わない。御免な」
痛みに弱いルシアには可哀そうだけど、我慢してもらうしかない。何も知らないルシアに対して罪悪感はあるが、子を望む以上どうしようもない。
俺はルシアを横抱きにしてベッドまで運び、大きなベッドの真ん中に横たえた。