婚約破棄~悪役令嬢はやはり悪役~
学園主催の年度終わりのパーティーが開かれている会場には、これからの国を担う貴族の子息令嬢が集まっていた。まだまだ経験の少ないながらも腹の探り合いを交えた楽しげな雰囲気が流れている。
そんな雰囲気をぶち壊す一言がパーティーの中心人物ともいえる人から放たれた。
「ローズマリー、本日をもって貴様との婚約を破棄させてもらう‼」
彼の名はラインバルト、この国の第一王子である。横には一人の女性を連れ、そばには三人の男を控えさせ婚約者である侯爵令嬢であるローズマリー嬢を睨みつけている。
「一体どういうことですか?」
「どうもこうもない‼悪魔のような貴様とこれ以上婚約者でいることはできない。いや、貴様が貴族でいることすら我慢できない‼今朝、父上に貴様の所業をすべて報告した。サタはまだだが、その前に貴様と婚約しているなどという汚点をここでなかったことにしてもらう‼」
ローズマリーは事態が理解できでいないような顔をして尋ねるとラインバルトは怒りに顔をゆがめ怒鳴りつける。
「私がいったい何をしたというのでしょうか?もしかして、そちらにいる彼女がかかわっているのかしら?失礼ながら私は彼女のことを存じませんの。紹介してくださいませんか?」
「あくまで白を切るかこの犯罪者が。まぁ彼女にもかかわりのあることだ、紹介はしてやる。彼女は貴様の父上が治める侯爵領横を収める男爵令嬢のリリアナ嬢だ」
紹介されたリリアナ嬢はローズマリーが恐ろしいのか下を向きスカートを握りしめ震えている。その様子にローズマリーはあざ笑うかのように鼻で笑うと
「男爵令嬢でしたか。それでリリアナ嬢に私が何をしたというのかしら?私がいじめでもしたというの?」
「貴様、そんなこともしていたのか!?」
「まさか、そんなことするわけないじゃないですか。リリアナ嬢とは今日初めてお会いしましてよ」
「本当に知らないようだな、小さいながらも隣接する領の令嬢を知らないとはいったい何をこの学園で学んだのだ」
「そうは言われましてもリリアナ嬢は1年生でしょう?去年見たことがございませんもの」
「確かに彼女は1年生だ。今回貴様がこのパーティーに来ると聞き証人として来てもらった。1年が2年のパーティーに出席するには誰かのパートナーとしてくるしかなかったので俺のパートナーとして来てもらっている」
「まぁ婚約者の私というものがいながら他者をパートナーとするなんて浮気ですか?」
「そんなこと貴様に言われたくはない!!貴様が1年でさっさと飛び級して卒業したおかげで俺は毎回一人での出席になったんだぞ!!」
「飛び級のことは知っていたのですね。知らずにいじめの主犯として断罪されるのかと思ったのですけど」
本当にそんなことで断罪されると思っていたのかローズマリーは首を傾げ断罪理由を考え出した。
「当たり前だ!!貴様はどれだけ俺をバカにすれば気が済むのだ!!」
この世界は弱肉強食上級貴族が下級貴族をいじめた程度で罪にとわれることはない。そんなことで断罪などしたらした側が馬鹿にされるだけだ。
「あら、“王太子である俺をバカにするか”とでも言いますか?昔はよく言っていましたよね“俺が未来の王だ”って」
「いつの話をしているのだ!?王太子はこの前弟のグリンバルトに決まっただろう!!その発言は反逆罪になるぞ」
「失礼、そんなつもりはありませんのよ」
ラインバルトが王になるなどといえば野心ある者が集まり、クーデターを起こそうとする者がいるかもしれない。軽口ではあるが、貴族の子息令嬢がいるこの場所では口にしていいことではない。皆、ラインバルトが弟を大切にし王になりたいなど微塵も思ってないことを知っているので混乱はないが、発言者のローズマリーには極寒のような冷たい視線が注がれている。
「今は見逃してやる。それでなぜ飛び級などして早々に卒業した?」
「それが今関係あるのかわかりませんが。そうですね。ここで学ぶことはないと思ったからです。すでに家庭教師で学んだことばかりでしたので」
「貴様は何もわかっていないな。そんなんだからあんなことになるのだ。いいか、授業内容など俺だって当の昔に学び終わっている。ここは上級貴族、王族にとっては貴族同士の交流の仕方を実践で学ぶ場だ。腹の探り合いや情報交換を経験し、さらに交友を深めることで人脈を作り将来につなげる。それなのに貴様は友人どころか取り巻きすらいないうちに卒業して領内に引き込もってパーティーにもお茶会にも出席しないそんなことで俺の妻いや、貴族の妻が務まると思っているのか!!」
上級貴族にとってこんなことは常識である。良い部下を見つけるため常に目を光らせ争奪戦は熾烈極まりない、それも表立って行うと敵を作ることもあるので表面上は笑顔を見せ裏でドロドロの戦いをしている。ラインバルトのそばに控えている3人も長男ではないため親の後は継げないがラインバルトに能力を認められ将来はラインバルト家臣となることになっている。そんなことも知らないローズマリーは上級貴族に鼻で笑われた。
「そっそんなもの領内をきちんと収められれば必要ないではないですか!?」
「一番の問題はそこだ!!貴様は引きこもってから自分が何をしたかわかっているのか?あれがきちんとした領地経営か?」
「何がいけないのですか?もしかして侯爵領だけが栄えているのが問題ですか?」
「何が栄えているだ?地は枯れ民は飢え、隣接する領にまで被害が出ているぞ!!」
「そんなはずありません!!」
自分の思い描いている自領の状態との違いに怒りをみせる。
「では聞くが、貴様は蒸気機関車というものを作りそれ専用の道を各地に敷いたらしいな?」
「はい。それにより移動が楽になり物資の移動も速くなります」
「それには木を加工した木炭が燃料らしいが侯爵領はそこまで木が豊富ではないのに大量に消費され薪の値段が侯爵領周辺だけ跳ね上がっているのは知っているか?」
「そっそれは知っていましたが一時的なもので移動範囲を国内全体に広げれば他の領地より木を買うことにより運搬のコストも少なく改善されます」
「すでに廃業されたものが広まるわけがないだろう!!道中の魔物対策を全くしないまま進めたせいで道はボロボロで修理にいた者も帰ってこない。道に使われた鉄も大量に損失している。蒸気機関車自体も道がないことに気づかず道をまずれそのまま魔物に襲われ大破だ!!」
積まれていた大量の物資は魔物たちの栄養になり、魔物による被害を増やす原因にもなっている。壊れた線路も人型の魔物の武器などにも使われている。
「そんな……ですがそれは改革のうちの一つ他のはうまくいっております」
「他か、テンサイという作物を用いた砂糖作成は作れた段階で品質も良くないのに高額で売り出していたな。あれは俺とグリンバルトで3年の歳月をかけ適した環境で大量生産が整いいざ売り出そうとしたとこに出てきたから全く売れてないぞ」
「妨害行為なんて酷いじゃないですか!!」
「何が酷いか!?あんなもの従来の物より質が低いぞ。それなのに高額で売りつけ、おまけに自領には砂糖の輸入を禁止したせいで侯爵領のみ砂糖が高騰しているぞ。あの地ではテンサイはろくに育たないからな」
妨害など完全に逆恨みだ。あんな出来損ないラインバルトたちが売り出さなくてもろくに売れなかっただろう。それどころかただでさえ高い砂糖の価格がさらに高騰するなどという憶測が立ち混乱していたに違いない。
「でっでは菓子店も・・・・・・」
「当然高騰した砂糖のせいで倒産。だいたいケーキも和菓子もすでにグリンバルトの起こした店で出されている。火薬についてもその危険性から許可をもらってものしか取り扱えないことになっているから売り出された時点で関係者全員捕まっている。貴様が捕まらないのは侯爵からの恩恵でしかない。農業にしても輪栽式農業も開始する際に余裕がなければ牧草を育てる間持たないし、この世界のクローバーは毒があるんだよ。だいたい土壌がやせてきたら魔力を注ぐことで補えるから休閑じたい必要ない。魔道具に関しても魔力消費が激しすぎて使い手がいない。魔力の多い俺や貴様なら問題ないから開発段階で気が付かなかったんだろ。他にもいろいろあるが貴様がしてきたことはほぼすべて失敗に終わっている」
「うっ嘘よ、今までしてきたことが全部無駄だったなんて………」
顔を真っ青にし床に座り込むローズマリーだが、助けるものはなく侮蔑の目を向けるものしかいない。
「無駄どころかマイナスだ!!いったいどれだけの人に迷惑をかけ死なせたと思っている。隣接領ではその尻ぬぐいで天手古舞だぞ。リリアナ嬢と父親の男爵を中心になんとか対応してくれなければ被害は国全体に行き割っていたところだ。それもこれも貴様が前世の記憶に胡坐をかいて中途半端な知識で作るだけ作って後のことはすべてろくに知識もない他者に丸投げした結果だ。弱者救済のためかもしれないが技術も知識もない浮浪者をろくな教育も行わないまま重要な役職に就けるなど何をしても失敗するのは目に見えているだろう」
「何故前世のことを!?」
今日一番の驚きだった。ローズマリーには生まれたときから前世の記憶があり6歳になりラインバルトの婚約者になった時、この世界が前世で好きだった乙女ゲームに酷似した世界だと気が付いた。ローズマリーの役割はラインバルトを攻略する際邪魔をする悪役令嬢だ。ラインバルトはゲームでは俺様系王子、ゲームではカッコよくても現実にいたら迷惑な人でしかない。そんな人と結婚なんてしたくないし断罪もされたくないのでさっさと学園を去り領地に引きこもったのだ。
「そんなものリリアナ嬢もグリンバルトも持っている。自分だけだと思ったか?グリンバルトは幼い子ら前世の記憶に戸惑い俺に相談してきた。混乱し自分はバケモノなのではないと苦しんでいたが民のことを思い前世の知識を惜しげもなく披露してくれた。貴様と違うのはその危険性を考え研究し安価で安全な物のみを世に広めた。だからこそ、俺も他の者もグリンバルトを認め皆に祝福されながら王太子になったのだ。リリアナ嬢は学園に来るまで隠していたがこの世界が“乙女ゲーム”なるものと酷似していることに気づき、不敬罪と断罪されるのも恐れず俺に意見してきた。前世の知識では俺は他人の話を聞かず自分勝手なバカだったようだな。今思うとグリンバルトのおかげなのであろう、現実はそうはならなかったが、それを知らないリリアナ嬢にはさぞ怖かっただろう。それでもそのままでは国のためにならないと意見したのだ。俺以外の攻略対象と言われる者たちも“ヒロイン”なるものと仲良くなり婚約者との仲が悪くならない様にリリアナ嬢が気を配り、仲を取り持ってくれてくれた。今では自分の弱さと向き合いグリンバルトを支えるため研鑽に努めている。それなのに貴様がいらんことをするからリリアナ嬢は最近では満足に授業にも出れないありさまだ」
リリアナはゲームのようなことが起きた後のことを危惧していた。ヒロインはただの平民でしかなく貴族との結婚なんて男爵くらいまでしか通常はできない。できたとしても側室、愛人にしかなれないし仮にできたとしても貴族としての教育をしていないヒロインは上級貴族とはやっていけない。攻略対象も白い目で見られ、本来得られる恩恵は受けられないだろう。下手したら身分剥奪の上、身一つで平民にされる。攻略対象の婚約者の嫉妬に狂ったうえで婚約破棄などされたら誰とも結婚できずひっそり暮らすことになるだろう。そうならないために、ラインバルトに助けてもらいながら攻略対象と婚約者の関係を固いものにしてきたのにローズマリーのせいで領地周辺は大混乱、それを何とかするために領地を駆け回り授業はろくに出れなくて留年することに。元々は学園に結婚相手を探しに来たのだがそれにも手が付けられていないが、そこはラインバルトが婚約者を見繕ってくれ、卒業後のことも世話してくれることになっている。
ずっと下を向き震えていたのは怒りに震えローズマリーをみると殴りかかりそうなのを耐えているのだ。
「兄上、売られていたものの回収終わりました」
ラインバルトとローズマリーしか口を開かない会場内に大きなドアを開ける音を立て、数人の兵士を伴ってラインバルトの弟にして王太子のグリンバルトが入ってきた。
「グリンバルトか。すまないな、王太子のお前にこんなことさせてしまって。被害の方は出なかったかい?」
グリンバルトを見ると先ほどまで怒りに青筋立てていた顔は笑顔に変わり、ブラコン全開の兄の顔になっていた。ゲームでは兄弟仲は険悪でラインバルトルートに入るとグリンバルトが王太子になれないことに腹を立てラインバルトを殺害しようとして返り討ちにあう。だがこの世界では、前世の記憶に混乱しグリンバルトがラインバルトを頼るようになり、頼って自分の後ろをくっついてくる弟が可愛く、ラインバルトはブラコンをこじらせた。可愛い弟に少しでもカッコいい兄でいようと勉学や剣術などにも積極的に取り組み他者への気遣いも心掛けた。グリンバルトが前世の記憶を打ち明けたときも自分だけで考えず、元老院のお偉方に教会関係者、学者を集め意見を求めた。教会関係者は神の使いとグリンバルトをたたえ教会は全面的にグリンバルトを支援するといってもらえた。学者は魂魄理論という学説を提唱しあり得ることだと結論づけ、研究に協力することを条件に協力を得た。その研究もグリンバルトの記憶にあるものの再現だったのでこちらとしては条件など内にも等しい。教会と学者の協力を得てグリンバルトのための研究所が作られ数々の功績をあげ、最後には元老院も賛同しグリンバルトは王太子になったのだ。
「父上の命ですからお気になさらず。僕が動くことで民たちに不信を持たれないようにしたのでしょう。数人が食した後でしたが少量しか食しておらず解毒できました。死者はいません。研究所に以前作った解毒薬があって助かりましたよ」
「あっあの、回収とは私が王都で売ったものでしょうか?」
「それ以外ないでしょう。全くあんなもの売るなんてそんなにこの国を破滅させたいのですか?」
「マヨネーズにいったい何か問題が?」
マヨネーズはローズマリーの大好物であり、今まで部下にも教えず一人で楽しんでいたが、今回王都に来るにあたり何か売りだそうと思ったが他の物が思い浮かばず売り出したのだ。個人で作っていたもので数は少なかったことが幸いし被害は少なくて済んだ。
「大ありですよ。この世界で卵が毒だと知らないのですか?焼くか茹でるかして無毒にしないと食べられないのに生卵を使ってマヨネーズを作るなんて。しかも、賞味期限をもうけないなんて。馬鹿ですか?いえ馬鹿なんですよね。じゃなければこれまでのことが説明つきません」
普段民思いで、笑顔を絶やさないグリンバルトが無表情で淡々と毒をはくのは実に怖い。ラインバルトもこんな顔弟にしてもらいたくはなくできることなら汚物でしかないローズマリーをグリンバルトの視界にすら入れたくないのだがここはぐっとこらえている。
「そんなはずありません。私は毎食使っていますがなんともありませんでした」
「そりゃぁそうだろう。俺の婚約者として王族に嫁ぐため教育を受ける中で毒に対する抗体も身に着けているはずだ。その教育がされてなければ貴様が卒業した時点で婚約破棄させていたはずだ。それでグリンバルト、父上から今回のこと他に何か言われてないかい?」
「はい。今回のこと裁きは僕に一任するそうです。兄上との婚約については破棄ではなく婚約自体なかったことにするそうです」
「そうか。それじゃ兄に立派な裁きをするグリンバルトを見せてくれるかい?」
これ以上この汚物を弟の前に置いときたくないのと弟の立派な姿が見たいラインバルトは裁きを促す。
「わかりました。では、これまでのことにかかわった者たちにはその罪の重さに応じた期間鉱山での労働、侯爵は降格し子爵にした上領地3分の2を剥奪とします。剥奪した領地は今回頑張ってもらった隣接する領地の方に分け与えることにします。もっとも功績を上げたリリアナ嬢と男爵には伯爵にし剥奪した領地の半分を与えます。最後に主犯のローズマリー嬢は、1ヶ月間投獄拷問し持つ知識をすべて吐かせたのち前世の知識を悪用するものが出るかもしれないので王家の下働きとし王家の管理下に置いたうえで、身分は奴隷、魔力封印の上足の健を切ります」
「最後の健を切るのはなぜか聞いてもいいかい?」
「はい、健を切り走れなくすることで脱走を防ぎます。それと自由に動けないという罰にもなります」
「それなら奴隷契約で縛れば問題ないよ。健を切ってしまうと労働力としての価値が減るから契約内容に仕事以外での行動制限をかけたらいいんじゃないかな?まぁ寝る時くらいしか自由になる時間はないだろうけどね」
「それもそれですね。前世の知識では奴隷には逃亡防止に健を切るのでうっかりしていました。ご指摘ありがとうございます」
「いや、横槍を入れる形になってしまいすまないね。それ以外な完璧だ。さすがグリンバルト、優秀は弟をもって兄は誇らしいよ。さあ、あとは兵士に任せてパーティーを楽しもう。グリンバルトの王太子になってから初仕事のお祝いをしないとね」
「ありがとうございます。兄上」
「皆もパーティーに戻ろう。共にグリンバルトの初仕事を祝ってくれ」
うなだれ虚ろな目をしているローズマリーはグリンバルトの連れてきた兵士に連れていかれ、残ったものたちは口々にグリンバルトに祝いの言葉を口にしてパーティーを楽しんだ。リリアナも今回の功労者として皆にたたえられ是非婚約をと言う者まででてきた。
その後、大公になったラインバルトは学生時代から仲良くしていたローズマリーとは別の侯爵令嬢と相思相愛の恋愛結婚をし子宝に恵まれながら、弟を支えた。
グリンバルトは多くの者に支えられ学園卒業5年後には王位を継ぎ賢王として様々な偉業を成し遂げた。
リリアナはラインバルトの用意した職には就かず婚約者を婿にとり自領を栄えさせ前世の知識を用いて魔道具技術を大いに発展させた。度々知識交換のためラインバルトとグリンバルトに会っていたことから愛人関係にあるなどという噂も出たりしたが、ラインバルトが妻とラブラブでありグリンバルトの誠実さにより噂は信憑性を持たず本人たちの知る前に無くなった。
攻略対象も婚約者と仲睦まじくグリンバルトを支えている。
ローズマリーは、投獄中はろくな知識を出すことなく譫言を繰り返すのみ。下働きになっても叱られるばかりで使い物にならず最後には容姿はよかったので拉致監禁容疑のある変態趣味の貴族摘発のため囮として使われた。十分な証拠が集まり貴族の屋敷に兵を送った時には地下の牢の中で暴行の末死んでいったらしい。