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あるオタクの恋愛  作者: 穹音みどり
2/5

第2話


「いらっしゃいませ。 あぁ~、相崎君、また来てくれてうれしいにゃん。」


「えっと、うん。」



僕はメイド喫茶に入る。

可愛い猫耳をした、可愛い女の子が、僕にビジネスライクな好意を向けてくれる。



「むう、相崎さんっていっつもそうやってぷくーって膨れた顔をして、駄目ですよ、笑顔、笑顔。 」



おせっかい焼きのメイドさんにそう言われて、

僕はぎこちない笑顔を作る。



共同体から孤立している僕には、

こういった場所が必要だ。



僕に優しい場所が必要なんだ。




「…相崎さんの笑顔は、見てると、苦しくなります。」



「えっ?」



「……いえ、何でもありません。 ほら、ご主人様、ご注文は何にしましょうか?」



「んーそうだな、僕とお話して欲しい。 えっと、君と僕に、ジュースを1つずつ。

 ジュースは適当に選んで。」



「おおーっ、つまり相崎さんは、私と同じジュースが飲みたいと?」



「……うん、それでも良いよ」



「むー、つれないですねー、じゃあ、交換しちゃいます?」



何故彼女はこんな勿体ぶった事を言うのだろう。

君はかわいい女の子なのだから、わざわざ誘ってくるような事、するなよ。



「…じゃあ、君と同じにしてくれ。」



「はーい、ご主人様」



そう言ってきゃぴきゃぴした動作で

ジュースを淹れに行く彼女を見ると、僕は敵わないな、

と思った。




僕には彼女のようなエネルギーはない。

だから、自分にないものを持っている彼女の事を、

素直に羨ましいと思った。



僕にもエネルギッシュな人間だったならば、

この世界を楽しく生きる事が出来たのだろうか。





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