act.8 真相のピース
北里の言う彼の『別荘』は、十一階にあった。
エレベーターでそこまで上がり、彼の別荘、もとい、1104号室へ案内される。
「ここは資料の保存用に借りてるだけなんだ」
「なるほど。それでこーゆーハイセキュリティが必要ってことか」
個室もかなりセキュリティが高く、鍵穴に鍵を差し込んで回しても、そのあとまた暗証番号が必要になる造りだ。
緋凪が、もし何の準備もない状態でここへ侵入しろと言われたら、まずエントランスを突破するのには十秒前後で足りるが、目的の部屋で暗証番号を解析するのに数分は掛かるだろう。専用の機器がなければ、番号の解析は厳しいかも知れない。
(……って無意識に考えちまう辺りがもう、一般の世界に戻れねぇ感バリバリって感じだよなー……)
遠い目をして吐息を漏らしたのと、部屋の鍵が解除されるのは同時だった。
もう夕方が近くなった所為か、室内は薄暗い。
「スリッパはないけどまあ上がって」
先に入った北里が、電気のスイッチを入れる。明かりに照らされた室内は、玄関入ってすぐに見渡せた。
本来なら部屋を区切る為にあるであろう壁が一切見当たらず、代わりに書棚が林立している。
「書庫専用の物件なんだ。人は住まないからこそ、セキュリティや本を管理する為の施設は完備されてる」
言いながら、北里が書棚の隙間に消えた。慌てて追い掛けると、目的であろう棚に先に到達していた北里は、迷いのない手つきで資料を引っ張り出し、片手に抱えている。
「ホラ、これ持って」
すぐ傍に来た所為か、北里は緋凪に抱えた資料を手渡した。
「閲覧とかする為の部屋もあるから、纏めてそっちに持ってくよ」
初めて見せる真剣な表情で、彼は抱えきれなかった分を再度棚から取り出している。
あとから来た宗史郎にもそれを渡し、三度同じ作業を繰り返した北里は、書類を抱えた緋凪と宗史郎、女性二人を先導して書棚の隙間を縫って進んだ。
辿り着いた別室は、広さが十畳ほどもあるだろうか。中央に広々としたテーブルが一つあり、その周囲に椅子が何脚か鎮座している。壁際には張り付くように小さな書棚が並んでいた。
一つの事件の資料を机に山と積んで調べ物をするには、なるほど最適な場所だ。
北里は自分が抱えていた資料をテーブルに置くと、緋凪たちにもそこに資料を下ろすよう促した。
「千明君が持ってたのが、十年前にあった事件の資料。椙村刑事サンが持ってたのが五年前、つまり志和里チャンのパパ殺害事件のだね。そして僕が持って来たのが、今まさに捜査進行中の、佐伯慎太郎氏殺害事件の分。まあ、これは犯人が捕まったのがごく最近だから、あんまり集まってないけどね」
言った通り、彼が持っていたのは、分厚い紙束が一つ分だ。
「十年前?」
緋凪は眉根を寄せた。
「どういう意味だよ。まさか、十年前にも同じような事件があったってのか?」
「ご明察」
北里は面白がるようにニヤリと唇の片端を上げ、緋凪の置いた資料の山に手を伸ばした。一番上に置かれていたファイルの分厚い表紙をめくって、一ページ目を示す。
「これ見て。十年前のその事件の新聞記事」
宗史郎もそれを覗き込んだ。
事件が起きたのは愛知県の名古屋のようで、その地域の事件記事の面に小さく載っていたものらしい。
「けど、これが何で関連付けできるんだ?」
チラリと見た緋凪は、北里に目を向ける。すると、北里は胡乱げな目で睨み返した。
「じゃあ逆に訊くけど、何で関連付けできないの?」
「だって離れ過ぎてるだろ、事件が起きた地域が」
「それ言ったら、志和里チャンのパパだって死んだのは静岡でしょ? 彼女の当時在住してた千葉とだったらちょっと距離あるよね」
「う……それは」
志和里本人にも聞いたことで、緋凪もそれは知っている。
「緋凪君、落ち着いて。よく読んでみて」
宗史郎が、ポンポンと緋凪の後頭部を軽く叩くと、記事の内容を示す。
「被害者は当時名古屋在住だった立川健氏、四十五歳。逮捕されたのは……えっと」
宗史郎は、言いながらファイルを自分のほうへ一度引き寄せた。
ファイリングされた紙をめくって、目標の箇所を見つけたらしく、緋凪のほうへ向ける。
「ホラここ。逮捕されたのは、当時神奈川在住だった別居中の妻、立川リエさん。だけど、本人はずっと別居中だったってことで当日のアリバイもちゃんとあるって、無実を主張してたって書いてある」
「それって……」
志和里や、文乃・弥生姉妹の母親のケースとまったく同じだ。
「でもこれ、アリバイまであったのに逮捕起訴されてんの?」
「そうみたいだね。被害者である健氏に多額の保険金が掛けられてたのと、受取人が彼の妻であるリエさんになってたことで、ほかに動機のある人物がいないとされたのとプラス、所轄の警察が解決を焦ったんだ」
「でも、パターンとしちゃ似てはいるけど、コイツと志和里たちの件が繋がってるって根拠がどこにあんだよ」
「それはこっちの資料までちゃんと目通してから言って欲しいなぁ」
肩を竦めると、北里は彼曰くの最初の事件のファイルの山から、次のファイルを手に取った。
「そのファイルは、あくまでも新聞記事になった分だけ。図書館に保存されてたもののコピーだけどね。で、こっからが僕が独自に調べたこと。て言っても、当時は連続して似た事件が起きると思わなかったから、記事だけ保管して放置してたんだ。だから、志和里チャンのパパの事件を追い始めてから、類似性を感じて調べ直した。そういうわけで、ちゃんと調べた時には事件発生から五年は経ってたけどね」
彼の手が、ファイルの表紙をめくった瞬間、緋凪の深い青色が瞠目する。宗史郎と朝霞も同様に目を見開いた。
「……コイツ……!」
二冊目のファイルの一ページ目には、履歴書様に写真入りのプロフィールがある。
その人物の名前は『立川成』。年齢は当時十八。十年前の事件なら、現在は生きていれば二十八歳になっているはずだ。
志和里たちと同様、別居中だった父が殺害され、母が容疑者とされたことで二年ほど不遇の時代を送ったと記されているが、問題はそこではない。
「宗史郎、コイツまさか……」
宗史郎に目を向けると、彼はまだ食い入るように成少年の写真を見ていた。朝霞もだ。
見覚えのある、黒目がちの昏い瞳。どこかこれといって強烈な印象はないが、整った顔立ち――この写真は十八の時のそれで、額は前髪で隠れているが、年齢的にはすでにほぼ成人している。その後数年が経ったとしても、整形でもしない限りはそう極端な面変わりはないはずだ。
履歴に目を戻すと、立川成は十八歳で事件に巻き込まれ、二十歳の時に出会った、ある人物の配慮により『角谷』姓に変わっている。二年遅れでその人物の運営する学園の短大を卒業し、同時に卒業校の用務員として雇われていた。
「……気が付いた?」
揶揄するような笑いを浮かべた北里が、面白がるような顔で緋凪に目を向けた。
「それで俄然、君にも興味が沸いたんだ。ま、君に興味を持つには三年前の千明夫妻殺害疑惑事件単体でも充分って言えば充分だったんだけど」
肩先を上下させて、北里は耳障りな笑いを合いの手にしながら言葉を継ぐ。
「調べてさすがに僕も驚いたね。まさかこんな風に別々の事件が繋がるなんてさぁ。これだから事件事故を追うのはやめらんない。まさに『事実は小説よりも奇なり』ってヤツだね」
だが、緋凪の耳には、北里の言葉はほとんど入っていなかった。
「……何でここで奴が……小谷瀬が出てくるんだ……」
角谷の履歴に目を落としたまま、呆然と呟く。
理不尽な世間の非難やマスコミの無神経な取材に晒されていた成を世話し、姓変更の手続きを行い、その後『学園』の用務員として雇った人物こそ、この資料に記されたところを見ると小谷瀬康文――春生の事件を隠蔽しようとして、叔母一家を恐喝した人物だ。
「コイツが出てくるなら、何らか必要があったからに決まってるでしょ。単純な善意なんかじゃ絶対にないのは確かよ」
朝霞が吐き捨てるように言う。
彼女にとっても、小谷瀬康文は憎むべき仇なのだ。そして、宗史郎にとっても。
「……その辺、背景の調べは付いてんだろな」
顔を上げると、視線を向けた先にいた北里は、「もちろん」と言って肩を竦めた。
「但し、結論から言うと、君たちが期待してるような繋がりじゃない。小谷瀬康文氏が当時、立川成を保護・援助したのはどういう思惑からかは分からないけど、小谷瀬康文と現在角谷成と名乗ってる男が出会ったのは単純な偶然さ。この保険金殺人……仮にそう名付けるけど、この連続殺人事件、実行犯は別にいる」
「どういう意味だよ」
「八年前に、首都圏以北の広範囲で大きな震災があったでしょ。小谷瀬と角谷が出会ったのは、この年らしいよ。ちょうどこの頃、角谷は両親の事件の影響から裏社会で生計立てるしかなくて、そうやって首都圏で生活してる時に地震に遭った。で、小谷瀬が手持ちの施設を解放して、避難所を提供してたところへ転がり込んでたみたいだね。あ、君たちが思ってることは今は口に出さないでね、話が逸れるから。表向きには小谷瀬は篤志の資産家なんだ。今もね」
緋凪は鋭い舌打ち混じりで吐き捨てた。
「篤志が聞いて呆れるわ。今の篤志家って奴らはイコール、その名声を保持する為に一般人を銃で脅す連中を指すんだろうな」
「それは純粋な篤志の皆様に失礼じゃないの」
てゆーか口に出さないでって言ったのに、と挟んで北里は続きの資料を開いて示す。
「この辺は当時、立川健氏が住んでた近所を聞き込みした記録。彼は当時、『自称・妻』の『リエさん』と一緒に住んでたらしい。だから警察も、神奈川で逮捕したリエさんの否認を無視したんだ。健氏が死んだ時の通報は『妻のリエさん』から、保険金を受け取ったのも『妻のリエさん』だったんだから、当然っちゃ当然だよね」
「保険会社とか、保険金振り込んだ銀行とかに確認は?」
「もちろんしたよ。契約した名義もすべて『妻・リエさん』。ただ、振り込まれた口座だけは、保険の契約した頃開設して、振り込まれた保険金を全額下ろしたあとすぐに解約されてる。それも警察では『犯人イコール、リエさんによる隠蔽工作』と見なしたんだ」
「それって記録上だけの名義だろ。保険にしろ銀行口座にしろ、契約した本人に関するリアルの情報はないのかよ。人相とかは?」
「こっちで入手できてたのは、『リエさん』本人の写真だけ。だから、これを元に調べた結果、保険会社でも銀行でも、契約したのはこの写真の人物ではないことだけは分かった」
「警察に確認は?」
「一応探りを入れる程度のことはやったよ。通報した『自称・リエさん』の人相が違えば誤認逮捕はなかったはずなんだけど、そうじゃなかったらしい」
「つまり、人相が同じだったってことか?」
「印象が似てたのか、そっくり同じだったかは何とも言えない。犯人側もバレた時を想定して、偽名を名乗るだけじゃなく人相も変えてたらしいね。それが果たして化粧の特殊メイクによるものか、某泥棒アニメ張りの変装か、はたまたちゃんとメスを入れた末の整形によるものかは分からない。ただ、そのあとに続いた二つの事件でも同様だったところを見ると、三番目の予想の線は薄いかなって個人的には思ってる。詐欺を働くのにいちいちメス入れて整形するなんて、リスキー過ぎるからね」
再度、苛立った舌打ちが漏れる。
「角谷自身は、母親の冤罪をどう思ってたのかな」
ふと呟いた宗史郎に、北里が目線を転じた。
「彼にも一度だけ取材を申し入れたよ。でも、彼の場合はけんもほろろっていうか、それこそナイフか銃が出て来兼ねなかったからね。早々に退散させてもらったんだ。僕も命は惜しいからさ」
「自分より弱い奴にしかストーカーできねぇって、卑怯ないじめっ子の典型だな、あんた」
「何とでも言ってよ。僕がゴシップを追及するのは、そうすることで嫌そうに歪む取材対象の顔が見たいからってだけの話。自分が命懸ける謂われはないの。第一、命あっての物種でしょ」
「サイテー以下のゲスだな、マジで」
それこそ早々にヒートアップし掛けた緋凪のクールダウンとばかり、「ごめん緋凪君」と宗史郎が手を挙げて遮る。
「できれば彼がヘコむまで続けてって言いたいトコだけど、脱線するから黙ってくれる」
緋凪は口を引き結び、肩先をヒョイと上下させた。
こちらが黙ったのを確認した宗史郎は、北里に向き直る。
「で、北里さん。取材申し入れたってことは、少しは収穫あったの?」
「残念ながら何も。好きにでっち上げ記事書いちゃうよーって言っても『好きにしろ』『失せろ』の二言しか返って来なくて、終いには本気の殺意向けられたからね。そうなったら深入りはしないのが僕の主義。その点、千明君には『顔の形が変わると思え』とは言われたけど命までは取られそうになかったからね」
「殺気が足りねぇってことかい。ご教示ありがとよ」
吐き捨てるように言うと、宗史郎にジロリと睨まれてしまう。
もう一度肩を竦めて唇を引き結ぶと、宗史郎は北里に視線を戻した。
「北里さん。頼みがあるんだけど」
「何でしょう?」
「この資料、コピーさせてくれないかな。この部屋、コピー機はある?」
嫌な顔をするかと思いきや、意外にも北里はあっさりと「いいよ」と言った。
「でもこの部屋にはコピー機はない。よかったらあげるよ、この資料」
「はあ?」
覚えず口からこぼれて、北里を注視してしまう。ほかの面々――特に朝霞と宗史郎も同様だった。
「……何たくらんでんだ?」
暫時のショックから立ち直り切れないまま緋凪がボソリと呟く。
「槍でも降るのかな」
これは宗史郎だ。
「裏があって言ってるんでしょ。ほかに何が望みなの?」
朝霞が思う様眉根を寄せて詰め寄ると、北里も同様に眉間にしわを刻んだ。
「だーかーらー、もう言い飽きたけどホント、僕に対してどーゆー偏見に満ちてんのさ。第一、資料が欲しいんでしょ? あげるってんだから素直に受け取っとけばいいのに、僕の気が変わらない内に」
「あんたみたいなのが何の見返りも得ずに善意でこっちの要請聞いてくれるって考えるほどめでたくないんだよ。マジな話、何が望みだ?」
すると、これも初めて見せる真顔でこちらに視線をくれた北里は、腕組みしながら「何も」とポツリと言った。
「何も?」
「強いて言えば、これで放免にして欲しいだけかな。千明君の過去にはヒジョーに興味も未練もあるけど、君には怖ーい刑事のお兄さんが付いてる。下手にツツくと本当に牢獄送りになりそうだから、この事件共々、ここらで手を引かせてもらうよ。もちろん、もう志和里チャンにも関わらない。それが君の望みでもあるんでしょ?」
「それを素直に信じると思ってんのか。偽証罪で捕まるぜ?」
「それって法廷でしか通用しない罪状じゃない。いちいち言わなくても察してもらえると思ったけど」
「察しが悪くてすまねぇな。あんたみたいな人外生物の考えることなんて推測不可能なんでいちいち言ってくれると助かるんだけど」
「はい、ストップ!」
鼻先を付き合わせんばかりの睨み合いと、嫌みの応酬に発展しそうなのを見兼ねたのか、宗史郎が緋凪と北里の間で火花が散りそうな視線を遮るように掌を入れる。
「じゃあ、この資料はありがたくちょうだいするよ。それとあと一つ聞かして欲しいんだけど」
宗史郎は、彼へ視線を向けた緋凪の肩先を押して下がらせながら、北里に目を向けた。
「司法取引――とは呼べないものだけど、僕らの間の取引材料として、君は清宮克典さん、佐伯慎太郎さん両名の殺害事件の真犯人を知ってるって言った。その真偽は?」
北里も真顔のまま、宗史郎を見つめ返す。
「結論から言っちゃうと、知らないのが正確。そこまで調査進んでないんだ。でも、この資料の指し示すところは一つでしょ。犯人はこれまで逮捕されてきた容疑者たちとは別にいるってね」
宗史郎は、吐息を漏らした。
「分かった。最初の条件とは違うモノにはなったけど、この資料は君の要求と棒引きにするのには充分過ぎる。君がもう緋凪君や片瀬さん、佐伯慎太郎さんの件に関わらない限り、こちらも君を罪に問わない。これでどう?」
「了解。それでいいよ。あとでいいから文書にしてくれる? 言った言わないの水掛け論になってもメンドクサいし」
「安心しろよ。ちゃーんと録音してある」
緋凪がボトムのポケットからICレコーダーを取り出してかざす。北里は「やっぱり?」と言いつつ、顔をいかにも嫌そうに歪ませた。
それを見た緋凪は、鋭く吐き捨てる。
「都合よく被害者面してんじゃねぇよ。それに俺的には納得できねぇけどな。まだ裏がありそうだし、野放しにしといたら今後も俺ら以外の人間にこーゆーストーカー行為繰り返すんだろ。ふん捕まえといたほうがいいと思うけど」
「じゃあ、本音は全部吐いとこうかな」
クス、と小さく笑うと、北里は耳に髪を掻き上げるようにしながら口を開く。
「正直言って、僕はゴシップを追うのが三度の飯より大好きだ。『君が正直に言ってくれないと、でっち上げ記事好きに書いちゃうよ?』って決め台詞で、相手が泣きそうになってくれたらもう堪らない。圧倒的有利な状況しか経験してないから、千明君と初めて会った時のスリルも、それなりに楽しかったよ。けど、それはまだ僕自身が状況を操れるって思ってた時の話」
ふっ、と吐息を挟んで、北里は両手を挙げた。
「現職の警官サンが出て来ちゃったんじゃ、完全にお手上げ。重箱の隅ツツくみたいに僕の言動観察されてさ、いつ豚箱行きになるかって思ったら正直気が気じゃなくて取材どころじゃない。ムショの中でいいコにしてるのもいつまで禁断症状が出ないかって考えると、雲行き悪過ぎるしね。まぁ、感謝はしてるよ? 今回は深入りしないで引き際を考えるってコト、勉強さしてもらったからね」
「えっらそーに」
鼻を鳴らして何度目かで吐き捨てる緋凪を半ば無視する形で、今度は宗史郎が口を開く。
「君が言いたいことはよく分かったよ。これ以上会話してると頭がおかしくなりそうだからそろそろ退散したいけど……あと一つだけ提案してもいいかな」
「何?」
「あくまでこの件が片付くまででいいから、情報収集にこのまま協力する気、ない?」
©️和倉 眞吹2021.