なぜ日本人なのか その1
小学校の帰り道、傘で遊んだのはアバンストラッシュですか?それとも飛天三剣流ですか?
作中小説 テンプレ夫君の異世界譚2
~テンプレ夫君、修行する~
異世界転生した俺は、宮廷魔導師もかくやという魔力にものをいわせて、日々魔法の鍛練に励んだ。
この世界の魔法はイメージが重要で、現代日本で科学を学んでいた俺はより効率的に威力の高い魔法を発動させることができた。
3歳になったいまでは、7種類ある属性すべての上級魔法までと、前世の知識を活かしたオリジナル魔法をいろいろ使えるようになった。一時期、アニメやゲームに出てきた魔法の再現に凝ったりもした。メ○ローアかっこいいです。
もうすぐ剣術の稽古が始まるらしい。アバ○ストラッシュができるようになりたい。
では、なぜ我々日本人は異世界に転生するのだろうか。それは、やはり作者あるいは主人公と読者が、共通の話題を「知っている」からなのだ。
例えば火の玉を敵に打ち出す魔法を説明するに当たって、色は、形は、大きさは、勢いは、温度はと逐一述べるよりも、「某国民的RPGのメ○ゾーマ」と書くほうが手っ取り早い。
だって、みんな「知っている」からなんとなくイメージは伝わるでしょう?
街並みだって、とりあえず「中世ヨーロッパ風の」と言っておけばそれぞれの思い浮かべるタイトルは違うかもしれないけど、それっぽい世界観のゲームなりアニメなりの風景が浮かぶでしょう?
そう、異世界に行くあれこれを説明する場合と同様、既存の作品を引き合いに出すのは楽なのです。
ライトなノベルであるはずのテンプレ異世界もの、すらすらと読み解くためにはいろいろと基礎教養がいって、なんだか和歌の世界に似ていますね。
和歌は、万葉集や古今和歌集などの知識があることを前提としていて、たった一言の中に単語そのものの意味とその単語にひっかけた別の単語の意味と、その単語を使って詠まれた有名な歌の内容を踏まえた意味と、さらにその歌の返歌の内容まで踏まえられていることもあり、ものによってはその単語が枕詞として使われたときの――と、けっこう大変なのです。
テンプレ異世界ものにも、マニアックな作品知識を要求されるような、例えば「おっさんホイホイ」タグつきの作品なんかもあったりしますね。
俺その世代じゃないけどわかるもんね、とちょっとした優越感に浸れたりもします。好きですよ、おっさんホイホイ。
上に歳の離れたきょうだいがいると、おっさんホイホイに対応しやすい。
あと、鯖を読んでいると言われる。
こむるはどうだったかって?一回り以上歳の離れたきょうだいがいた上に、パパンがマンガ、ラノベに抵抗のない本の虫だったよ!