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一攫千金
「十美、今まで苦労をかけたなぁ。」
「おじいちゃん、しっかりして!おじいちゃんがいなくなったら私、一人になっちゃう。」
「お前なら大丈夫だ。こんな私にも尽くしてくれたお人好しだが、しっかりしてる。だからといってはなんだが、最後に頼み事がある。」
「頼み事?」
「私のかわりに、自由に楽しく生きておくれ。」
それが、祖父の最後の言葉になった。
両親をなくした私をかわりに育ててくれた祖父はギャンブラーだった。
とはいえギャンブルに強いわけではなく、裕福とは言えない生活を送っていた。
生活費をギャンブルにつぎ込む人で、だからなのか他に親戚も知り合いもいなかった。
そうして私は一人になり、残されたのは二人で過ごした家ともうひとつ。
祖父が最後に当てたとんでもない大金だった。
それはもう、一生涯遊んで暮らしても余るほどの。
「てっきり借金だと思ってたのに。」
親戚との連絡は断たれており、私はそれを受けとることになった。
「よし、決めた!」
これを使えなかった、おじいちゃんのかわりに私が自由に楽しく遊んでくらす!