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バルガク。  作者: ホワイト大河
第二章 気づいてしまえば、戻れない
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ようこそ!生徒会執行部(8)

 12月19日(水) 12:48


部長会の舞台である二年会議室に、キャストが集い始める。

最も黒板に近い奥の中央の席が会長席、その左隣が副会長席、

そして右隣が既に神様の座っている会計席。

さらにその両脇を文化委員長飯島先輩、体育委員長翔ちゃんが固め、

円形を為す複数の机から離れた机に、書記席が二つ。

そのうちの一つにあたしが座ってるわけだが、月山先輩遅い!まだ来ない!


部長側キャストも揃い始めており、

まずあたしの顔見知りで言うと美術部の部長、佐々木大祐先輩。

クールで無口な芸術家肌、コンクールでも入選している実力者。

他には……うーんちょっとあたしには分からないけど、

それぞれ部活の名前が入ったプレートが用意されていて、

それを見て、そこに座るそれぞれが何となくイメージに合ってるなーと、

のんびり見渡していた。しかしみんな優秀そうな顔をしてるわ。


気になるのは会長席と対極に置かれている「部長会・議長席」。

しかも陸上部のプレート。という事は陸上部の部長が兼任してるのね。

ついでにその隣は「副議長席」、弓道部の部長さん。


「お待たせ、サユ。」


後ろから声を掛けられて振り返ると、誰じゃお前は!って顔の月山先輩。

いつものメイクとは違う微メイク。おしとやか系女子。なってないけど。


「先輩なんか今日感じ違いません?」

「しっとりメイクよ。イケメン揃いですもの、敏腕書記ぶりを見せつけなくてはいけませんから……」


本当にあなたは誰?演技入りすぎよ。

そして花園会長、桜塚副会長も場に現れ、着座した。

残るは議長、副議長なる二人。時計が12:59を指したその時、

その二人は場に現れ、着座した。……議長席に座った男に、見覚えがあった。


「全員揃ったようだな。部長会始めようか。」

  陸上部部長(部長会議長)  城崎 仁 


アンタが来るの待ってたんだよ!っていうのは置いといて、

……城崎先輩。先の選挙では桜塚先輩に大敗を喫したけど、

やはり何かしらのポストには着いていたようね。


「一応新部長着任式は、私たちの方で済ませてあるので、執行部の方々の挨拶と、代理の方の紹介だけ済ませて頂ける?」

  弓道部部長(部長会副議長)  周防 彩愛 


月山先輩が速筆ですごい丁寧に綺麗に書いてる。やっぱこの人凄いわ。

だからあたしには余裕があって、色々観察する事が出来た。

副議長さんは長髪を古風に縛り、凛とした雰囲気を持つ女性で、

何と言うか……ペースを自分のものにするのが上手そうな人だった。

※キャラが大量に登場しますが、覚える必要はありません。


「改めまして、この度新生徒会長を務める花園です。と言っても顔馴染みばかりの二年生メンバーに詳しい紹介は必要ないと思いますが……十六の部全てが納得いく形に終われたらと思っています。よろしくお願いします。」


と、花園先輩を皮切りに、神様やあたしを含めた、

その場の執行部メンバーが次々と短い紹介をしていく。

あたしが紹介し終わった所で、また花園先輩が口を開いた。


「本日の会議は桜塚と上川、進行を委ねたいと思いますので、何卒協力を。」


……その最後の微笑みには、言う時には言うからな、という警告が、

含まれていたようにあたしには思えた。やっぱりただの会議ではない、コレ。

飯島先輩がさっきの「代理の方」という部分の紹介を始める。


「えーそれから、バスケ部、水泳部、演劇部は部長が執行部メンバーなので、今日の部長会には副部長に参加してもらってまーす。」


それぞれ桜塚先輩、後藤先輩、月山先輩の代理なのね。

代理の副部長三人は、居心地悪そうな顔をしている。やっぱこの会議何かある。



「疲れたんだけど。まどろっこしーから早く進めるぞ。」

  サッカー部部長  風間 悟志 

「出たよ風間節。でもサンセイ。ちょっと前置き長すぎデショ。」

  柔道部部長  妙典 啓吾 


突然場の空気が変わった。

サッカー部部長さんが、食い入るような目で神様を見る。


「そっちのスタンスはどーなんスか?会計サン。」

「おい風間、お前いきなり当たり強すぎるだろ……」

  野球部部長  乾 練磨 

「実力ない部活の部長は黙ってろ。で、どうなの?」


神様、完全に見下されてるわ。一年生だからって……。

止めようとしてくれた野球部部長さんは急に押し黙っちゃったし……。

逆風の中だけど、神様はハッキリと答えた。


「去年とほとんど変わらずです。人数をメインに考えて予算を割り振ります。」

「……考えるのはそちらなの?部長会側ではないのかしら。」


噛み付いたのは副議長。しかし神様の対応はこの程度では揺るがんぞ。


「基本的にはそうですね。割り振りは第三者が行うべきかと思いますが。」

「……結局数値的に行うのであれば執行部がやる必要は無いのでは?」

  書道部部長  野崎 裕翔 


「人数ってのに納得いかないけどな。野崎ントコみたいに幽霊部員で部費稼がれても困るデショ。」

「……何だと?」


書道部さんと柔道部さんがいきなり危ない雰囲気……。

話題が入り混じって、会議は荒れ始めた。

※使い切りのキャラたちなので、名前を覚える必要はありません。


「実力順にしようぜ。全国出場の剣道部さんが立場強いくらいじゃねーと。」

「え?いや、私は……」

  剣道部部長  神來 白虎 

「風間、汚い男だ。引っ込み思案の神來が何も言えないのを見越して……。」

  科学研究部部長  千田 利哉 

「オタクに聞いてねえよ。で?剣道部さんが何も言わねーなら次は弓道部、それで次が俺たちサッカー部になるわけだけど?」

「とりま人数制に納得いかないってのサンセイ。遊んでるだけのオタク部とか幽霊多い書道部に無駄な金渡したくねデショ。」


……色々思うことあるけど、とりあえず、

たっちゃん部活行って。ほんと。書道部の部長さん可哀想。


「実力制を提示する馬鹿が居ますが、個人競技団体競技、体育会系文化系入り交じる部活動の中で、単純な実力主義による比較など問題外でしょう。」

  ESS部部長  樋口 ウィーナー 

「馬鹿っつったかおい非国民。」

「知恵遅れの方が宜しかったですか?」


「みんな、喧嘩はやめてよぅ……」

  吹奏楽部部長  宝生 沙月 

「……争った所で何も解決せぬ。時間の無駄ぞ。」

  テニス部部長  赤羽 尚樹 

「何にも進まんではないか。上川、こんな奴らの事放っておけ。人間は醜い。」

  卓球部部長  小野寺 勇志 


何か疑似神様みたいなの混じってたけど、とりあえずカオス。

みんなが思い思いの事を口にしている。これで普段会議は成り立ってんの?

焦るあたしとは裏腹に、議長城崎先輩は笑っていた。

……恐らくいつもは、城崎先輩の秩序のもとに成り立つ集団であり、

この例外的な混沌も彼が作ったものだろう。……なんてヤツ。


反論の答えは用意していたものの、このような事態の対処法にまでは、

頭が回っていなかった神様は、ただ状況を見ていることしか出来ない。

そんな時、桜塚先輩がため息をついて、左隣の花園先輩の肩を叩くと、

花園先輩は笑顔のまま、ドンッと重たい拳を机に叩きつけ、

教室は水を打ったように静まり返った。でました花園先輩恐怖の鉄拳制裁!


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