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バルガク。  作者: ホワイト大河
第二章 気づいてしまえば、戻れない
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ようこそ!生徒会執行部(7)

 12月17日(月) 8:34


みんな!とうとう来てしまったわ!終わりの日が。

今日から三日間のテストが行われ、そして私を含む多くの生徒が死ぬのよ。

本当に憂鬱。綿華サユリの憂鬱。



「ハッ!神は万全だ。今回は現代社会もしっかり勉強してきたはず。得意な三教科五科目のテストと違い、苦手な五教科九科目とはいえ、勝村幸夫に負けるわけにもいかないからな!」

「あっそー。勝村君は確か五教科九科目は得意だったはずよ。彼、現代社会とかにも強い常識人だから。神様と違って。」

「む……何故勝村幸夫の情報をそこまで……、なるほど、神のために情報収集を行ってくれたか。ならば早く言ってくれれば」

「違うわよ!知り合いに勝村軍団の友達が居て、勝村君の情報ペラペラと聞いてもないのに喋り出すもんだから、あたしも覚えちゃって。」

「異教の新興宗教が、工作じみた布教活動を行いおって……まぁ良い、神は勝つ。その全てをよく見ておくのだ。」

「ホント一回勝村君に勝ったくらいで調子に乗っちゃって。あたしはあたしで大変だから、神様勝手に頑張ってね。」


堂々と演説を終えた神様を自分の席に追い返して、

あたしは最後の抵抗とばかりにマイ単語帳を開く。

でもこうやって時間が迫ってる時の暗記物は全く頭に入らない。

もーダメ。ああ、監督の先生来ちゃった……。

あ、でもラッキー浅田先生だ。みんなに愛されてるおじいちゃん。大好き。

今もゆっくり歩いてるわ。いいわよ~そのまま授業時間過ぎるまで……、

とはいかず、浅田先生は教卓に座って時計を見た。


「それじゃ、机の上の物片づけえよー。」


「えー」という声に私は加わった。それも力強く。

浅田先生は何も聞こえてないかのように準備を始める。

耳遠すぎなのよ!あのジジイ!大嫌い!


さて最初のテストは「英語Ⅰ」。

あ、あらかじめ言っとくと全教科解説したりしないからみんな安心してね。

これは読解の授業だから、あらかじめ読んだことある文章を読む。

文章量的に、前もって内容知ってないと高得点は難しいんだけど、

あたしは覚えるの苦手だから、単語の知識積んでその場で頑張って読んでる。

……授業もたまーに、ホントたまーに保健室でサボッてるしね!


えーっとジョン・レ●ンがなになに、頑張ったのね、はいはい、

しかしつまんない伝記ものよねー。世代が違うんじゃジジイども!

ごめんなさいファンの方居たら。丁重にお詫び申し上げません。


そういえばたっちゃんとオチくんは勉強会上手くいったのかしら。

ああやって二人で勉強会するとか、えらいわよねー。

ってかバルガクの寮はかなーり居心地いいから、

土日に外に出ようって気すら起きないものよ、普通は。

もう土曜日の月山先輩のショッピングすごい大変だった。

ってイカンイカン、問題を読まねば……。


でもね、ホント大変だったのが、月山先輩超浪費家で、

ボンボンお金飛んでくの。そしてバンバンあたしに荷物持たせるの。

一方で月山先輩は自分のバッグしか持たないから、

周りからはあたしばっかり卑しい人みたいな印象持たれて……。

ってあたしさっきから誰に語ってるんだろ?

一人語りキモすぎるわ。ホント疲れてんのよね。


おっと本気で問題を解かないと。

って、え?試験時間半分くらいになってんじゃないの!

高スピード読解!そして高スピード解答!

凄まじい速さ!光陰矢のごとし!

向こうの席で神様が勝ち誇って一人で笑ってる。

ホントアイツたまにぶん殴ってやりたくなるわ。


あたしが必死になって解答を書き終えた瞬間に、チャイムが鳴った。

見直しはほとんど出来ず。ま、それなりの答えは書いたから大丈夫よね。




ってな感じで、どんどんテストは終わって行き、

どんどん日数も過ぎていき、19日水曜日三時間目、

とうとう最後のテストが終わった。

小説って都合良いのね。ページまたいですぐ全てが終わる。

苦労の連続だったあたしの思いも分かってよ……。


さて、終業式が今週末金曜にある関係で、

明日一斉にテスト返却が行われ、先生たちが採点に忙しい為、

今日は次の四時間目で授業は終わりだ。

特別時間割で行われた数学で、水郷先生がやっつけの授業をして、

テストの出来を聞きつつサーッと帰って行った。


HR中に、神様が私の方をチラチラと見てくる。

冷静でキリッとした表情を装っているつもりだろうが、

もう身体が焦りを見せている。


いよいよこの後は部長会。

神様も昨日はあんなに大事なテスト勉強の時間を少し割いて、

念入りに今日のプログラムの準備をしていたと言う。

はあ。やっぱ神様って真面目だなーとつくづく思った。

ああやって威張ってるのは、陰の努力があってこそで、

彼は紛れも無く努力家と位置付けられる人だから。あたしにはなれないや。


「何ボーッとしている。」


いつの間にかHRは終わっていたようで、神様が前に立っていた。

結構重たそうな資料をいくつか抱えて、彼はもう準備万端だった。

あたしも生徒会室からバインダー等々、必要なものを取りに行かなくては。


「神様、お昼どこで食べる?」

「神は喰わん。」

「そうだったわね。じゃああたしは生徒会室で食べよ。」


とりあえず生徒会室へ、と思って二人肩を並べ教室を出ると、

ちょうど、うのぽん・たっちゃんコンビとすれ違った。


「ハロハロー。」

「……お前たちも部活か?頑張るな。」

「あたしらはこれから会議よ。テストが終わったっていうのにねー。」


あたしが肩を落とすと、たっちゃんが良い顔して言った。


「ちなみに俺は死んだぜ。」

「誰も聞いてないじゃん。まー二人とも頑張ってね。」


うのぽんが鋭い突っ込みを入れつつあたし達を励ます。

さっきから神様がどこか上の空だ。

そんな様子もうのぽんは目敏く気づいているようだった。


「はいはーい。うのぽんも部活頑張ってー。それからたっちゃんは帰り道、頑張ってね?」

「悲しいぜ、部活サボるって決めつけられてら……まぁサボるけど。」

「じゃ、まったねー!」


テンション高くお別れしておいた。正直最近年齢が辛い。

あたし達はそのままの足で生徒会室へ向かう。



「お疲れさん。飯島と翔希はもう会議室行ってるぜ。」


さわやか赤髪短髪桜塚先輩。今日もさわやか。

この人モテるだろうなー。あたしのタイプじゃないけどね。


「えっと、会議室どこでしたっけ?」

「二年会議室。北校舎三階の端の方だ。お前らも昼食べたら行けよ、まあ後藤が手伝ってるから設営とっくに終わってると思うけど。」

「あ、分かりました。」

「じゃあ向かいます。」


荷物を取ってUターンし、すぐ会議室へ向かった神様に、

頑張れよ、と桜塚先輩が一声かけた。緊張感は高まってゆく。



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