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バルガク。  作者: ホワイト大河
第二章 気づいてしまえば、戻れない
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ようこそ!生徒会執行部(5)

 12月12日(水) 12:27



毎週水曜日の昼は恒例行事、と言ってもまだ一か月しか経ってないけど、

体育で汗臭い教室を避けて、三組でうのぽん達と昼食。


「寒いぜ。寒すぎるぜ。まったく、恒太何とかしてくれ。」

「そうですね……高気圧にお願いすれば何とかなるかもしれないです。」

「そうか、じゃあさっさとお願いして来い。」

「……えーっとどうすれば良いでしょうか……」

「ってか無理じゃん。マジメに考えて無くね?」


たっちゃんとオチくんのよく分からない会話に突っ込むうのぽん。

横で神様が目を閉じて何か永遠と唱えてるのは完全無視する三人+あたし。


月山先輩の言うとおり、昨日で仕事を全て終わらせたところ、

他のグループも昨日で全部終わってたらしく、

というか花園先輩達もそれを見越してたらしく、

それじゃ今日また会議で別の仕事に取り掛かろう、

という終わりの見えない仕事の連続にあたしは疲れた。ほんと。


神様は常にこのスタンスを崩さないから、全く応えてない様子だし、

いつも通りうるさいし鬱陶しいしで、あたしのストレスは溜まる一方なのよ。

まあそれをここでぶちまけても仕方ないから黙っておくけど、

渋谷先輩問題も何にも解決してないし……はー問題だらけだわ。


たっちゃんは寒い寒いと言いながらご飯を食べつつ、

もう奔放に伸ばしっぱなしの前髪をかき分けている。

あれが冬用の毛だと考えると、年中坊主のオチくんは絶対寒いはずだけど、

平気そうな顔をしてご飯を食べている。

うのぽんはと言うとバッチリ防寒対策で薄桃色の厚手のカーディガンを着て、

伸ばした裾の中から伸びた箸で器用に弁当を食べ進めている。

うのぽん毎回思うけどオシャレに気合入れすぎ。浮いてる。空中浮遊並みよ。


「お前は寒くないのかよ恒太。」

「……僕汗っかきで暑がりなんで、今はそんなでも無いです。好きな季節は冬ですし……」

「冬好きの気が知れねェぜ、まったく。」

「そーいう達也の好きな季節はいつ?」

「そうだな、春かな?暑いのも寒いのも勘弁だからな。」

「日本向いて無くね?」

「出てけって事かよ。冷たい奴だな。そう思うだろ恒太?」

「え、あ……そうですね、剛司さんは頭がおかしいですから……」

「達也はそこまで言って無くね?それお前個人の感情じゃん。」

「よく言ったぞ恒太、俺たちは常に味方だな!」

「……あ、はい……」


何なのこの会話?中身が無さ過ぎるわ。

まだ横の神様の言葉聞いてた方がマシかもしんない。


「戦前の日本教育は人神を認めるものであったが故に、その教育を顧みて、現代の神を認めるものを……」


前言撤回。全ての感覚器官を遮断するわ。

ストレスフルなの、ストレスフルなのあたし!

あたしがずっと喋ってない事に気づいたうのぽんが、こちらを見る。


「今日綿華さん元気なくね?いつもの巨乳アピールが無いじゃん。」

「え、誰そんな事するの?」

「まぎれもなく綿華さんじゃね?」

「私は貧乳を愛でる会!……ちょっと執行部で疲れちゃってて。しんどいわー。」

「そーいうメンドくさい事よく頑張れるじゃん。すごいね。」


気持ちの入ってない賞賛の言葉ですこと。

神様が急に言葉を止めて目を開け、こちらを見渡した。


「君たち真面目に神の言葉を聞いているかね?」

「勿論バッチリ聞いてるぞ。」「ちゃんとメモ取りました。」

「聞いてるじゃん。」「すごい興味深かったわ。」




「試験勉強大丈夫なの?」


神様がまた演説を始めたのを機に、うのぽんが訊いてくる。

ただでさえ忙しいってのに試験も重なって……イライラがため息となって出た。


「絶対順位下がるわ。しかも九教科だし。テストなんて爆発すればいいのに!」

「綿華さんも勉強会参加する?恒太や達也と最近やってんだけど。」

「……そうだな、教えてくれる人が増えたら大助かりだ。」


これナンパかしら?そういう気はないと信じてるけどさ。

とりあえずパスね。今は一人になりたい気分だわ。


「あたしパス!自分で何とかするわ。」

「そっか。まあ綿華さんならイケるんじゃね?」

「……そういえば……そうでしたね……九教科……そろそろ首つります……」


オチくんが今さら、今回の試験が「期末」だから九教科だという事に反応し、

まるで漫画の効果線が見える程、ガックリと肩を落とした。

中間試験は国・数・英二教科ずつの六教科試験だが、

期末試験になると理科が二つ、社会が一つ加わるのだ。

文系志望にとっては、化学と物理の極悪コンボが成績を下げる要因になる。

……あたしはそこまで理科苦手ってわけでもないけど、

まあオチくんなんか見るからに理数系壊滅的だもんね。


「……理科の暗記の部分だけでも誰か助けてもらえませんか?」

「まったく……仕方ないな、俺が見てやろう。」

「お、達也いつにも増して優しーじゃん。理科得意なんだっけ?」

「国数英に比べればな。前の時はどっちも70台前半で安定してたわ。」

「へー、俺もギリ70台前半だよ。達也すごいじゃん。」

「おっ!俺にも剛司に勝てる教科があったとはな……」

「あれあれ、あたしは70台後半だったけど?理系のお二人さん大丈夫?」

「なん……だと……文系に……負けただと……」

「へー、綿華さんすごいじゃん。」

「……いえいえ、だったら隣の方に点数聞いてあげて。」


あたしが指差したのはもちろん、いつ点数を訊いて来るかと待ち望む、

すでに勝ち誇った顔をしている神様。

ここは対応するのが面倒だと一瞬で悟ったたっちゃんとうのぽんは、

連携プレイでオチくんに目配りをして訊くように促す。


「……あのー、神様は何点だったのでしょうかあ?」

「ハッ!86点と91点だ。どちらも順位は一桁だったな、当然の結果だ。」


そもそも神様は、常に総合10位以内をキープしてるから当たり前よね。

神様は止まらなくなって最高に見下すポーズをしながら言った。


「理科に困っているなら神が教えてやってもいいが?」

「……あ、大丈夫ですー。多分高次元過ぎてついていけないと思うので……」

「ハッ!そういえば神も忙しいからな。神徒といえども構ってる暇は無いやもしれん。」

「やっぱ神様も執行部で忙しーの?大変すぎじゃね?」


いや、この男の場合執行部は二の次だ。

それよりも最大のライバル「教祖」勝村君との対決が待っている。

第一回、第二回は惨敗した神様が、第三回で彼を破って総合3位につけた。

次なる第四回で神様が負けてしまうと、マグレだったいう事になってしまう。


「……異教の神を倒さねばならぬ使命があるのだ。」

「何それおいしいの?」


適当に答えるうのぽんに加えてたっちゃんもオチくんもポカーンとしている。

確かに説明が少なすぎる。だけどあたしがわざわざ補足を入れる程でも無い。

勝村君も勝村君よ。いつも大人しくて良い人らしいのに、

神様が相手になるとすぐムキになっちゃって。

……多分同じくらいの能力の人が他にいないから、

あそこまで喧嘩して、楽しんでるんだと思うけど。



はあ、みんな気楽でいいもんだね。

あたしゃもう疲れたよ!色々頭の中がグルグルよ!

とにかくおっぱいが足りないわ!

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