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バルガク。  作者: ホワイト大河
第二章 気づいてしまえば、戻れない
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俺の嫌いな引っ込み思案(8)

  ○   ○   ○   ○   ○   ○


お疲れ様でーす。今日も元気に三吐き★


……昨日は正直驚きました。

あの鬼畜先輩が、間違えた菊池先輩が、鬼畜な菊池先輩が、

あ、鬼畜な菊池先輩って早口で三回絶対言えないですね、はい。

でその鬼畜先輩が、僕のこの絶望に気づいてくれたと言いますか、

このモヤモヤを何らかの形で表現した方が良いと言うのは、

多分そういう意味で言ったんじゃなく、僕の拡大解釈だと思うんですけど、

今の僕にとってはかなり的確なアドバイスですよね……。



「落合、今日も食べよっか~。」


昼になった途端に、テル君が気のない感じで僕を誘ってきました。

昨日は脇坂君も一緒に食べる事になって驚きましたが、

今日は普通に僕達をスルーして三組方面へと歩いていきました。

……話してみると脇坂君は、結構常識人でした。

水泳も凄い頑張ってるので、まさに日なたに居るべき人ですね……。

それに比べて豚はげふんげふん


「あれ、箸三本も入ってる~。」


豚と言ってもイベリコ豚とかそんな豚じゃないですよ。

養豚されてないですから。野原に居る豚です。


「せっかくだから三本使お~っと。」


皆様に食される事無く、つがいを見つけることなく死んでいく哀れな豚です。


「あれ、どうやって三本で食べるんだろ~。」


豚はいつも蔑まれ……って、テル君何してるんですか?

なんで両手でご飯食べてるんですか?天然ですか?狙ってますか?



まだ二、三回なんですが、正直テル君と食べるのも結構楽しいです。

なんかナイーブな時はテル君ってちょっと怖い印象あったんですけど、

今は本気でお花畑で、周りにお花が飛んでいます。

この萌え属性欲しかったな。そしたら今ごろせめて萌え豚に、何でもないです。


「う~ん。」

「……どうしたんですか?」

「いや、ソーセージと卵焼きどっちから食べようかな~って思ってね~。」


うん、何この天然キャラ。これはさすがにキャラ作りじゃないよね?

これもキャラ作りだったら人間不信になりそうです。

そもそも何で豚の前でキャラ作りなんかするのか……


「ソーセージにするね~。」

「あっ、はい……別に報告義務ないですよ~。」

「え、考えてもらったかな~と思って正解発表だよ~。」

「あっ、そうなんですか~。僕もソーセージだと思ったんですよ~。」

「じゃあ正解だね~。落合おめでと~。」

「良かったです~。」


……あれ、何かうつった。



――明日が終わりの日です。もちろん人生の。

でも、脇坂君はあくまでそのきっかけを作っただけです。

そもそもそこまでの展開が上手くいきすぎてましたからね、

相談相手にも恵まれて、チャンスももらって……。

最初から中途半端に、自分は何も危険にさらさずに、

曖昧な感情のまま恋をしてて、問い詰められて何も言えなくて、

そんな僕だから、こうした終わりを迎えるのは必然だと思います。


もう達也さんとは会う機会が無くなるんでしょうけど、

……このテル君もなかなか可愛いですから、

まあ……それだけでも贅沢ってもんですよね……。

別にテル君を取って食おうとかそういう意味じゃないですけどね。



  ○   ○   ○   ○   ○   ○



 12月 4日(火) 12:36

 一年三組 教室にて


達也と宇野と共に、今日は昼食を持ち込んで昼を一緒してみた。

二人の会話は凸凹していて面白いもんだ。

これは見てるだけでも十分楽しいな。


――あと一日。それで全てが手に入る。

落合には悪い気もするが、俺は退くつもりは無いぞ。

半ば強制だったとはいえ、何も言ってこないのは落合の方だからな。



「っつーか本当に恒太来ねえな……」


会話がしばらく途切れた後、達也がそう言った。

……問題はこちらか。達也と宇野の動きを止める事に、

俺はこれまで以上に専念しないとマズい。


「さすがにしばらく会ってないと、寂しくなってくるぜ。まったく、あいつもとんだリア充だな……」


達也が鈍感なのには非常に助けられているな。

宇野は黙々と飯を食べ続けている。コイツ食べ方汚いな。

ところで、あそこまで落合のサポートをしてきた宇野なら、

そろそろ色々気づいててもおかしくないが、

それでも達也に的確な(俺にとっては不利な)アドバイスをしないのは何故だ?

宇野は白米をかけこむ手を止めて、もぐもぐと口を動かしている。


「俺は寮で会ってるけどね。忙しそうだったよ。」

「……そうか。チッ、俺には会いに来ないもんかね……」


まあ時が過ぎれば、その寂しい気持ちというのは、

別に落合に限ったものじゃないと気づく事が出来ると思うぜ。


「……あ、そういえば勉強会。勉強会しなきゃならんぞ。」

「頑張れー。」

「お前も後で参加してもらうからな!解説役が居ないと困るだろ。」


この宇野の適当な返事はちょっとおかしかったが、そんな事よりまずいぞ。

日曜日に言ってた勉強会とやらを、とうとう思い出したか。

その勉強会の日付がいつになるかは分からんが、

例えそれが期限後だったとしても、それまでに二人が接点を持つ確率が上がる。

……何としてでも止めねば。

考えろ、自然に勉強会をやめさせる方法を……。


「剛司、お前寮で恒太に伝えといてくれるか?今度勉強会やるぞってな。」


……ん?


「あとついでに、恒太の空いてる時間とかも聞き出しといてくれ。……俺はいつでも空いてるぞ。部活なんてあってないようなもんだからな。」


それはそれで問題だと思うが、そんな事より……。

俺はいつしか宇野を見ていた。宇野は達也に目も合わせずに答えた。


「やだ。面倒じゃね?」

「……まったく、薄情な奴だな剛司!……じゃあ、良助頼む。」


宇野の返事もごもっともだ。伝言係なんて面倒なだけだしな。

だが、次の伝言係が俺になったのは非常に都合が良かった。

神が居るなら、どうも俺に味方してくれてるらしい。


「分かった。伝えとくわ。」

「さすが良助、心の友よ!持つべきものは友だな!」


……もちろん伝える気は無い。

お前を裏切るのは胸が痛むが、これもお前のためだ、分かってくれ。


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