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バルガク。  作者: ホワイト大河
第三章 他の誰よりも、知っている
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ネガティブ・バレンタイン(3)

……しかし、そんなフラグ通りにいってたまるもんですか、と思う僕は、

僕なりに色々な手段を考えたわけです。

最終的に菊池先輩との楽しい地獄のクッキングになってしまう事が、

読者の皆さんには残念なことに分かっているわけですが★

でも、僕は抗いました。その手段が、「彼」を使う事です。


「どうしたの落合~。なんか真剣な顔してるね~。」


はい!天使、まちがえた、テル君です!

三学期頭に席替えがあったのですが、なぜか運命的にまた隣の席になりました。

今度は廊下側ではなく窓際です。テル君はいつもしめたとばかりに寝てます。


「あの、テル君……バレンタインどうするんですか?」

「え~、どういう事~?」

「いや、ほら……洋次君に作ったりとか。」

「忘れてた~。そうだね~。」


ふつう忘れますかね。こういう所もテル君の愛嬌ですよね。

周りにおかしい人が多すぎるので、最近純真なテル君が本当に癒しです。

色々考えているのだと思いますが、

それでも最近は洋次君とそれなりに上手くいっているようで、

機嫌が悪そうだなと特に思う事はなくなりました。


「自分の家で作ると思う~。」

「あ、そうなんですか!……も、もし良かったらなんですが、て、テル君の家にお邪魔する事って出来ますかね?」

「……何で~?」

「いや、僕もチョコを作ることになって、でも作ったことがないので、誰か経験者と作りたいなーなんて……」

「あそっか、達也誕生日だもんね~。良いよ~。」


テル君は僕の気持ちも知っていて、何かと協力的です。

ああ、提案してみるもんですね。これで、何とか……。




「楽しそうだな。」


後ろから低い声が僕の脳天に響きました。

あ、席替えの事で一個報告し忘れてたことがありました。

なんと、僕の真後ろが脇坂君です★


「え、でも良助作んないじゃ~ん。」

「いや、お前たちがチョコを頑張って作る、微笑ましい姿を想像しただけだ。」


微笑ましくないですよね。そんな事思ってるわけないです。

脇坂君の顔ひきつってますもん。僕がゴキブリを見つけた時と同じ顔してます。

一応補足しておくと、脇坂君は達也さんの事が色んな意味で大好きなので、

僕が何かしらのアクションをする事が気に入らないわけです。

……僕の邪魔をするかしないかで揉めたのはかなり昔のように思えますが、

最近はそんな約束も薄れてきて、明らかに脇坂君には悪意があります。

今もなんかすごい見下されてます。こののっぽ!って言ってやりたい


「良助、邪魔する気なの~?」


テル君が超直球で脇坂君に攻撃してくれました。

……二人は仲がいいはずなんですが、

こういう時、テル君は決まって僕の味方をしてくれるんですよね。天使。


「まあ冗談だ。せいぜいまずいチョコを作ってくれ。」


意外にもあっさり脇坂君が引いてくれました。

テル君がちょっと怒った様子でこちらを見てきます。


「良助は一言多いよね~。」

「一言どころかすべての発言に悪意が……」

「で、明日ちょうど土曜だから、明日の昼でいいかな~?」

「あ、是非……ありがとうございます。」


とりあえず約束はできました。何とかなりそうです。






「おい恒太、剛司。明日勉強会やるぞ。」


達也さんが急に僕と剛司さんに向かってそう言いました。

えーっとタイミング悪すぎです。そっちのフラグ壊さないでほしいです。


「あれ、城崎さんと昨日も今日も勉強会するんじゃん?」


そういえば達也さんはひょんな事から神様VS勝村君の試験勝負に巻き込まれ、

超優等生で有名な城崎さん(美女)と一緒に勉強する事になったそうです。

(美女)。ここが重要なんですよね。だって美女と二人きりですよ?

何か過ちが起こってもおかしくないですよ。つらたん。


「まあそうだが、さすがに休日は自分でやれってさ。でも一人じゃ辛いだろ?だからお前らとまたやろうと思うわけだ。」

「俺はいーけど。午前練終わってからならね。」


軽くオッケーする剛司さん。……困りました。

行きたいですが、テル君との約束をいくらなんでも無下には出来ません。

達也さんがちょっとニヤけ顔でこちらを見てきます。


「そうか。……恒太はどうせ予定ないだろ?」

「……あー……いつもはそうなんですけど、明日はちょっと……」

「なん……だと……恒太が予定がある……だと……」


派手に驚かれました。僕は何度も頭を下げます。

どうやら達也さんは僕の予定を気にしてくれてるようです。


「で、何だよ予定って。」

「……あ、えーっと……ちょっと豚小屋を見に……」

「は?」

「すみません冗談です。や、野球部の友人に誘われまして……」


「じゃあ勉強会いいわ。恒太来ないならつまらんだろうしな。」


……え?

剛司さんも驚いた顔をしてます。僕は恐らくもっとです。

急に達也さんがハッとして首を横に振り始めました。


「いや、よく考えたらしばらく毎日勉強漬けだし、テストまで一か月あるし、剛司と二人でも良いんだが、三人でやりたいと思ってな。」


な、なんか必死に否定されました。

そうですよね、一瞬僕のために?と期待した豚が愚かでした。

剛司さんは無表情で何の反応もしてません。なんか怖いです。

仕方ないので僕が反応しました。いつもの苦笑いです。

そういえば昨日の夜、男子寮に忍び込んだ綿華さんが、

僕の苦笑いを見て顔をひきつらせてました。そんな苦笑いです。


「ま、楽しんで来いよ。」


と言って達也さんは席を立ちました。恐らくトイレですね。

するとすぐに剛司さんが僕に顔を近づけてきました。


「で、本当の用事って何?野球部と仲良く遊ぶわけないじゃん。」

「あ、バレましたか。……実はかくかくしかじかで。」

「へー。って事は菊池先輩とのチョコ作り断るんだ。残念じゃん。」

「全然残念じゃないです。それ剛司さんが面白がってるだけですよね?」

「ってかテル君とほんわかした空気の中でチョコ作るなんて天国じゃん。」

「大丈夫?来る?」

「いや、まー報告頼むわ。」


剛司さんは結構ガチでテル君と絡みたがってるようですが……。

早くも達也さんが戻られたので、僕たちは自然に無言になりました。


さて、学校が終わって日が暮れて、寮に帰って菊池先輩に内心笑顔で謝って、

そして翌日、土曜日を迎えるわけです。



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