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バルガク。  作者: ホワイト大河
第一章 踏み出したから、始まった
13/181

ネガティブ・ラヴァーズ(2)

 10月 3日(水) 12:21


「試験面倒すぎて死んじまいそうだぜ。」


売店で買ったらしいイチゴ牛乳を飲む達也は、

今日は天然の寝グセが一段とひどくて、むしろ可愛いです。

あ、すいません。普通にホモの感想述べちゃいました。

見た目をほとんど気にかけない割に、割と肌が綺麗で、

野ざらし&ニキビの、イチゴ畑の私の肌とは大違いですー、はいー。


「達也ヤバいんじゃね?期末も成績落ちてたし、休み明け散々だったじゃん。」

「皆まで言うなよ。……まあそうだよな。後が無いからな。」

「ま、今回は頑張ったらいいじゃん。」


腕と足を組んで宙を見つめている達也に見向きもせずに、

剛司は黙々と弁当を食べ続けていますね。食べ方汚い。

俺は発言優先順位が低いので二人の会話を見てるだけです。


「しかし一人で勉強するほどつまらん物は無いぞ。」

「……じゃー今までどうして来たの?」

「俺のみなぎるモチベーションで何とか……」

「それであの点数だったわけね。納得じゃん。」

「何だと剛司コラ。」


達也が軽く剛司を小突いた後、ちょっと笑ってまた物思いに耽った。

基本的に達也はシンキングタイムが長い上、突然入るので、

そうなったら放っておいた方が良いというのが僕と剛司の間での暗黙の了解。


「しかし剛司さんは良いですなあ。今回も高得点が期待されますよ。」

「達也の敬語ってマジ腹立つね。」

「それに比べて、俺たちはどうするよ、恒太。」

「……突然話題を振るのやめてくれませんか。」


緊張してきた。毎回発言権を得る度に脇汗すごいんですよ?


「とりあえず課題を終わらせる事が先決なのでは?達也さんはいつも試験自体より課題に追われているイメージが……」

「ああ、確かになあ……しかし問題の答えを写す作業こそ面倒なものは」

「いや、解いて下さいよ。問題。」

「だから達也の成績は落ちてるんじゃね?」

「お前ら黙って聞いてりゃ適当な事ばかり言いやがって!」


あながち適当じゃない気はしますが、ここは達也の笑いに合わせておきます。

その笑いと共に剛司を軽く小突く達也。

あんまり俺が殴られる事ってないんですよね。心の距離感があるのかしら。

もっと殴って!って言うのは変態ですが、ちょっと寂しいですよね。



「よし恒太。お前部活無い日いつよ?」

「……はい?」

「お前難聴だったっけ?部活無い日いつって聞いたんだよ。」

「……え、あ、明日は休みですけど……」


思わず挙動不審になってしまった。

え?これフラグ?「そうか良かったな!」では終わらないよね?

さすがにフラグクラッシャーさん自重してくれるよね?


「よし、それなら明日俺と一緒に残って課題やろうぜ。これ決定な。」

「……はあ、何か強引に決められたんですけど……」



うわあああああああああい。

何これ夢?夢なの?死ぬの?くぁwせdrftgyふじこlp;@:

なんか神様がアプローチ作戦勝手に始めてくれたんですけど。


俺は顔満面に溢れ出る喜びを何とか隠そうと必死だったものですが、

その表情が明らかに剛司には読み取られている自信がある。

しかしながら鈍感な達也は気付かずにおにぎりをむしゃむしゃ。

いつもこの鈍感には困らされてきたが、今日ばかりは感謝せねば。ありがたし。




「剛司は入れてやらんから安心しろ。勉強できる奴は世の敵だからな。」

「単純に達也が俺を目の敵にしてるだけじゃん。」

「へいへい。どうしてもって言うなら仲間に入れてやってもいいけど?」

「俺は地道に課題終わらせてるからむしろこっちからお断りするわ。」

「何だと!俺たちを何度も裏切りやがって!剛司よ!」


剛司はいつも通り、僕たちには目もくれず食事をし続けていますが、

このポーカーフェイスにも感謝せねば。ありがたし。

しかしですね、急に達也が弱腰になったようです。


「あの、剛司くん。良かったら僕達に勉強教えてくれないかな?」

「……いや、無理。課題やるだけなら俺は不要じゃん?」

「そんな事言わずに!ほら、恒太も何か言うんだ!」

「……あの、どうか卑しい私たちに学力を恵んでくれませんか?」

「恒太って頭下げるのが一番似合ってるよね。いや、だから無理だって。」


剛司は持参の茶をガブ飲みしながら達也の方を向いた。飲み方汚い。


「テスト明けに新人戦のレギュラー選抜があるから、ギリギリまで練習続けたいんだよね。」

「え、何言ってるのか分かんねえわ。」

「さすが剛司さんリア充度ハンパないですよね。」

「っつー訳でたまにはお前ら二人でやれば良いじゃん?」

「……仕方ないな。それじゃ恒太、俺らで何とかやってみるか。」

「あ、はい……了解です。」


達也さん、俺と二人きりだと残念ですよね。分かるーその気持ち。

しかし嘘か真か色々思いやってくれた剛司には本当に頭が上がらないです。

この人何にも考えてない様で、自然に俺の恋愛を助けてくれてるんですよ。

達也が席を立ったそのスキに、剛司はこちらを見てウインクしました。

こういう人が実際モテるんだろうな。私とは大違いです。


え?私も体育会系の部活じゃなかったかって?

え?何ですか?新人戦?ああ、ありますけど、

私が新人戦の先発に選ばれるわけないじゃないですか★




「剛司様本当にありがとうございました。」


学校での一日が終わった後、寮の俺の部屋へ帰ってまず一言。

勿論目の前にいらっしゃる宇野剛司大明神に対する一言。土下座添え。


「なんか達也今回は空気読んでたね。まあ俺のフォローのおかげじゃね?」


菊池先輩のベッドの上でポテチを食べ散らかす剛司。

うん、えっと病気?本当に俺が死んでしまうコース再び。


「ま、後は上手くやればいいじゃん。キスしろキス。」

「いくらなんでも急展開すぎませんか?」

「セックスするもよしSMプレイするもよし」

「勉強会からそこまで行ったらもはや犯罪です。」


剛司はベッドに正座する俺の肩をポンと叩いて、部屋を出て行った。

あ、この子掃除せずに逃げたよ★


仕方なくポテチを掃除しつつ、先輩のベッドの染み抜きをしてると、

この部屋の扉がまた開きました。剛司が戻って来てくれたようです。


「……さすがに掃除は手伝って下さいよ。」


振り向きざまにそう言うと、そこには身長180を超える巨神が。

あれ、剛司じゃない、この人は、ききききき、きちく、じゃなくて、きくち、


「あわわわわすみません!おおおお帰りなさい!今日で修学旅行は終わりなのですね、それで、今の言葉は菊池先輩に言ったのではなく、さっきまで部屋に居た友人に、友人ってかもはや犯罪者に、それでこのポテチは俺が見てない所で勝手にあいつが、それでベッドの染み抜きを俺が一人で」

「落合。」

「……はい?」

「この部屋の絶対的規律を言ってみろ。」

「あ、一音でも物音を立てない★」


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