クリスマスの衝撃(9)
12月25日(水) 11:33
周りが「ポジティブお守りとかw」「コウタらしいw」と盛り上がってるところ、
当の俺とコウタは若干気まずいような不思議な空気で、
あの件がなかったならなあと本気で思うものの、
そんな事とは関係なくパーティーは進む。
続いて四番はツヨシ。
「おっ、マフラーじゃん。」
「それ俺のだわ!大切に使ってくれよ!」
「住田あんがとー。」
ヨウジのマフラーか。
若干大きいかもしれんが、まあツヨシは首回りしっかりしてるし大丈夫だろ。
五番はテル。引いたのは俺のだった。
「へ~、文房具セット~。」
「おう、よかったら使ってくれよ。」
「ありがとね~。」
喜んでくれたようで良かったぜ。
こういうプレゼント系が一番悩むよな。
まあオーソドックスにして良かったよごにょごにょ……。
六番はコウタ。引いたのは花園英希のプレゼント。
「あ、小物入れ……ですか。」
「何気に使う機会あると思うからさ。プレゼントになに選んだらいいか分かんなくてね。まあ使ってよー。」
「お、オシャレ度ゼロの僕には身に余りますね……」
小物入れか。俺だったら多分使わないな。
恒太もあまり接点の無い奴と気まずそうだ。
続いて七番は綿華。引いたのはツヨシのプレゼント。
「あれ、これ萌えキャラの……」
「そうだよ。抱き枕。男子多いからこーいうので良いかと思ったんだけどね。綿華さんだったら……」
「全然オッケー。むしろ貧乳ちゃんありがと。萌え萌え!」
……結果オーライ。何にも問題ないな。
八番は上川。引いたのは花園翔希のプレゼント。
「ハッ、図書カードか。」
「無難な感じにしたからな。悪いなつまらなくて。」
「いや、読書家としては嬉しいぞ。弛まぬ努力を!」
俺も欲しかったぞ。
そろそろプレゼント紹介がやっつけ仕事になって来てるが……。
九番は花園英希。引いたのはテルのプレゼント。
「携帯ストラップ?クリスマス使用でオシャレかも。」
「ありがと~、ぜひ使ってね~。」
「携帯以外にもストラップ使ってるから使うよ。」
チャラそうに見えるが、意外と良いやつだな、花園英希。
そしてラストはリョウスケ。……さて、残ってるのは……
「着ぐるみか。」
その言葉に、綿華&上川が目を輝かせる。
残ってるのは上川のプレゼントだ。
綿華のサンタコスプレは、既にヨウジが着ており、
残ってるのは……トナカイコスプレ(♀)だった。
「な……」
袋を開けたリョウスケが完全に絶句している。
……た、確かに女装の時点でNGだな。し、しかし……
ツヨシ・綿華・上川・テル・ヨウジあたりは爆笑してるな。
なんかコウタは笑ってるのか震えてるのか分からんが。
神妙な表情でリョウスケが俺に近づいてくる。
「よお達也。」
「……な、なんだよ?」
「パーティーに呼んだことを恨むぜ。」
「逃げるんじゃないわワッキー!さ、早く着替えるのよ!」
「ハッ!はやく脱ぐのだ!なんなら手伝うぞ!脱げさあ脱げ早く脱げ!」
すごい勢いで迫ってきた綿華・上川組に一瞬でさらわれた脇坂。
何もしてやれんのが無念だが、とりあえずプレゼント交換は終了した。
「タツヤ、楽しんでる?」
そこからしばらく、ヨウジサンタとリョウスケトナカイの一騒動を楽しんで、
ケーキもおいしく食べ、みんなで適当にゲームしたり話したりした後、
俺の横にツヨシがやって来た。
「まあな。思ってたより楽しいぞ。」
「……コウタとはあんま話してないんじゃね?」
「……色々あったからな。」
俺とコウタの二人にいちばん近かったのはツヨシだから、
関係の変化は目ざとく注意して見ていたのだろう。
かといってどうすればいいかなんて、分からない。
……ツヨシは大きく息を吐いて、俺の目を見ながらこう言った。
「コウタはコウタのままじゃね?結構前から、タツヤの事もともと好きだったんだからさ。特にタツヤが気づくような変なこと無かったじゃん。」
「……ああ。」
「あのコウタだから分かるくね?強引に迫るヤツじゃないし、そんでももし、タツヤが嫌な思いしたらそん時に離れたら良いじゃん。」
「…………」
「仲良かったのにぎこちなくなってんのは、さびしーじゃん。それだけで友達なくすのもったいないと思うけど。」
言い終わると、ツヨシは俺の返事を待たずに横から去って行った。
そのまま綿華とかに捕まって、何事も無く楽しそうに話してる。
上川は花園兄弟と盛り上がってるようで、
同じクラスだからかだいぶ打ち解けたようだった。
そこにトナカイリョウスケも加わって何やら菓子を食べ始めた。
ヨウジとテルは言わずもがな二人でイチャイチャしてて、
お互いがあーんしてケーキを食べさせ合ってる。
正直見るに堪えんが大丈夫か。
そして、コウタは一人椅子に座って、
何か遠くの方を見ながらゆっくりとケーキを口に入れる。
ただの暗いジジイにしか見えないし、
確かにさびしそうにしてるようにも見えるけど、
あいつは最初からああいう感じだったようにも思える。
だけど、まあここで俺がどこに入るかを選ぶかと言われたら、
ちょっと前の俺だったら一時も迷ってなかっただろう。
ネガティブだけど面白くて、暗いけど楽しそうにはしてた奴。
……まったく、何一つ変わってないじゃねえか。
俺は一歩ずつ踏み出して、そいつの後ろから肩をたたいた。
「……寂しい奴がいるもんだな。」




