クリスマスの衝撃(7)
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はい、どうも。豚です。おいしいです。
とりあえず現在の状況を説明しますと、
今朝早く起きて、紙のわっかをたくさんつなげてるところです。
僕が社会貢献できるところと言ったら、こういう事しかないので、
私はこの仕事に命をかけてます。
ついでにまだ寮の自室の中なので、
「一音でも音を立てない」という絶対のルールの中、
もうすぐパーティーに出発しなければいけないという、
二重苦で戦っています。大変です。
カサッ。あ、紙が落ち……
「落合。」
「あ、はい。すみません。死ねばいいんですよね?」
今の音で目を覚ました菊地先輩はベッドから起き上がり、
私のベッドの隣に関節を鳴らしながら近づいてきました。すごい恐怖です。
「手伝ってやろう。」
「あああああああすみません許してください」
「よう恒太!元気け!?」
すごい勢いで扉が開いて、寮長後藤先輩が入ってきた。
ああ、本当助かりましたありがとうございます。介錯されそうでした。
「……俊平。」
「おっ、パーティーの飾りだっぺ!俺と博明も今日執行部メンバーとパーティーやるっぺ!恒太も楽しんでけろ!」
「あ、はい……ありがとうございます。」
ほとんど作り終えたので、最後の輪を閉じてダンボールに入れ、
私はベッドから立ちました。着替えももう済ませてあります。無音で。
「博明いそぐっぺ!そんなんじゃ遅れるっぺ!!」
「……分かった。」
菊地先輩はのそのそと起き上がって準備を始めました。
……というか不思議なのですが、よくこの二人気が合いますよね。
うるさいのが嫌いな菊地先輩が、
なんでこんなうるさい代表格の後藤先輩と……。
「今なんか悪い事考えてるけ?」
「めっそうもないです。神に祈ってました。」
「ハッ!!神を呼んだかね!」
神様が走ってきました。もちろん本物ではなく、上川君の事です。
ゴージャスに光る服を着てます。目が痛いです。
神というワードに反応してここへ飛んで来ただけなので、
後藤先輩たちがいると思っていなかったらしく、
急に髪をふぁさっとなでて落ち着いたふりをしています。
「と、いうわけで、行こうか落合君。」
「(何が「というわけ」なのか分からないけど)……あ、はい……」
「楽しんでけろ!」
後藤先輩が笑顔で手を振ってくれます。
本当にいい寮長だと思います。いつも明るいし。
カエルみたいな語尾が気になりますが。茨城の皆さんすみません。
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12月25日(水) 10:17
自分でできる程度の飾りつけを、なんとなく施して、
あとは綿華たちにやってもらうかと決めかかっていたところで、
ちょうどよくインターフォンが鳴った。
集合時間は11時なので、これだけ早く来るのは準備組に他ならない。
若干楽しみにしていた自分を恥ずかしく思いながらも、
まあ今日ばかりは力を抜いて楽しむかと、玄関を開ける。
「メリークリスマスたっちゃん!!」
ものすごい勢いで飛び込んできたのはやはり綿華だった。
そばにいるのは上川&コウタだ。計三人のようだ。
綿華&上川がここに来るのは初めてのはずなので、
コウタが丁寧に案内したのだろうと予想がついた。
「ども。メリークリスマス。」
「ちゃんとケーキ作ってきたわよー!」
「さすがだな。まあ中に入ってくれ。」
「ハッ!お邪魔するぞ。」
「……あ……お邪魔します……」
綿華がケーキを持っていて、上川とコウタが飾りつけ等々を持っている。
多少は俺に気を遣いながら、二人はどんどん飾りをつけ始めた。
綿華もケーキを俺に託した後、飾り組に加わっていく。
「ちょっと神様邪魔!それセンス悪すぎ!」
「ハッ!神に何を言うか!」
あの二人は二人で勝手に盛り上がってて楽しそうだ。
さて……コウタに目をやると、高いところに飾りをしようとしてて、
どうも背が届かなくて困っているらしい。
俺は別の部屋から脚立を持ってきた。
「……これ使うか?」
「え、あ、ありがとうございます。すみませんチビで……」
「それは同身長の俺への侮辱にもなるぞ。」
「あああああ余計すみません……」
それからコウタは黙々と飾りをつけ始めた。
……何か話しかけるべきなのか。いや、邪魔するべきじゃないのか。
コウタも何となく空気を察したらしく、俺を見た。
「あ、そういえば……ツヨシは準備に時間がかかってて遅刻です。」
「あ?ああ、飾りつけのか?」
「いや、自分の服装です。」
「死んだらいいと思う。」
……そして、また沈黙。くそ、恨むぜツヨシ。早く来いよ……。
また目があって、次は何を話すかと考えていたところ、
コウタが「あの」と言いかけた瞬間にインターフォンが。
厚手のオーバーコートにシャツ&ジーパンとスカーフ。
オシャレを決めてきたツヨシがドアの前に立っていた。
「ごめんね。準備進んでるんじゃね?」
「早く手伝え。」
というわけでツヨシも合流し、着々と準備が進んで、
そこから先は特にコウタと会話することもなく、
そのまま集合時間が近づいてきた。
そしてインターフォンも押さずに入ってきたのはテル&ヨウジ。
俺が迎えに出た時には、二人ともキョロキョロ懐かしそうに玄関を見渡していた。
「タツヤの家、久しぶりだな~。」
「ほんとだよな。昔はよく遊んだのにな!」
「……お前らがラブラブでここに来なくなったんだろ。」
……というわけで、キャストは着々と揃い始める。




