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つれづれな詩たち

タイムカプセル

作者: 風蘭

部屋に転がしたままの箱を

思いついて開けてみる

いつか捨て損ねた手紙とか

いつか仕舞い忘れたメモ帳とか

懐かしくて痛い

苦しいほど辛い

そんな思い出が零れ落ちて来る


捨てたままで良かったのに

忘れたままで良かったのに

色褪せたはずの感情に泣きたくなる

どうしてどうしてどうして

伸ばされた手を取れなかった

その理由を今更のように

説明なんて出来ないのに


好きなものほど嫌いだと言って

隠したかったのは何からだろう

遠ざけて手放して捨てた振りで

捨てきれなかった感傷を

隠し持ったまま歩いてしまったから


部屋に転がしたままの箱を

思いついて開けてみる

いつか捨て損ねたプレゼントが

いつか仕舞い忘れた絵手紙が

懐かしくて痛い

苦しいほど辛い

そんな思い出が転がり落ちて来る


忘れたままで良かったのに

失くしたつもりで良かったのに

自分でつけた傷跡に泣きたくなる

どうしてどうしてどうして

縋る手を振り払った

その理由を今更のように

紡ぐ言葉さえないのに


いつか光だった思い出たちが

あふれようとする箱にそっとふたをする

何もなかったように微笑んでも

冷め切ったふりで

色褪せぬ願いを眠らせたふりで

奪わせぬよう

触れさせぬよう

そっとそっと仕舞い込むタイムカプセル

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― 新着の感想 ―
[一言] 思い出は思い出のまま、それが一番綺麗なのかも知れません。 かつて光り輝いていたものを振り返る時、それをどう感じるかは今の自分が置かれた状況にもよるのかな、そう思います。 それでも、その時の楽…
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