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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

kurokuro 短編小説集

唯我独尊クズヒーローVS虐められヴィランとアンガーマネジメント

作者: kurokuro

 「はい! と言う訳で、今日の配信はここまで! 乙、GG! 明日は新作のゲームしまぁす!」


さて、配信の遅延を考慮して、三十秒ほど待ってから、配信サイト側を切って、OBSを切る。したら、お気持ち表明アプリで俺の名前を検索。配信が切れていることを確認したら━━━


 「配信終わりの朝日は身に沁みるねぇ」


 俺は 《コゴク》 勿論のこと、本名ではない。芸名っつうか、チャンネル名? あ~活動名って言やぁ分かりやすいかな。まぁとにかく何が言いたいかって言うと、自己紹介ね。新規の方にはこうやって、自己紹介しないと配信主に近づけないだろ? 名前とか好きな物を知ることで、俺のことを知った様に思わせる。コレ、大事ね。さてと、急だが自己紹介は終わりだぜ。なぜなら、これから本業の方に行くからな。え? 俺の本業? あ~知りたいか? なら、教えてやろう。それは━━━


 「 ❰ヒーロー☆❱ “コゴク” 行ってきます。」


 ❰ヒーロー☆❱ である。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 ❰ヒーロー☆❱ ってのは、みんなが想像できるアレだ。町を守り、時には愛する人を、そして最低最悪のヴィランを倒す。アレだ。俺は一応アレなのだ・・・一応ってのは、俺がまだ ❰ヒーロー☆❱ ライセンスがブロンズだからだ。簡単に言うと、最低辺の無名 ❰ヒーロー☆❱ ってことだ。

自分で言ってて悲しいので、説明はここまでにする。っつても、配信で食えてはいるので、別に良いけどね。

取り敢えず ❰俺のヒーロー☆❱ 活動を紹介しよう。

 ❰ミッション①❱

町の清掃。

落ちてるタバコやら、溝に詰まってる落ち葉を取り除いたり、歩道に生えてる道草を抜いたりする。

 ❰ミッション②❱

ティッシュ配り。

これに関しては、俺の売るため。少しでも、業界の目に留まるか、覚えてもらうために行っている。

 ❰ミッション③❱

ヴィラン退治。

・・・ない。なぜなら ❰ヒーロー☆❱ 協会が各 ❰ヒーロー☆❱ 事務所に連絡をし、ヴィラン退治を行うからだ。事務所に所属していない俺は、縁がない。一応緊急時では、事務所に所属していない、つまり無名でも行えるけど、そんなことはまずない。だってそうだろう? 頻繁に、んなことが起きてたら誰も居ないぜ? こんな町。


以上が ❰俺のヒーロー☆❱ 活動である! 文句は言うな!

・・・いや、文句を言われても、何とも気にしなければ良いんだ。言わせておけば良い。けれど、言うなとか言ってる時点で、気にしてるんだよな。今の現状を良くないって思ってるんだよな。

俺が一番それを、理解してるよ。いつだって、どんなときだって、自分の最大の敵は自分で、最高の味方は自分なんだから。

一番、知ってるよ。

でも、憧れたんだから、辞められねぇだろ。止まれねぇだろ。今さら。

何てこと考えてたら、清掃は終わったぜ。次はティッシュ配りだな! ティッシュを配る時は笑顔が大事! スマイル、スマイル! クソなこと考えてるときは、ハッピーなこと考えりゃ良いんだ。明日は新作の~発売日~


 「ん?」


・・・気のせい、じゃねぇよな。今、確かにバチって━━━




━━━んぁ? 


 「んだこれ」


町が、壊れ、いや。んなレベルじゃねぇ。崩壊だ。周辺の家が、崩れてやがる。


 「俺の家は?」


何がなんだが分からんが、俺の家が無事ならそれで良い。だって! 120万のゲーミングPCに、周辺機器も合わせて、133万はしたんだぞ! それがぱぁになるのだけはヤダ! だから、今はまず原因を探す。この状況にした原因を。


 「ん? アレは」


人だ。無事なヤツが居たのか! それに、立ってる。立てるぐらには無事と言うこと! 話しかけるか。


 「なぁ! お前、大丈夫か?」


立っている男は、いたるところから血を流す男を片手に、左手から電気を放っていた。


 「まだ、生きてる人が居たんですね。まぁでも、僕の復讐に関係ないので、殺しませんけどって、離れるの早いですね」


我ながら、とんでもない反射神経だと感心しているよ。は~ん、なるほどね。この状況を作り出したのは、アイツか。身長的に、中学生くらいか? ってそんなこと考えてる場合じゃねぇよな。問題は ❰能力者❱ っつうことだ。しかも、俺の ❰能力❱ と相性が悪いな。


 ❰能力者❱ とは人智を越えた超常的な力 ❰能力❱ を使う者のことを言う。さて、ここで少し授業だ。 ❰ヒーロー☆❱ は ❰能力者❱ であるなら誰でもなれる。だから、俺でもなれた。そんでもって ❰ヒーロー☆❱ は ❰能力❱ を善に使う者を指す。それに対し ❰能力❱ を悪に使う者を ❰ヴィラン❱ と呼ぶ。だから ❰ヴィラン❱ を退治するのは ❰ヒーロー☆❱ にしかできない。だってそうだろう? 何も持たない人間が、持っている人間に勝てるはずがないら。


さてと、警察は動かないだろうな。つか、動けないな。ってことは ❰ヒーロー☆❱ の出番だ。 ❰ヒーロー☆❱ 協会には連絡されてるだろうな。となると、事務所にも。つまり、ここには著名 ❰ヒーロー☆❱ が来るってことだ。俺の出番はない。でもよぉ~こんなチャンス訪れねぇよな? こんなにも最高のステージを、逃すはずがないだろ? 名を売れる最大の、これを逃せば二度とない、チャンス! 殺るしかねぇよなぁ~


 「あっそうだ。お前の ❰能力❱ の出力範囲教えてろよ」


 「いきなりですね。良いですけど。僕の出力範囲は・・・」


 「あ~待て待て。第二公園までか?」


 「そこまでではないですが、 ❰能力❱ の関係上、電線にも影響が出るので、停電はしてるかも・・・」


あ? 停電だぁ? ふざっけんなよ! 停電してたら、ゲームできねぇじゃねぇか。


 「お前。んで、こんなことした?」


 「僕は虐められていたんです。だから、その復讐を・・・」


 「は? それだけ?」


 「それっそれだけってなんですか! じゃぁ! 何様なんですか!」


何様って、そりゃ~


 「 ❰ヒーロー☆❱ ですけど」


 「見たことない。名前は?」


 「 “コゴク” だ」


 「え? 誰? 聞いたことない、無名だ」


うるせぇよ。


 「・・・でも、 ❰ヒーロー☆❱ ってことは、僕のこと、 ❰ヴィラン❱ である僕を捕まえるんですか?」


 「ん? ああ、そうだな」


最低辺で無名だけど、一応 ❰ヒーロー☆❱ だからな。


 「じゃ、じゃあ、何で僕のこと捕まえるんですか?」


 「ん~お前が停電させたから。停電したら、パソコン付かねぇだろ? そしたら最新作のゲームできねぇだろ? だから・・・」


 「それだけ! それだけですか!」


食い気味だな。つか、アレか。言われたこと言い返して、気持ち良くなってんのか?


 「そうだよ、それだけだよ。お前からしたらな。お前は俺じゃねぇから、俺の気持ちが分からんだろ? 俺も同じだ。だから、俺からすれば “それだけ” になるんだよ? 分かったか?」


言いたい年頃だろうからな、大人を見せてやる。


 「じゃあ僕が虐められてたのも “それだけ” で終わらせれるんですか?」


 「俺に害がなけりゃお前がどうなろうと知らねぇよ。虐められてようが、生きてようが、死んでようがな。だから、お前が誰に復讐しようがどうでも良い」


 「じゃあ何で」


 「俺の邪魔したから」


 「そんな理由で、僕を、 ❰ヒーロー☆❱ やれるんですか」


いらない心配だっつうの。


 「 ❰ヒーロー☆❱ らしくないか?」


 「はい」


俺でも分かってるよ。でも、俺は俺が一番大切なんだ。だって、俺は俺の最高の 《味方(ヒーロー☆)》 だからな。


 「つ~かお前こそ、 ❰ヴィラン❱ らしくねぇじゃねぇか。どうせなら自分を邪魔するヤツ、否定するヤツ、助けなかったヤツ、全員殺しちまえよ」


それに、復讐に関係なかったら生かすとか言っておきながら、しっかり、大被害になってるし。復讐対象以外も殺してるし・・・見てて、聞いててムカつくんだよ。中途半端なのが。あっそう言えば━━━


 「アンガーマネジメントって知ってるか?」


 「確かに、どうせなら ❰ヴィラン❱ なら」


 「6秒経ったら怒りが消えるんだってよぉ~つまり」


 「僕のこと・・・いや “オレ” のことをクソにしたヤツ全員」


 「6秒経ちゃあ、怒りから殺意に変わってるっつうこったぁ!」


 「全部全部、オレをクソにしたモン全部! 滅茶苦茶にッ!」


 「これでお前を合法的にぶっ殺せるぜぇ~!」


 「だからお前を絶対に嫌でも否定してやる!」


 俺の ❰能力❱ は ❰吸収と放出❱ ! どんなものでも自己エネルギーに変換し、自己エネルギーとして放出できる! しかし、痛みはある。肉体の限界を越えれば死ぬ。だから━━━


 「死ね」


━━━ “先手必勝の一撃必殺” 


アイツが復讐の際に放った電撃を、放出する。俺の ❰能力❱ は、俺の意思に従わない。強制受動自律型(オート アビリティー)だ。対してアイツは、自由意思能動型(フリー アビリティー)。発動までに、時間がかかる。その隙を、俺は逃さない。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 「ぶっ殺すんじゃなかったのかよ」


 「あ~そのつもりだったんだけどよぉ~お前な弱すぎて殺せなかったわ」


俺の ❰能力❱ は相手に依存する。相手が弱けりゃ殺せない。


 「・・・アンタは邪魔するヤツを殺せるのか?」


 「ん~まぁな」


 「 ❰ヒーロー☆❱ らしくねぇ」


 「お前も人のこと言えねぇよ」


 ❰ヴィラン❱ らしくねぇ~


 「アンタは何で ❰ヒーロー☆❱ になったんだ?」


 「俺が俺の “ヒーロー” になるため」


 「・・・・・・辞めた。罪を償うよ」


・・・まぁ良いんじゃねぇの? 俺には関係ないし。好きにやってもらえれば。


 「さてと、事務所に所属してる ❰ヒーロー☆❱ さん達が来た。俺はこの辺で帰らせてもらうぜ」


 「引き渡しまで居ろよ」


 「ガキぼこって、イキレねぇよ」


俺の ❰ヒーロー☆❱ はんなことしねぇからな。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 「つう訳でさ~大変だったんだぜ~まぁ俺はすぐ逃げたんたげど」


配信でしっかりと話す。少しでも、ネタにする。


 「え~と、配信のコメント。最低っておい! んなこと言うなよ!」


 おもしろ冗談にする。余計なお世話かも知れないが、子供には帰る場所が必要だろ?


 “最高のヒーロー☆()” ならそうする。


 「まぁとにかく、俺は唯我独尊のクズってことだな。今日はここまで、乙! GG! またな」












          唯

          我

          独

          尊

          ク

          ズ

          ヒ

          ┃

          ロ

          ┃

          VS

          虐

          め

          ら

          れ

          ヴ

          ィ

          ラ

          ン

          と

          ア

          ン

          ガ

          ┃

          マ

          ネ

          ジ

          メ

          ン

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