運命の日
小さい頃、何度も期待した。
自分は特別になれるって
身体から力が溢れたり、飛べたり、敵と戦ったりなんかして
学校で特別になれなくても、そんな力がいつか宿ると思ってた
でも、そうなったとしても
まさか曲がり角でぶつかって宿るとは思わないじゃんか
────え?
知らない天井。なかなか良い座り心地の椅子。手足は縛られてる。────以上。
「いやおかしい!!」
すると、ギィと音がした。見るとそこに白髪の男が立っていた。
「元気いっぱいだね、いや何よりだよ」
祐馬はポカンと男を見ていると、
「ハハッ、本当に憑依してるよ」
男はスタスタと目の前まで歩き、祐馬の顔を覗き込んで笑った。
知らない場所で?椅子に縛られて?謎の男がなんか笑ってる?
うん、ヤバい。
明らかにヤバい。
逃げよう。
「あ、ここから出るとキミ、死ぬから♪」
祐馬は立ち上がって、戻った。
なにが楽しいのか、男は終始ニヤニヤしていた。
「さて、改めて」
パン、と男が手を叩く。
「君さ、死刑と労働だったらどっちが良い?」
───────────
「……………?」
「うんうん、働いた方がいいよね!いや〜よかった、棚ぼたってやつだね。いやこれも僕の日頃の行いが…」
男が何か喋っているが、祐馬の頭には入らなかった
死刑??は????
「ん?どうしたの?」
男がまた覗き込んできた
「いやえっ死刑ってなんでですか!?お、俺はなんでこんなところにっ」
シーッ
男は祐馬の口に指を当て、静かにするようジェスチャーした。
笑いかけながら男は目を合わせ、
「一つずつ、話していこうか。キミも混乱しているようだし…あ、そういや縛ったままだったね、ゴメンゴメン」
スルスルと縄が解かれていった。まだ、落ち着けない。
それを悟ったのか男は祐馬にお茶のペットボトルを渡し、深呼吸を促した
「僕も初めてのことでね、緊張しちゃったよ」
同意を求めるように片目をつむる男。祐馬は再び、ポカンと口を開けた。
「さて…何から話そうかな」
男はなにか考える仕草をしたかと思うと、祐馬に問いを投げた
「まずキミの疑問に答えた方がいいかな、なにか聞きたいことはあるかい?」
聞きたいことだらけだ、と叫ぶのはグッと堪えた。
安心はできないが、とりあえず今すぐなにかある訳ではなさそうだと判断し、口を開いた
「じゃあ、えっと、自分はなんでこんなことになってるんですか?」
「よくぞ聞いてくれました!!」
バッと男は立ち上がり、嬉しそうに笑いながら
テンション高く話し始めた。
祐馬が、知らなかった世界を