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閑話 ネリク(父)視点





 このお話は閑話になります。

 読まなくても物語の流れに影響はありません。









 夕食を終えて一息つく。

 コリンはまだ小さいので、狼を連れて早めに自分の部屋に戻って行った。

 キャロルに似てとても可愛く、すくすくと育っている様子を見ると癒される。


 キャロルが甘めのワインが入ったコップを二つ食卓に並べてくれた。


「ありがとう」

「どういたしまして。それよりも最近コリンが心配なのよ」

「どうしたんだ? また何かあったのか?」


 コリンは一時期家から出なくなってしまったことがあった。

 森に狩りの見学に連れて行って、猪に()ねられた日を境にして、ずっと家の中に引きこもるようになってしまった。


 最初は一時的なものだろうと考えていたのだが、半年経っても一向に変化せず、さすがの俺も焦った。

 キャロルはもしかしたらもう一生外に出なくなってしまうかもしれないと言って泣き出すし、俺がまだ子どもなのに無茶をさせるからだと責められた。


 そんなことを言われても困る。

 俺も十歳になる頃にはもう剣術と魔法の訓練もしていたし、指南役の騎士にも(しご)かれていた。

 普通は戦闘の訓練をしていてもいい頃のはずだ。

 もしかして、俺が普通じゃないのか?


 まあ、これは今考えていても仕方がないか。

 そんなコリンも森に興味が湧いたようで、その後すぐ魔法を教えて欲しいと言ってきた。

 それを聞いた時は急な変化にとても驚いたが、何よりも嬉しかった。


 正直、キャロルほどじゃないが俺もかなり心配していたので、コリンが外に出るきっかけになると思ってしっかりと魔法や剣の使い方を教えた。

 俺の教え方がよかったのか、あっという間にコリンは魔法を習得して、身体強化も使いこなし、剣もある程度使えるようになった。


 さすが、俺の息子だ。


 これまでのことを一瞬思い出していると、キャロルが話し出した。


「コリンったら、また森へ行っているのよ。それに最近はネリクも付いて行っていないらしいじゃない」

「そりゃ、コリンはもう十分強いからな。この辺りに出る動物や魔物程度ならコリンは苦戦しないと思うし、『僕の練習にならないので、一人でやってみたいです』なんて言われちゃ、そうさせてやりたいだろう」


 本当にコリンは強くなった。

 ある日突然連れてきたマーダーウルフを紹介された時は少しばかり、いや、かなり焦ったが、ソラと名付けてしっかりと飼いならしているし、コリンとあの狼のコンビは俺よりも狩りの成果が高くて助かっている。


「でも、コリンはまだ子どもなのよ。子どもだけで魔物のうろつく森の中を歩き回っているなんて、大丈夫なの?」


 キャロルの心配はもっともだった。

 コリンの強さを見ていなければ、普通あの年頃の子どもが森に一人で出かけるなんて親の正気を疑われるレベルの大事件だろう。


「一応心配になって、本人に内緒で少しだけ様子を見ている時もあるんだ。だが、あいつらはきちんと戦えていたし、なんなら俺の気配が狼に気付かれちゃってたよ」


 狩りをしている様子をだいぶ後ろの方から見ていたのだが、チラチラとこちらを見て「大丈夫ですよ、ボクが付いてますから」みたいに合図をしてくる狼には参った。

 魔物を飼いならせるコリンの力も謎だらけだが、あの狼は一体何者なんだ?

 あの狼のせいで余計に心配になってきた。


「そうだったの……。でも、あんまり無茶をしないように、ネリクからもコリンに言ってあげてよね」

「わかった、言っておくよ」


 いろいろと謎だらけのコリンだが、大事な一人息子であることに変わりはない。

 これからも温かく見守っていこうと決めた。









 親からすれば心配になりますよね。

 私だったら心労で倒れる自信があります。





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