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あなたのバーチャル嫁が現実に出てこないと思った?  作者: 椿紅颯


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2/6

純粋無垢なバイト仲間

  18時30分。

 時刻は休憩時間に差し掛かった。


「時間なんで休憩入りまーす」


 客足は薄く、スムーズに休憩に入ることができた。

 ロッカーからスマホを取り、SNSをチェック。そのまま休憩室中央にある机まで移動。


 はぁ、休憩後忙しくなるんだろうなぁ

 今日のエイラムちゃんの配信時間通知はーっと……まだかぁ。


 帽子で潰れてしまった髪型を左手でふっさふさと直す。

 椅子の背もたれに体重を預け、俯きながらスマホを操作していると、扉の開閉音が聞こえた。


「お疲れーっす。先輩、今休憩時間すか?」

「そうだけど、あれ、恵美理(えみり)はあがりだよな」

「そーだったんすけどー」


 恵美理(えみり)はそう言いながら、帰宅の準備を整えるのではなく、背中を丸めて気落ちした雰囲気で、正面の席に突っ伏し始めた。


「どうしたよ」

「せーんぱーい! 聞いてくださいよー。私っていつもだとあがりじゃないですかー。でもでも、副店長が勤務時間延長する代わりに、今から休憩入ってほしいって言われてー」

「それは災難だな。もう一回言っておく、災難だな」

「ホントっすよー。ん? どういうことっすか?」

「いや、ほら、これからホットタイムだから」

「あ!」


 羽根恵美理(はねえみり)、かなり怪しい敬語擬きで話しているが、厳密には後輩という訳でもない。

 実質的には同学年だが、仕事的には俺が二年目、恵美理が一カ月目というだけだ。


「まあドンマイ」

「はぁ、まーあ? お金出るからいいっすけどー。あ、そんなことより最近どうなんすか?」

「何が?」

「何って、彼女できたのかなって。最近先輩モチベ高いって感じがして」

「あぁ? 俺が彼女なんて出来ると思ってんのか? バカにしてんの?」

「いやいや! そんなこと思ってないって! ――そっか、彼女じゃないんだ」


 椅子の(きし)んだ音で、恵美理のリアクション後に小言で呟いた言葉を聞き逃した。

 だが、どうせ弁解の言葉だと思い、聞き返すことはしなかった。


「じゃあ、何でそんなにやる気溢れてるの?」

「まあいいっか、もし笑ったら、今後仕事中に困った事があってもヘルプいかねえから」

「え! そ、それだけはご勘弁をー!」

「んまあ、あれだよ、バーチャルライバーだよ。最近ハマッててな」

「え……」

「やっぱりな、もうお前のヘルプなんて――ん? 笑っ」

「いやいや、笑わないよ!」


 なんだこの状況、予想の真逆すぎて混乱する。

 こいつの性格的に、いや、でも、今笑ってない。

 それどころか……。


「私も好きなんだ!」

「はい?」

「私も観る専だったんだけど、興味があって自分で……じゃ、じゃなくて、色んなライバーの動画とか見てるよ!」

「へえ、以外だな」

「へっへーん、でしょでしょ!」

「てか、いい加減その喋り方、どっちかに統一したら? 職場から出た瞬間、いつも通りならここでもタメ語でいいんじゃね?」

「えっ、そうなの? 私、バイト初めてだから、全然そういうのわかんなくって」

「まあ、あくまでも俺は気にしないから、いいんじゃね」

「そっか! ありがと!」


 恵美理は何故か嬉しそうにしている。それに止まらず俺の手を奪い、両手で包み込んで笑顔を咲かせている。

 同級生にしては落ち着きがない子供の無邪気なリアクション。

 感情のままに体が動き、感情のままに表情に出ている。

 リアクションも自然で、悪い感情を一度も感じたことが無い真っ直ぐさ。



 それから休憩時間の間、お互いにスマホでライバー自慢を開始。

 もちろん俺はエイラムのみを推し、余すことなくその魅力を語った。恵美理も興味津々で、「今日絶対見る」と言ってくれた。

 そんな、自分の推しに興味を示してくれたからには、紹介されたライバーも知識の一つとして覚えておくことにした。

 休憩時間も残り少なくなった頃、エイラムの放送開始時刻通知が来た。



 今日はこれから大変だけど、恵美理も追加になったし気楽そうだ。

 それにエイラムちゃんの配信が待ってる! やる気全開!

 うおぉぉぉぉ!

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