1話 ゲーム開始
「はあ……」
自分の部屋のベッドで、自分のスマホを抱きしめながら大きく息を吐いた。私は今、とある乙女ゲームをクリアしたところだ。たまたまSNSで流れてきたその乙女ゲームが何となく気になり、することもないからとそのゲームを衝動的に買った。レビューもいいからこれは勝ちだな、なんて思いながらルンルン気分で家に帰りいざプレイ。
そこからの私の集中力は本当凄まじかったと思う。まずはキャラクターのビジュアルが良すぎてひっくり返るかと思ったし、ストーリーも私史上最高でこんなの徹夜するしかないじゃない!
「数多の乙女ゲームをやり散らかしてきた私にとってドSだろうが我儘だろうがなんでもバッチコイよ! 全員攻略し尽くしてやるわ!」
そう独り言をつぶやいていたのは最初の十数分だけ。その後の私の部屋にはゲームの音とコントローラーの音のみ。ただ攻略することが目的じゃない。いや、それもあるけど、純粋にドキドキして止め時を失った。
「っ~~! トイレ!」
流石に生理現象は抑えられない!
私はコントローラーを手放して部屋を出てトイレを済ませる。ゲームに没頭しすぎるのもよくないな……。再度コントローラーを握ろうとした時、一瞬エラー音みたいなのが聞こえたような気がした。
「ん? 私変なところ押しちゃった?」
テレビ画面を見たけれど特に画面に変なところはなかった。なんとなく疑問は晴れないけれどゲームの進行に影響がないなら別にいいや。変に触って悪化したらゲームできなくなっちゃうしね。
「さてと続き続き」