極龍狩り
「最強の雑魚でね、レベルは250台、ヒットポイントは100万以上、
体長は最小でも50メートル以上、ジャンボジェットみたいな大きさのドラゴン」
「それが僕らとどう関係あるんですか?」
「もしかして、討伐するとか?」
冗談半分でこう聞くと英島豊は軽く首を振るとこう言った。
「倒すんじゃあない、乱獲する。何万匹と狩り殺す」
自信たっぷりで発言する英島にこいつ頭おかしいのかとマジで思いつつ
「いやいや、無理でしょう」と言いながら興味は沸いてきた。
「まあ、そいつを倒した奴はまだ誰もいなくてね。でも普通に歩き回ってて
元の位置にリポップするから、種類的には雑魚だと思うよ。と言っても、
普通に戦ったらラスボスより少し弱いくらい。話にならない」
英島はビールをあおると、興奮気味にその魅力について説明しだした。
「まず、膨大な経験値が入る。君たちも1日で総戦闘値100万以上だ。
超レアアイテムを落とす可能性も高い、そして金貨も相当手に入る」
英島は最底辺の職業、調教師である俺を見ながら微笑んだ。
「そして、もしテイムできれば、君は最強のテイマーになれる」
「最強のテイマーには興味ありますが、どうやって倒すんですか?」
英島は最近ウルティメットドラゴンの生息域に行ったらしく、
「私はかなり修行して。中級魔法を取得したから
一度威力を試そうと思って、極竜は氷結魔法使うから
弱点は火炎属性かなと思って攻撃したら、真逆で氷結属性が弱点だった。」
「えっ、戦ったんですか?」おれはこいつ頭おかしい、
勇敢な馬鹿か、賢い自殺志願者だと思った。
「それはすごいですが、どうやって倒すのですか?乱獲以前に
1匹も倒すことできないと思いますよ。」
それを 捕らぬ狸の皮算用と言うのだと思いつつも、聞き返していた。
俺は英島の話が俺とどう関係があるのかわからなかったので、
意味がつかめずにいたからだ。
「そこで君の出番だよ」
英島さんはビールを飲みきると言った。
「どういうことですか?」
俺は意味が分からず質問しかできなかった。
「この街の近くの森に魔法常時反射の精霊カーバンクルが住みついているわ。
あんたがスライム10匹出した状態でカーバンクルがいれば、
ウルティメットドラゴン自身の最上級全体氷魔法が反射して10倍の威力になる。
大ダメージを与えられるはずだよ」
英島さんは興奮気味に語り、ニヤッと笑った。
あまりの荒唐無稽さに俺があきれていると露原が立ち上がりこう叫んだ。
「よし、やろう」
いつも金欠で元気のない露原が珍しくやる気満々だ。
「おい、どうした露原。お前も頭おかしくなったのか?」
俺がそう声を掛けると、
「私は竜騎士だ、そうだろう。乗るべきドラゴンを探すのは当然だ。
カズ、ウルティメットドラゴンをテイムしてくれ!」
露原は目を爛々と輝かせ、腹の空いた狼のような謎の雄たけびを上げた。
初心者で浅学の身であるおれでも、明らかに不可能だと思えるし、
実在の確認されていない報酬のために命を懸ける気はない。
しかし露原はものすごく乗り気だ。
命の恩人で、今まで生活の面倒を見てもらっていたのだ、
断ることは難しいだろう。
露原イツキが『槍戦士ではなく竜騎士』だからだ。
「なぜ、そこまでドラゴンにこだわるんだ!」
「私は生まれおちた時、竜騎士という職業だった。
だが相棒であるはずの竜はどこにもいなかった!」
ああ、騎乗用のドラゴンが付いてくると思ったのですね。
「しかし、ドラキチは親に売り払われてしまっていた!」
ああ、騎乗用のドラゴンはいたのですね。売られたのですか。
それは悲しいですね。
俺は露原を落ち着かせると、依頼を受けることにした。
「すみません、質問をいいですか?英島さん」
「あぃ、いいよ。なんだい?」
「カーバンクルってすごく便利そうに見えるのですが、今まで誰も
テイムしなかったのはなぜですか?」
「フム、それはもっともな質問だな。」
「私も詳しいわけではないけれど、聞いた話では、
この世界にテイマーが現れて生き残ったのは
君を含めて100人もいない。何もないところからスタートするんだ
街まで来るのが難しい。この街も経験を積んだものはすぐに
次の街に行くから初心者以外は過疎気味だしな。
わたしもウルティメットドラゴンの生息域がここでなければ、
とっくにおさらばしていたよ。」
「おっと話がそれたな。知っている通りテイムするには、対象を
最大ヒットポイントの1割以下にしなければならない。
だが、カーバンクルの最大ヒットポイントは1だ。」
ビールのお代わりをもらうと英島は続けた。
「先駆者は、一時的に最大HPを増加させるポーションや
毒や回復、混乱、睡眠、誘惑、いろいろやったが、成功しなかった。
そもそも、我々のように明確な目標『ウルティメットドラゴンを倒す。」
などと思っていないため、全力で傾注する理由もない。
すぐにあきらめてしまったらしい。」
英島さんの考えた方法は、カーバンクルの最大HPを毒を飲ませて
回復させて最大HPを十一以上にして死なないようにしてから、
テイムするというものだ。
その日俺たちは、『カーバンクル』の住むという近くの森に向かった。
投稿用に真面目に書いた初めての作品です。
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