天使との再会
熾天使ウリエルに草原に放り出されて数か月、俺は強くなった。
仲間もできた。雷に撃たれたせいで過去の記憶はあいまいではあるが。
朝早く宿屋を出ようとする俺におさらぎが不思議そうに尋ねてきた。
「米原さん、どちらに行かれるのですか?」
「ウルティメットドラゴンを狩りに行こうと思ってな。」
「おひとりでですか?」
「あぁ、この前もらった呪いの剣に『エクリプス』と名を付けたんだが、
こいつもモンスターなら経験値を積めば強くなるだろ。
だから修行させようかと思ってな。」
「そうですか、私たちは宿屋で留守番していますね。」
おさらぎはそう言うとベッドに戻っていった。
俺は一人山を登り、ウルティメットドラゴンと対峙した。
「なあ、エクリプス、お前、龍燐より強度低いよな?」
「はい、龍燐にまともに斬りつけても折れるだけだと思います。
普通にレベル上げしてもらってから、剣技の練習をしたほうがよさそうです。
俺はとりあえずエクリプスのレベル上げをすることにして
ペットをケージからだした。
クレインA スライムA-Z 召喚(ケージから出す)
相変わらず馬鹿なウルティメットドラゴンは最大級全体氷結魔法を撃って
自爆した。経験値は30万EXP、それに加えてエクリプスは
呪いの剣の特性か、切りつけた際に『刃』の部分に龍燐が付着し
コーティングされていく。90日ほどで呪いの剣の戦闘値が30億になった。
スラリンと同じくらいだ。
耐久度も上がり、いかなる金属の剣よりも強いだろう。
修業を始めた俺たちだったがウルティメットドラゴンの戦闘値は1億程度
しかし龍皮と龍燐はとても固く剣などすべて弾いてしまう。
予想どおり大上段からの振り下ろしはほとんどダメージを与えられなかった。
剣士は金属ゴーレムなどの物理防御力の高いものが苦手だ。
しかし、一切魔法を使えない俺には選択の余地はない。
将来的には適度の威力な魔法や補助魔法も欲しい、
威力が大きいドラゴン系以外のペットも欲しいが、
無いものは仕方がない。
自分自身が全く魔法が使えないのが厄介だ。
もう一つの切り札、龍燐の盾を『カーバンクル』
クレインEに装備させ、それを所持する、するとすべての魔法が反射できる。
死体のカーバンクルは魔法を反射しないが、生きているカーバンクルは
全魔法を反射する。
なぜ今まで誰も気が付かなかったのだろう、不思議だ。
クレインはヒットポイントが50万近くあるのでそう簡単に死なない。
それに死者蘇生魔法が使用可能なスラリンもいる。
おれは、1匹1匹に時間をかけて剣の練度を上げていった。
師匠とかはいない。呪いの剣が複数の剣の達人の記録を持っているので
それをトレースしながらドラゴンを屠っていく。
1撃で500ダメージとかなのでヒットポイント100万近いのを倒すのは
恐ろしく時間がかかる。
「ほほー、これがウルティメットドラゴンか。大きいですね。」
聞きなれない声に振り向くと天使らしき生物が立っていた。
「お久しぶりですね、カズ。宝瓶宮の熾天使です。」
天使に挨拶をされた。
「しかし、レイドボスクラスのヒュージドラゴンと単独で戦うとは
人間とは思えませんね。」
「装備も龍燐と龍皮を使った逸品もの、なぜこのような初心者ゾーンに
いらっしゃるのですか?」
「ところで、生きたマグロを2000匹運んだというのはあなたですか?」
マグロの件はごまかしても無駄だろう、正直に答えた。
「ああ、はい。ドラゴン4匹で運びました。あれで冒険者レベルが1から100に
上がりました。有名になり過ぎて困っているんです。」
「では、ジェノーヴァ帝国で死者蘇生を受けた竜騎士というのはご存じでしょうか?」
リエルは尋ねる。
「いえ、知りませんね。」
死者蘇生がいかに異常な能力かわかったので、ここは伏せておこう
そう思ったが、
「嘘をつかれましたね。」
「天使は霊体、マナの色で善悪や嘘が判ります。」
「う~ん、こまったなー。」
「人間ならともかく天使なら殺しても文句を言うやつもいないだろう。」
「かかってきていいぞ!」俺は言った。
「舐めてもらっては困ります。熾天使は最高位。人間の及ぶところではありません。」
そう言うとこからでもなく剣を取り出した。
「霊体に通常の武具ではダメージを与えられませんよ。」
そう言ったリエルに激痛が走った。
「この剣は呪われているモンスターなんだ。
モンクのような拳でなくても生き物の攻撃は、通るだろ。」
一撃でマナの6割を持っていかれた。
「もしや、カズよ。昔の記憶がないのか?」
「私だウリエルだ。覚えていないのか?」
「しかし、強くなったものだな。剣も魔法も使えない
ただの無能だと思っていたのだが」
「覚えていないんだが・・・知り合いなのか?」
「俺の戦闘値は素で24億、あんたは8億ほどだろう。装備差もあるから
何度やっても負けるぞ。」
「失礼いたしました。戦いはもうする気はありません。」
意外に天使は低姿勢なようだ。
「よろしければパーティーに加えていただけないでしょうか?」
そう言って、リエルは頭を下げた。
俺的にはOKだ。最高位天使とはありがたい。だが仲間と相談してからだ。」
「ああ、俺は マイバラ カズ よろしくな。」
「おかえりなさい、米原さん。」そう言ったオサラギは
後ろに付いて来ているリエルに目をやった。
「その方はどなたですか?」
おれはオサラギに全員集めるように言った。
「今日もウルティメットドラゴンを狩っていたんだが、なぜか
因縁をつけられて戦闘になった。天使っぽい外見のが
『リエル』だ。苗字はないらしい。」
「初めまして。『英島 豊』と申します。ユタカではなくトヨです。
黒魔導士をしています。よろしく」
「あぁ、英島、こいつらも戸籍とか身分照会ないんで、前みたいに背乗りっぽいの
よろしくおねがいする。」
「オッケー、明日にはできるよ。」
英島は気軽に返す。
中世ファンタジーとはいえ出自や人物を簡単に作れるのだろうか?
俺はアンダーグラウンド感が否めない英島が別の意味で怖かった。
「私は ウリエル 訳あって神が不在なため、このとある人間の監視を行っている。
皆さんを見ていると私の戦闘値がまだまだだとわかった。
いずれ並んで見せます。」
「いえ無理だと思います。私はは実体化している霊体です。
パワーやヒットポイントという概念がない以上戦闘値は上がらないかと。」
「いやいや、ウルドラ狩りしてたら、すぐに強くなると思うよ。」
一晩寝て朝飯を食っていると、英島が書類を2セットもってやってきた。
「今日からあなたは『井伊 リエル』さん。」
「ありがとうございます。」2人は声をそろえて礼を言った。
本来なら、ギルドクエを受けるところだが、リエルさんが弱すぎるので
30日修行です。
「ウルドラ狩りか!」
「姫の時は3億だったけど、リエルはいくらでしょう?」
「まあどうせカンストさせるけどね。」
俺たちは6人で山に登り、ウルドラを狩り続けた。
『井伊リエル』の戦闘値は30日で 15億になった。
姫も総戦闘値8億になった。
ほかのメンバーはカンストしているのでそれ以上上がらないようだ。
投稿用に真面目に書いた初めての作品です。
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