初期村の冒険者ギルド
冒険者ギルドは、村の役場の窓口に過ぎなかった。
本来ここは冒険者見習いや商人見習い、戦士、盗賊
など基本職を選ぶ場所なので、お姫様以外はオーバースペックすぎた。
大仏は白魔法使いを選択した。ちなみに白魔法使いは
どんなにランクアップしても蘇生できたりはしない。
おれはそのまま、テイマーになるつもりだったが、
テイマーは職業ではなく、テイムスキルを持っている人のことだと判明した。
つまりおれは今まで、『無職』だったというわけだ。
単純作業の好きなおれは、どうも魔法は向いてない気がするので
戦士を選択した。2次職でタンクに転職するつもりだ。
正直タンクは一番苦しい職業だ。削られるため装備の修理費が半端ない。
だが、金銭的に豊かなのでそこのところは問題ない。
「俺ってランク5じゃないんですか?」
俺は思わず聞き返していた。
「ギルドに登録せずにモンスターを討伐しても職業レベルは上がりません」
「俺ってかなり強いはずなんですが?」
「総戦闘値 24億と申請されていらっしゃるようですが、
そんな化け物みたいな人いるわけないじゃないですか?」
また、受付嬢に小馬鹿にされたように扱われた。
ラグスブルグとビギニングヴィレッジの受付嬢だけだと信じたい。
たしかに ウルティメットドラゴンが1億、伝説の竜王で3億程度なのだ、
人間で総戦闘値24億とか書いていたら、頭がかわいそうな人なんだろう。
英島さんはランク25です。
おさらぎは当然、冒険者ランク1だ。
冒険者ランクとは職業レベルのことであり、これが上がらないと
上位職に就けない。これはモンスターを倒して経験値を得ることでは上がらず
冒険者ギルドの仕事をコツコツこなすことで上がるらしい。
おれは冒険者ギルドの掲示板を見ながら仕事を探していた。
①魔法が封印されたため生活ができません。
②山賊を討伐してください。
③呪いの剣を封印してください。
④マグロを冷凍して運搬してください。
なんか呪いの剣ってモンスターっぽいな、俺は剣とか習ってないし
テイムした剣が強かったら、強くなれるのではないだろうか?
「あのう、すみません。呪いの剣の封印を受けたいのですが?」
「残念ですがこのクエストは冒険者ランク50以上の方しか受けられません」
ギルドの受付嬢が冷笑気味に断ってきた。
「そうですかすみません。ランク1で受けられる仕事はありますか」
気を取り直して別のクエストを受けることにした。
「ゴブリンなどの討伐クエストがいいと思いますが?」
「何匹くらい倒したらランク50になりますか?」
「そうですね、百万匹くらい倒せばなるんじゃあないですか?
総戦闘値24億なのでしょう?クスクス」
「ところで、マグロの運搬って50ポイントもらえるのですか?」
俺はこの受付嬢をぶん殴りたかったが冷静になってマグロのことを聞いてみた。
「ええ、これはランクに関係なく受けられますよ。荷馬車の代金がかかりますから
あまり利益はないと思いますが」
「ここに書かれている、小さい種と大きい種ってなんですか?」
「マグロは大きすぎて運べないので小さい種で小さくします。
まあ、重さは変化しないのですけどね」
「運び終わったら、大きい種で元に戻します。それだけです」
「では種を使用しなかったら、その種はもらってよいのでしょうか?」
無視された・・・ 無視された・・・
小さい種はペットを小さくするために使う。
ドラキチは移動用で大きくてもいいのだが、最大戦力である
古代種の極竜を普段呼び出せないのは困る。
俺はまずこれを受けることにした。
新しい極竜あたりに大量に使ってスライムサイズにしてみよう。
俺は受付嬢にこの依頼を受けたいと伝えた。
「単なる運搬作業で、最低ランクの人でも大丈夫ですよ」
「1回で1匹運ぶことになります、マグロは大きいので大変ですよ」
「マルセポートからビギニングブルグまで直線距離で300キロメートルです」
「良い馬と馬車を探してください。報酬は1回で金貨2枚になります」
受付嬢はどうでもいいと言わんばかりに、実に事務的に言葉を紡ぐ。
「このクエストは繰り返し受けられるものなのですよね?」
「ええそうですよ」
「1回に10匹運んでも問題ないのですか?」
「別に構いませんよ。戦闘力24億ならマグロ10匹くらい
担げるでしょうから」
次のランクまで5000ポイント。
2000匹分くらいしてやろうと思う。
俺たち4人は南にあるマルセポートに到着すると、
漁業組合に掛け合いに行った。
「1回で2000匹運ぶから小さい種と大きい種を2000個くれ
報酬の金貨は不要だ」
漁業組合のひとは馬鹿を見る目で睨みつけてきた。
「本気で言ってるのか?マグロはスタックできないアイテムだから
ストレージには入らないぞ?」
「馬車はどうしたんだ。こっちは真面目に仕事をしているんだ
頭のおかしなことを言うのはやめてくれ」
議論しても無意味なので、俺はドラキチたち4匹を見せることにした。
「こいつらがいる」
そう言ってドラキチたち4匹を紹介した。
「うわぁぁぁ!なんだこりゃあ」
「とんでもないドラゴンじゃないか!」
みなとのあちこちから人が出てきて一様に腰を抜かしていた。
「今日中に運んで見せる。500匹づつ積み込んでくれ。」
「わかった。今日中に届けるなら、大きい種と小さい種5000個払おう。
それにしても、このドラゴン、クジラの10倍は大きいぞ」
「契約成立だな。」
4匹のドラゴンは2000匹のマグロを背中の籠に積むと、
ビギニングブルグに向かった。
マグロ2000匹を荷下ろしするのに時間がかかったが
1時間ほどで済んだ。
「受取証だ。ごくろうさん。それにしてもすごいドラゴンだな。」
無事受取証をもらった俺たちはマルセポートに帰ってきた。
「ぉお、早いな。1時間ほどじゃないか。」
時速1000キロで空を飛んできたというと唖然としていた。
俺たちは無事に小さい種3000個を手に入れた。
冒険者ギルドに1回50ポイントのマグロ2000匹往復のポイントを
もらいに行った。合計10万ポイント、5000でE 15000でD
35000でC 75000でB 155000でA らしい。
俺たちのパーティーは無事 冒険ランク100になった。ちなみにBクラスだ。
「はあぁぁ!」
失礼だった受付嬢は現実が理解できずに固まっていた。
投稿用に真面目に書いた初めての作品です。
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