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夏:アベリア (ハナツクバネウツギ)
子どもの頃、住んでいた街によく植わっていた街路樹。
あまり好きではなかったが、とにかくあちこちで見かけた気がする。
阪神大震災の後には、道を拡げるためにだろう、取り払われてしまったのだが。
しかし記憶の中であの街を訪れるときには、いつもこの花の咲く道を歩いている。
新聞屋の隣にガソリンスタンド、道を挟んで芋畑と田んぼ。その前が子どもの頃住んでいた家。
そこから友達の家に行く途中はネギ畑。
向こうに神社の参道。
四つ角を渡って小川のそばに幼稚園、その前をスーパーのほうへ向かえば、小さくてボロいが美味いラーメン屋と、サンリオショップ。
スーパーの近く、煉瓦造りの小さなビルの1階が八百屋で、2階は昔ながらのゲームテーブルの並ぶ喫茶店。
そこここに、あの白い小さな花は、当たり前のように咲いていた。
みんな、どこに行ったのだろう。




