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秋:つわぶき/その名を知らず
放っておくと夏に葉が大きく繁り、鬱陶しいことこの上ない。
この隣にタイムを植えてしまったので、日陰を作る葉を容赦なく刈った。
にもかかわらず、いつの間にかこうして葉を生やし、茎を伸ばして花をつける。
同じく、これも。
放っておくと花壇一面に広がってしまうので、とにかく抜く。
鬱陶しい雑草扱い…… と、牧野博士あたりが聞いたら 「雑草なんて名の植物はありません!」 と怒られるだろうが、私にとっては 「その名を知らず」 調べる気にもなれない、厄介なヤツである。
だが、花の時期には抜く気が出なくなってしまう。
花とはまことに、植物が生き残るための戦略だと、可憐なように見えて実は図太い彼女らを眺めつつ、しみじみ思う。