春:紫の花
春は紫の花が多いが、春はじめと半ばでは、少し色相が違うように思う。
赤みの強い紫から、青みの強い紫へと…… そういう変化である。
ツルキキョウ。
懐かしい花だ。
子どもの頃、住んでいた家に、カーテンのように咲いていた。
大量に咲く花を、手当たり次第摘んでは……
蜜をチュウチュウしていた思い出!
食欲旺盛な子だったので、家のごはんだけでは足りずに、道端の木の実 (グミとか桜の黒い実とか、ツチンボとか) やら、スイグサ (カタバミの仲間) やらを手当たり次第に食べ、吸える花の蜜は全部吸っていた。
意外と美味いのが、ヤツデの花蜜。地味な細かい花を直接、ペロペロと舐める。
花の欠片が若干、口に入ってしまうのだが、甘味が強くてお気に入りだった。
ちなみに、実が食用になるか否かはカンである。
実をじっと眺め、食べられそうな予感がするヤツは、取りあえず口に入れてみる ⇒ 不味かったら、吐き出してうがい。
こうして、食べられる木の実知識を開拓していった私だが…… 大人になると周囲の目が気になって、なかなかできないのが残念なところだ。
閑話休題。
我が家の庭、前の住人が植えてくれたらしいムスカリ。
ムスク(麝香) から名付けられた名前だそうで、確かに鼻を近づけると上品でふくよかな香りがする。
ヨーロッパの方では食用ムスカリというものがあって、球根を食べるらしい。
ということは、これも……




