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5限目 春と修羅場①

 自分の後ろにある階段の昇降口の屋根から銃声が聞こえた。作戦上このマンションの上で待機する人は誰もいないはずだが、1人大きな男が立っていた。キャラデザはもう見た目まんまゴルゴ13だった。

はっと先程の電波塔のところに目を移した。篠宮たちは無事のようだった。だがピンチに変わりはなく自分も戦場に行こうとした矢先、杞憂に終わる。それと同時に今回の主犯格でもあり、英雄が現れた。

「おやおや、分が悪いですね。」

ユーザー名が愛染と書かれたプレイヤーと5人の取り巻きが闊歩して参上した。

敵のリーダーらしき人物が口を開いた

「ふん、そうそうたるメンバーを率いて言うセリフではないですよ」

敵のリーダーの言う通り、こちらからでも見えるあの出立ち。右奥から次期エースと目されてる弓道部に風紀委員副委員長、そして今シーズンCoDの世界ランカーになった異色の天才演劇部もいたが、彼の左側いた2人がさらに信じられない光景であった。剣道部主将と図書委員長がおり、この学園では知らない人はいないほどの実力者達を連れて対峙しているのだ。

「地の利と状況がよろしくないな。」

そう言って敵のリーダーは愛染ではなく学校側に向けて煙幕を張った。敵はゴルゴの存在に気づき、狙われないよう煙幕を使ったのだ。

「これより撤退する。任務は果たした。」

そう言って敵はトンネル掘削機を使って塞がれた穴をまた開け撤退しようとしていた。その状況をみすみす見逃す必要はないと誰もが思っていたのであろう。愛染はゴルゴにすぐ指示を飛ばした。

「今すぐトンネル掘削機を破壊しろ。」

「煙幕が張られてるため目標が補足できません。」

「適当でいい、とにかく撃て。味方に当たっても構わん。」

そう言われたゴルゴは徹甲榴弾を装填し、ところ構わずぶっ放した。着弾したと同時に爆風によって煙幕が取り除かれたが、既に敵は見失っていた。

「あれだけ撃って一発も当たらんとは使えんな。しかも倒したのが雑魚の方だし、普通敵のリーダーから……もういいこっちに来い。」

無線で聞こえたため息混じりの冷たい声はさっきまでの安堵感をかき消すぐらい、居た堪れない感情になった。

「申し訳ございません。愛染さん。」

 間もなくして僕のところに連絡が一本、篠宮からだった。

「そっちから見た戦況を説明してくれるかしら♪」

「いや、その前に君たちの方は大丈夫か?」

「応急処置してなんとか全員無事だよ。ほんとさっきの相手がやられなかったら、こっちがやられていた。」

「ああ、さっきゴルゴが撃ったおかげでだな。」

そう言って階段の屋根の上に目を移すと彼はもう消えていた。

「ゴルゴって誰なの?」

「いや、さっき自分の側にいた奴がいたんだけど消えた……いや、その前に愛染はいるのか。」

「取りこぼした残党がうちらの主力部隊の背後を狙ってるみたいだから多分あの人たちもそっちに行ってると思うわ♪」

「了解。自分もそっちに合流して、主力部隊に行こう。」

「ちょっと待って、マンション屋上に行くから待その場で待機してて♪」

そう言うと彼女はこちらに来て、鴻巣山を眺めた。

「かなり距離がある。この距離から一発でヘッドショットはかなり腕があるわね♪」

今の発言を受けて、はっと思い出す。

「おそらくだけど、彼もうちの七不思議の1人狩人(ハンター)かもしれない。」

「何その人?」

「正確無比で必ず相手を一発で仕留める実力者で、なにより狩人(ハンター)が気づかないうちに一発で仕留めるから誰も顔を見たことがないって伝説だよ。」

「なるほど、その射撃の腕ぜひうちの班に迎えたいわ♪」

この人の節操の無さに毎回驚く。

「うーん、それは難しいと思うけどよ。」

「なんでよ!」

「敵が現れてからすぐに敵を撃てる状況にあるということと無線でのやりとりの中に“愛染”って言葉が聞こえたから十中八九愛染の仲間だろう。」

「えっ? 何か問題があるのかしら♪次の席替えの時にこちらの班に来れば問題ないでしょ♪AIのダミーシステムで勝手に班から抜けてもバレないし、不義理だなんて言う人もこのご時世いないわ♪」

全く能天気な人である。

「いや、愛染のところと比べてこっちに来るメリットが1ミリもないでしょ。向こうはおそらく達人クラスのAクラスに対してこっちはZクラスだからポイント報酬も全然違うよ。」

「ふふん今はそうかもしれないけど、いずれ天下統一を成すこの班に狩人(ハンター)様なら鷹の目のような眼光で先見の明も持ち合わせてるわよ♪絶対にこの班に来るわ♪」

彼女は鼻息を荒らしながら講釈を垂らしていた。ほんとやれやれと思う。

「さて、じゃあ狩人(ハンター)をヘッドハンティングしますかね。」

「今から愛染のところまで行って狩人(ハンター)を聞くしかないわね♪」

「いやわざわざそんなことしなくても、まだこの近くに潜んでるんじゃないか。愛染がそのまま鴻巣山の登頂部にいる主力部隊と合流していたら、高い位置から射線が通る場所で身を潜めてる可能性が高いと思う。」

「登頂部より高い場所なんて、この辺りないわよ!」

「うちの領地の中で一番高い場所は自ずと限られてくると思うけど?」

篠宮ははっと思い出す。

「行こう展望台へ。」




2人は展望台に到着したが、2人はとある問題に直面していた。展望台には風紀委員ががっつり警備しており厳重に守っていた。また味方であっても中には入れず、風紀委員もしくは一部の上位役職の方のみが出入りできるためヤン達は入れずにいた。

「うーん、帰ろうか。」

「諦めるの早すぎでしょ!」

「でもどうやって侵入するの?」

「ふふん、私の真の実力を出す必要があるわね。」

「勿体ぶらないでいいから早くしてくれ。」

「まったくつまらない男ね。じゃじゃーん、透明マントー」

そういって取り出した透明マントは足がついた寝袋みたいな物だった。

「えっ、これ本当に透明マントなの?」

「そうよ、特に驚くこともないでしょ。カナダで軍用の兵器としてもうすでに実用化されてる訳だから♪」

「いや、思ってた透明マントと違ってたから……」

「あら、いらないなら丸腰で行きなさい♪」

「貸してくださいませ、篠宮様」

ヤンは土下座して懇願した。

そして透明マントを身につけチャックを閉めた途端周りの景色と同化して、実質透明化していた。

「屈折の法則を応用したものよ♪さあ行きましょう♪」

本人は気づいてないのかな。その圧倒的な科学力で七不思議の一角を担ってるのだから。さすが魔法使い(ウィザード)様だな……

「あ、ちなみに透明マントの寿命は10分だから急ぐわよ♪」

おい、さっき感心を返してくれ。

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