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日常での甘い誘惑

一五〇〇文字~三〇〇〇文字を目標に執筆いたします。

「どうしたの? トモ兄?」


 若葉が心配そうな顔で僕の顔を覗き込む。僕はぼーっとしていたのか、すぐ隣に若葉がきていたのに気がつかなかった。


「あーいや、すこしぼーっとしてたみたい。ごめんね」


 僕は謝罪をすると、美味しい美味しいと言いながらご飯を食べ始めた。

 食べ終わって少ししたころに若葉が尋ねてくる。


「トモ兄もしかして……ユイ姉のこと思い出してる?」


 少し声にいつもの明るい感じがないが、心配してくれているのだろうか。ここからだとお皿を洗ってくれている若葉の表情はわからない。

 僕は心配をかけまいと、つとめて明るい声でかえす。


「少し夏バテで、ぼーっとしちゃってたみたいだから大丈夫! 心配かけてごめんね」


 そう言うと若葉は「そっか」と言って皿洗いを開始した。

 ……? 少し機嫌がよくなったのだろうか……わからない。


 皿洗いを終えた若葉は、トモ兄と言いながらくっついてくる。若葉は以前から甘えることが多かったが、最近ではスキンシップが過剰ではないか? と思えてくる。


「大丈夫だよトモ兄。わたしはずーっと、一緒にいるからね」


 その言葉はなぜだかわからないけど、僕にとってとても心地のよいものだと思った。若葉のひんやりとした肌は熱くなっていた僕の身体を冷ましてくれるのにちょうどよかった。このまま若葉に甘えたら依存してしまうのでないかと思ったが、それもいいなと思う僕もどこかにいた。


 ――携帯の着信音がなる。


 僕はその音ではっとした。一体何を考えていたのだろうか。

 携帯を取るために若葉を身体からそっと離して、テーブルの上の携帯に手を伸ばした。若葉は少し残念そうにしていた。


「シンくんからメールみたい。どうしたんだろう?」


 そう言って携帯から若葉へ視線を移すと若葉は顔をうつむかせて何か呟いていた気がしたが、顔を上げるとにっこりと笑っていた。


「この後、三人で遊びに行こうってお誘いでしょ?」

「よくわかったね」

「何年一緒にいると思ってるの? シン兄のこともお見通しなんだから!」


 若葉はわかってますよとドヤ顔だ。ドヤ顔がしゃくだが可愛いから許す。


「駅前に集合しようだって。僕、用意してくるね」


 シンくんは僕が家にずっと閉じこもらないようによく遊びに誘ってくれる。きっと僕のことを心配しているのだろう。本当に二人には助けてもらってばかりだ。


 支度を終え外にでると、まだ夏真っ只中もありじりじりと暑い。


「いやーやっぱり外は暑いね」

「そうかな? トモ兄大袈裟じゃない?」


 僕が暑い暑い言っている中、若葉は涼しい顔をしていた。元々、暑さに強い体質なのだろうか?


 駅前に着くとシンくんは、彫刻の前で待っていた。


「お待たせシンくん。暑い中ごめんね」

「やっほーシン兄ー!!」


 若葉はシンくんへロケットダイブを決める。そして頭を鷲掴みにされている。あのアイアンクローは非常に痛そうだ。若葉もりないね……

 そんないつもの光景だったはずなのになぜか僕の心は少しもやもやしていた。どうしたんだろうか。


「おうトモ! 全然待ってないから大丈夫だぜ」


 さらっとイケメンなこと言うよなー。やっぱりこれがモテる要因の一つなのだろうか。


「トモ汗すごいけど大丈夫か? 体調悪い?」

「いや……これだけ暑かったら汗もかくって」

「そうか? そうでもないと思うけどな」


 シンくんは何か考えるようにこちらを見ていた。

 アイアンクローから解放された若葉は頭を抑えながら、うんうんとうなっている。


「トモ兄朝からずっと暑い暑い言ってたからねー。ちょっと大袈裟だなーって思う」

「そうなんか。まあトモは昔から大袈裟なところがあったからな」


 え? こっちが悪いの? 思わぬかたちで責められてしまった。

 それにしても二人とも本当に汗全くかいてないな。若葉は神さまパワーでシンくんはイケメンパワーでも放出しているんかね。解せぬ。


「それよりシンくん。どこに行くの?」


 シンくんはニヤリと笑い遊園地。と言った。


少し明るめの話題になってきましたかね。

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