Power Song25
君のために僕は詠う。
Power Song25
智日は空港の国際線第2ターミナル出発フロアのチェックインカウンターの前に立ち並ぶ人々をかき分け、フロアの案内所の横にあるカフェへと駆け込んだ。そのカフェの店内の奥に並んだスツールに玲奈は座っていた。白のシャツにベージュのパンツスーツ姿の玲奈は店内に駆け込んで来た智日に気付き、驚いたようにグリーンのアイシャドウをひいた目をパチパチと動かした。智日は肩で息をしながら、玲奈の元へゆっくりと向かった。
「―――驚いた…電話切ってからまだ15分も経ってないんじゃない?」
玲奈はそう言って、額に汗を滲ませながら立っている智日を見て苦笑した。
「…なんで…」
「え?」
智日は首を傾げたまま微笑む玲奈の顔を見つめた。
「なんで…行っちゃうの?…」
智日の言葉に、玲奈は思わず吹き出した。
「さっき電話で話したじゃない。…もう、子供みたいな事言うのね…智ちゃんは…」玲奈はそう言ってスツールから腰を上げた。「何か買ってくるわよ。何がいい?」
智日はぎゅっと口を閉じたまま、テーブルの一点を見つめていた。玲奈は苦笑しながら「私と同じのでいいわね…」と言って注文カウンターへと行こうとしたが、智日はそんな玲奈の腕を掴んだ。
「…いらない…」
呟くように言った智日の横顔を見つめながら、玲奈は小さく頷いた。
「分かった。分かったから、とにかく座ってよ。智ちゃん?」
玲奈に促され、智日はようやくスツールに腰を下ろした。玲奈も智日の前に座り、財布をバックにしまった。
智日は顔を歪めたまま、目の前の玲奈の顔を見つめた。玲奈は困ったように苦笑した。
「もう…どうしてそんな顔するの?智ちゃん…私の新しい人生の旅立ちを祝福してくれないの?」
「…だって…こんな…急すぎるじゃんか…」
「仕方無いじゃない。急に決まったんだから…」
「だからって電話一本でサヨナラなんて酷くない?」
智日の言葉に、玲奈はクスクスと笑い出した。「智ちゃんだって同じ事してきたんじゃない?」
玲奈の言葉に、智日はぐっと言葉を詰まらせた。玲奈は笑いながら、アイスコーヒーを一口飲んだ。
「…私だって智ちゃんと離れちゃうのは寂しいわよ?でもね、今がいいタイミングかなぁって思ったの…でも直接顔見てお別れするのはさすがに悲しかったから電話で済ませようと思ったのよ。それなのに…智ちゃんあっという間に来ちゃうんだもの!…」
「…だって…いきなり電話で…これからフランス行くからサヨナラねって言われても…俺、何がなんだか分かんないじゃんか…」
「…うん…確かに説明不足だったわね。ごめんね…」
智日は怪訝な表情で、笑顔の玲奈を見た。
「…本当に旦那と別れるの?」
「えぇ、本当よ。で、フランスで暮らしてるお友達からお店手伝ってくれないかって誘われたからフランスに行くの。…前々からそのお友達から誘われてたのよ。ちょうどいい時期だと思って行く事にしたの」
「…そのお友達って…女?」
智日のもぞもぞとした口調に、玲奈は込み上げる笑いを堪えた。「男よ」
玲奈のさっぱりとした物言いに、智日はショックを受けながら「そいつと再婚でもすんの?」と、言った。
玲奈は楽しそうに笑い声を上げた。「再婚なんてしないわよ。大体女性は離婚してすぐには再婚出来ないのよ?それに、彼の奥さんと私は学生時代からの大親友なのよ。…本当に最近の智ちゃんって面白い…」
クスクスと笑い出した玲奈を見ながら、智日は口を尖らせた。
「ごめん、ごめん!そんなに怒らないでよ、智ちゃん…」
「玲奈さん…もしかして俺と別れて嬉しいワケ?」
「そんな事ないわよ!すっごく寂しいわよ!…」玲奈はそう言って、店内を見渡した。ノートパソコンを打ちながらコーヒーを飲むスーツ姿の男性や、これから海外へ旅立つ事に興奮気味の若い女性達の姿を見つめながら、玲奈は小さく息を吐いた。
「智ちゃん、憶えてる?初めて私達が出会った時の事…」
玲奈はそう言って、テーブルの上に頬杖をついた。智日は黙ったままそんな玲奈を見つめた。
「すごい雨の日で、私は駅の表広場のタクシー乗り場でタクシーを待っていたら君がいたのよね。雨の中―――ずぶ濡れで―――顔は痣だらけで―――でも君の瞳があんまりキレイだったか、私思わず君の手を引いて一緒にタクシーに乗り込んでマンションまで連れて帰っちゃったのよね…今思えばこれって誘拐よね?…だって智ちゃん、まだ15歳だったんだから…」
玲奈はゆっくりと智日の顔を見つめた。
「それが、今はこんなにイイ男になっちゃって…」
「…行かないでよ…」智日は玲奈の言葉を遮るように呟いた。「旦那と別れたんなら…」
智日の言葉に、玲奈は首を傾げた。「主人と別れたから…だからずっと一緒にいれるの?智ちゃん…智ちゃんはそれでも平気?」
「え?」
智日は思わず顔を歪めた。
「寂しいからって…愛の無い女と一緒にいてまだ平気なの?」
店内の空気が一瞬止まってしまったように、智日は感じた。「まだ平気?」と言う玲奈の言葉が智日の胸に突き刺さったまま、智日は穏やかに微笑む玲奈を見つめた。玲奈は小さく息を吐き、残りのコーヒーを飲み干した。コップには溶けかかった氷が残っていた。玲奈はその氷をストローで突きながら喋り続けた。
「智ちゃん、前に私に『愛って何?』って聞いた事あったよね?私…その時はちゃんと答えられなかったけど…今なら、今の智ちゃん見てたらなんとなく分かったような気がするのよ…」
「…え?俺?」
「そう…今の智ちゃん、愛に溺れてる顔してるもの」
そう言って玲奈はクスクスと笑い出した。智日はポカンと口を開けたまま言葉を失った。
「その人のために笑って、泣いて、怒って、悲しんで…その人のためならどんな事でも出来る…お互いがそう想い合える事が“愛”なのかな?って…そう思わない?…まぁ、智ちゃんは玉砕したみたいだけど…」
「…な…」智日は頬を赤めながら言葉を詰まらせた。
玲奈はクスクスと笑いながら傍らに置いていたバックを肩に掛けた。「さてと…」そういって腰を上げた。智日は慌てて玲奈の手を掴んだ。
「待って!…俺…玲奈さんの事本当に…本当に好きだったんだよ?…だから行かないでよ…玲奈さん…」
智日の言葉に、玲奈は微笑んだ。
「ありがとう、智ちゃん。私も智ちゃんの事好きよ」
「だったら!…」
「だから、もうお互いの傷口を舐め合うのはやめましょう。…もう私達は大人なんだから…この辺でリセットしましょう」
玲奈はそう言って、智日の肩に手を置いた。
「これから先、本気でお互いがお互いを必要とした時に、その時にまた逢いましょう。ね?智ちゃん…」
智日は込み上げる寂しさを堪えながら、玲奈の瞳を見つめた。玲奈の瞳を彩るグリーンのアイシャドウがキラキラと光った。
「……すぐ…そっちに行くから…」
智日はうな垂れたまま、呟いた。玲奈は微笑みながら、智日の頬にキスをした。
「またね、智ちゃん…」
玲奈はパンプスのヒールの音を響かせながら、颯爽と店内を出てセキュリティチェックゲートへと歩いて行った。
玲奈が行ってしまった後も、智日はしばらくの間ぼぅっと店内を眺めた。智日の周りには、玲奈の甘い香水の香りが微かに残っていた。智日はその甘い香りを吸い込みながら長い脚を伸ばし、テーブルの上で頬杖をついた。そしてジーンズのポケットから銀色の懐中時計を引っ張り出した。キラキラと光る細かい細工が施された懐中時計の正確に時を刻んでいる針を、智日はしばらくの間眺めた。
≪…その人のためならどんな事でも出来る…か…≫
智日は小さく息を吐きながら、苦笑した。
「―――7度8分かぁ…まだ熱あるわね。今日は念のため入院してもらうわよ、アキちゃん…」
「…はい…本当にスイマセ…」
「もう!また謝った!」清子はアキの言葉を遮った。「私は医者なんだからイチイチ謝らなくていいのよ!仕事なんだから…」
清子はそう言いながら、病院の個室のベッドに横たわるアキのそばで肩を落としているケイの背中をポンっと叩いた。ケイはのろのろと蒼白の顔を清子に向けた。
「…君が病人みたいな顔してどうするのよ…」
ケイの不安で一杯といった表情に、清子は思わず苦笑した。
「ケイ君…そんなに心配しないで…」
アキも苦笑しながら言った。ケイはそんなアキの手を握ったまま小さく頷いた。清子は≪やれやれ…≫と息を吐きながら点滴液の残量を確認し、速度を調節した。
「疲れが出たのよ、アキちゃん…来週にはフランスに発つんでしょ?それまでには体調戻さないとね!」
清子の言葉に、アキは微笑んだ。
「…アキ…フランス行くのやめといた方がよくない?」
「えぇ!?そんなワケにはいかないよ…」
2人の会話を聞きながら、清子はそっと病室を後にした。しかし病室から出てすぐにケイに呼び止められた。真剣な面持ちで駆け寄って来るケイに、清子は首を傾げた。
「どうしたの?ケイ君…」
「清子さん、アキの血液検査の結果いつ分かるの?」
「え?…そうね…明日には分かるけど…どうして?」
清子の問いかけに、ケイはうつむいたまま答えなかった。清子は眉をひそめ、うつむいたままのケイの顔を覗き込んだ。
「そんなに心配しなくても大丈夫よ。今までの疲れが一気に出たのよ。遅れてた生理も急に始まったそうだから、貧血気味になってたんじゃないかしら?」
「…うん…」
病院の廊下で立ち話しているケイと清子の横を数人の看護師が会釈しながら通り過ぎて行った。看護師のほとんどがケイの蒼白の顔を横目でチラッと見ては、心配げな表情を浮かべていた。
≪…今頃ナースステーションで空閑先生が美男子苛めてるって騒いでるだろうな…≫
清子はそんな事を考えながら、ため息を吐いた。
「…その凛って人にも国際電話で聞いてみたんでしょ?大丈夫だって言ってたんでしょ?薬草煎じて飲ませなさいって…」
「そんな簡単に言うなよ!」
ケイの怒声に清子はムッとした。
「私は真剣よ!」清子はそう言い返し、ケイを見据えた。「君が生死の境を彷徨っている間もアキちゃんは気丈だったわよ!君のために一生懸命だったわよ!今の君みたいに誰かに当たったりはしなかったわよ!…」
見る見る表情を強張らせていくケイに、清子は慌てて口を閉じた。
≪…やだ…私、本気で苛めてるじゃない…(有治君にまた怒られる…)≫
「…ごめん…ケイ君…ちょっと言い過ぎたわね…」
清子の言葉に、ケイは静かに首を振った。「いいんだ…本当の事だし…」
「…とにかく、明日検査の結果出たらすぐ知らせるから…君は早くアキちゃんの着替え持ってきてあげなさいよ。それからその薬草茶も…煎じ方知ってるでしょ?」
「…うん…」ケイは小さく頷いた。「ごめん…清子さん…」
ケイの呟くような言葉に、清子は苦笑した。
「本当にアキちゃんは大丈夫だから!たまには医者の言う事信じてよね!」
「分かった…」
ケイは苦笑しながら頷いた。
「病院は面会時間夜の8時までだから急いでね」
「うん!分かった!8時までだね!」
ケイはそう言ってアキのいる病室へと入ろうとした。そんなケイの姿に、清子はハッとした。
「ケイ君、ケイ君の寝るベッドは準備出来ないからね?」
清子の言葉に、ケイは真顔で頷いた。「うん、大丈夫」ケイはそう言って病室へと入って行った。
清子は思わず、顔を引きつらせた。
「…何が大丈夫なのよ…」
「…まさかとは思うけど…」いそいそとボストンバックから着替えを取り出しているケイを見つめながら、アキは恐る恐る尋ねた。「ケイ君…病院に泊まるつもりなの?」
ケイはキョトンとした表情のまま、首を傾げた。
「うん。なんで?」
「うんって…ケイ君…」アキはがっくりと肩を落とした。「明日仕事はどうするの?…お風呂は?…ご飯は?」
「風呂なら入ってきたよ。会社は朝一旦帰ってから行くよ。ご飯は…」
ケイはそう言いながらバックの後ろにあったコンビニの袋の中身をアキに見せた。袋の中身は幕の内弁当とペット茶と野菜ジュースと菓子パンが2袋入っていた。
「…私が作った夕飯は?」
「だって食べてくる時間無かったんだよ。兄さんが後片付けまでちゃんとやっとくって言ってたから大丈夫だよ。清子さんも行ってるはずだし…」
「…ケイ君…どこで寝るつもりなの?…」
「うん?…」ケイはキョロキョロと病室を見渡した。そして病室の窓際にある長椅子を指差した。「あそこで寝ようかな…」
「…ケイ君駄目だよ…あんな硬そうな椅子…布団も無いんだよ?…私は大丈夫だから…ね?家に帰って…」
「嫌だ」アキの必死の言葉を、ケイはあっさりと拒否した。「じゃぁ、アキの隣で寝る」そう言ってもそもそとベッドの布団の中に入ろうとしたケイの頭を、アキはペシペシと叩いた。
「イタタ…冗談だよ…」ケイは口を尖らせながら言った。「眠くなったら適当に寝るから気にしなくていいよ」
ケイはそう言いながらベッドの横の丸椅子に腰を下ろし、バックから水筒を取り出した。一度言い出したら聞かないと分かっていたので、アキはケイを説得するのを諦め、ケイの動作を見つめた。
「これ、凛からもらった薬草を煎じたお茶だよ。ちょっと飲みにくいけど…頑張って飲んで」
ケイはコップに湯気立つ薬草茶を注ぎ、アキに手渡した。室内が一気に薬草臭くなり、アキは思わず眉間にしわを寄せた。
「さ、早く…」ケイに急かされ、アキは顔を歪めながら薬草茶を飲み干した。ケイはそんなアキを笑顔で見つめながら、コンビニの袋から幕の内弁当とペット茶を取り出した。アキは弁当を食べ始めたケイの顔を見つめた。
「…美味しい?」
「う〜ん…」アキの言葉に、ケイは眉間にしわを寄せた。「普通。…アキの弁当の方が断然美味しい…」
ケイの言葉に、アキは微笑んだ。
「今日、天ぷらだったのに…天つゆも作ったのに…」
アキの言葉にケイは箸を止め、アキの顔を見た。
「…天ぷらは惜しかったけど…アキと離れたくなかったんだ…」ケイの言葉にアキは頬が熱くなるのを感じ、言葉を詰まらせた。「今頃、兄さんと清子さんで完食してるだろうなぁ…また作ってね、アキ…」
ケイは弁当を食べ終え、ペット茶をグビグビと飲み、コンビニの袋に空のトレーを入れた。
「もう横になった方がいいよ、アキ…」
「う、うん…」
アキはもそもそと布団に潜り込んだ。ケイはベッドの上で頬杖をつき、もう片方の手でアキの髪を撫でた。
「…明日、仕事終わったら迎えに来るから…それまで病院でゆっくり待ってて…」
アキは病室のライトに照らされたケイの端整な顔立ちに見惚れながら、小さく頷いた。ケイは嬉しそうに微笑み、アキの紅潮した頬に手を当てた。
夜の静寂が2人を包み込んだ。その静かな空気に、アキは心地良さを感じた。ケイの手の温もりがじんわりとアキの心を包んだ。
「……アキにお願いがあるんだ…」
ケイの囁くような言葉に、眠りに落ちそうになっていたアキは慌てて目を開けた。
「…ん?何?」
「…うん…」
ケイは恥ずかしそうにしながら、視線を下に向けた。アキは不思議そうにケイの顔を見つめた。
「これから先…ずっと…僕のそばにいて…」ケイはそう言ってアキの手を握った。「お互い歳とって死んで、また生まれ変わっても僕のそばにいてほしいんだ」
ケイの言葉に、アキの鼓動が早くなった。
「…生まれ変わっても?」
「うん…生まれ変わっても…僕、必ずアキの事探し出すから…だから、また僕のお嫁さんになってよ…」
ケイはそう言ってアキの手を両手で包み込み、祈るように目を閉じた。ケイの心臓がドクドクと強く打ち始めた。―――ケイは祈っていた。必死に祈っていた。
―――お願いだから…「うん」って言ってよ…アキ…
目を閉じたまま微かに瞼を震わせているケイの顔を見つめながら、アキは込み上げる感情を必死に抑えた。アキはゆっくりと身体を起こし、ケイと向かい合った。ケイはアキの揺れる瞳を見つめながらアキの返事を待った。
「…生まれ変わったら…今より…もっと地味な女かもしれないよ?…歳も今よりうんっと離れてるかもしれない…それでもいいの?」
アキの言葉にケイは顔を歪めた。「…そう言うと思った…」ケイはそう言ってため息を吐いた。「前から言おうと思ってたんだけど、アキは自分の事卑下し過ぎだよ。アキは全然地味じゃないよ、可愛いよ…」
ケイの真剣な表情に、アキは思わず苦笑した。
「前にもこんな風にプロポーズ断られて、4年ぐらい待ったんだよね…」
ケイは力無く言って、布団に顔を埋めた。
「そんなに待たせてないじゃない…それに断ったんじゃないよ…ケイ君…」アキは困惑してしまい、がっくりと肩を落としたまま布団に顔を埋めてしまったケイを見つめた。「…私、ケイ君の重荷になるのが嫌なのよ…」
「違う。アキはもう僕と関わるのが嫌なんだ…」
「そんな…そんな事思ってないよ、ケイ君…」
アキはだんだん悲しくなり、声を震わせた。ケイも悲しそうな表情でおずおずと顔を上げた。
「もう僕のそばにいるの…辛い?」
ケイの言葉に、アキはゆっくりと首を横に振った。
「僕がいなくなったら生きていけないって…あの時の言葉は…嘘じゃないんだよね?」
ケイは縋るような表情で、アキの顔を見つめた。小さく頷いたアキの瞳から涙が零れ落ちた。ケイは慌てて立ち上がり、アキの頬に手を当てた。
「ご…ごめん…アキ…」オロオロと瞳を揺らしながら、ケイはアキの頬をゆっくりつたう涙に触れた。「…なんか…僕、アキの事泣かせてばっかりだな…」ケイは呟くように言って、ベッドに腰を下ろし、アキの身体を抱き寄せた。
「…ケイ君は…いつも私の気持ちなんか…考えてくれないんだから…」
アキの言葉に、ケイはショックを受けながら呟いた。「…ごめん…」
ケイはアキの背中を優しく撫でながら、自分自身の不甲斐なさに嫌気がさし、大きくため息を吐いた。
「……約束よ…」
「え?」
「…今よりもっと醜くて歳も離れてても…すごく離れた場所で暮らしてても…必ず私の事、探し出してね…絶対よ、ケイ君…」
アキはそう呟き、ケイの身体にしがみ付くように抱きついた。
ケイは喜びに心を振るわせながら、アキの身体をさらに強く抱きしめた。
「うん!絶対探し出すから!」
ケイはそう言ってアキのまだ熱っぽい額に唇を当てた。そして、心の底からホッと安堵した。
翌朝、ケイは病院から一旦屋敷へ戻り、服を着替えてから研究所へ車で出勤した。キッチリ定時で上がるために、黙々と仕事をこなした。そんなケイの携帯が鳴った。相手は清子からだった。
[ ―――熱も下がったし、検査結果も何も問題ないわよ、ケイ君。安心した?]
「うん。ありがとう…清子さん…」
嬉しそうに笑いながら携帯で話しているケイの姿に、研究員達は驚きを隠し切れなかった。ただ、重水だけは電話の内容がアキに関する事だと確信し、微笑みながらケイの姿を見ていた。
「―――なぁに?そんなに嬉しい事あったの?」清子からの電話を切って、また黙々と仕事をし始めたケイに、重水は笑いながら声を掛けた。「奥さん、お元気?」
「…えぇ…まぁ…」
ケイは苦笑しながら顕微鏡を覗き、パソコンのキーボードを叩いた。
「週末だったわよね?…旅行の準備はもう済んでるの?」
「いえ…ちょっとバタバタしてて…これからです…」
ケイの言葉に、重水は目を丸くした。
「これから!?間に合うの?」
「間に合わせますよ…」
カチャカチャとキーボードを叩くケイの姿を見つめながら、重水は微笑んだ。
「今日、早退したら?」
「え?」重水の言葉に、ケイの手が止まった。ケイは驚いた表情に微かな喜びを滲ませながら重水を見つめた。「いいんですか?」
「うん、いいわよ。この書類片付け終わったらね」
重水はそう言って、ケイのデスクの上に大量の書類をドサッと置いた。ケイは怪訝そうに重水の顔を見た。重水はニコニコと笑った。
「君ならあっという間に片付けられるでしょ?」
病院の食堂で昼食を済ませたアキは、病室のベッドの周りを簡単に片付け、ボストンバックに荷物を詰めた。開け放っていた病室の窓から爽やかな風が吹き込み、ベージュ色のカーテンが大きくひるがえった。アキは外れたタッセルをカーテンに巻き付け、窓から澄み切った夏空を仰いだ。
アキは強い陽射しに手をかざしながら、目線を右上へと移した。目線の先にはたくさんの白いシーツやタオルが干された病院の屋上があり、その屋上を囲む柵のすぐそばに人が立っているのが見えた。
≪…あんな所に人がいる…≫
アキは思わず目を凝らした。
その柵のそばに立っている人がアキに向かって手を振った。アキは「え?」と呟きながらも、手を振り返そうと腕を上げた―――――
その時、アキの心臓が強く打った。
アキは慌てて病室を飛び出し、屋上へと通じている階段を駆け上がった。屋上の鼠色の鉄のドアを勢いよく開き、アキは屋上へ飛び出した。
バタバタと白いシーツやタオルが風で大きくなびいていた。アキは風で乱れる髪を手で押さえながら、屋上の柵の上に座っている男性に近付いて行った。
智日はにっこりと笑いながらアキを見下ろしていた。
「久し振り、アキさん!元気だった?」
アキは呆然としたまま、言葉を失っていた。サラサラとアキの髪が流れた。智日は微笑みながら、そんなアキの顔を見つめた。
「…さ…智日…君…」アキは震える声で呟いた。「お腹は?…もう大丈夫?…」
アキの言葉に智日は首を傾げた。「お腹?」
「うん…私が…刺した…」
「あぁ!あれ?もうとっくの昔に治っちゃったよ!…もしかして心配してた?」
智日の明るい口調にアキは面食らいながらも、小さく頷いた。
「…ご…ごめんね…智日君…私…本当に酷い事した…」
瞳を揺らしながら言うアキの顔を見つめながら、智日は苦笑した。
「そんな事、気にする事ないって…あの時は俺もイカレてたんだから…それにあんなかすり傷じゃ死なねぇ〜し…」
カラカラと明るく喋る智日に、アキは思わず微笑んだ。
「やっと笑ったね、アキさん」
「え?」
「やっぱりアキさんの笑顔、イイよ。俺まで元気になる…」
「…智日君…」アキは目頭を熱くしながら、智日を見つめた。
智日は長い脚をブラブラさせながら、雲一つ無い青空を仰いだ。
「……アキさんに質問!」智日は笑顔でアキの顔に目を向けた。「“愛”ってなんだと思う?」
智日の質問にアキは困惑してしまい、思わず顔を歪めた。
「アキさんにとって、“愛”って何?」智日はもう一度、ゆっくりとした口調でアキに問いかけた。
「…“愛”?…」
「うん、そう…“愛”…」
アキの表情が緩んだ事に、智日は気付いた。
アキの瞳が、アキの髪が、アキの仄かに赤く染まった頬が、アキの細い身体が“愛”に包まれ、“愛”を語ろうとし始めた。
智日はそんなアキの姿を、本気で綺麗だと思った。
「…生きるすべて…」アキは呟くように言った。「ケイ君は私のすべてなの…」
バサバサとシーツのはためく音がした。
智日は微笑みながら、頬を赤めたアキの顔を見つめた。
「…生きるすべてか…」智日は笑いながら呟いた。「いいな、その台詞…なんか憧れちゃうよ…」
智日はそう言って、ゆっくりと柵の上に立ち上がった。
「さ、智日君!危ないよ!…」
アキの言葉に智日は吹き出した。「俺を誰だと思ってんの?」
それでもアキは心配そうに智日を見つめていた。
「…俺、アキさんに出会えて良かった。本当にそう思ってるよ、アキさん…」
強い陽射しが智日の身体を照らし、アキは眩しさのあまり目を細めた。
「わ…私も…智日君に会えて嬉しかったよ…」
アキは涙声で言った。
「ありがとう、アキさん…」智日は嬉しそうにハニカんだ。「俺の事、忘れないでね。たまには思い出してよ、アキさん!」
智日の言葉に、アキは目に涙を浮かべながら微笑んだ。
「そうだ!ケイさんとエッチしてる時に俺の事思い出してくれると嬉しいなぁ〜…」智日はそう言ってニカッと笑った。アキも思わず吹き出した。「ね?それぐらいいいでしょ?ケイさん?」
智日の言葉にアキは驚き、慌てて振り向いた。
屋上に鼠色の鉄のドアが少しだけ開いていた。
「もう隠れてないで出て来てよ!ケイさん!」
少し開いていた鼠色の鉄のドアの隙間から、ケイが気まずそうに姿を現した。
「…ケ、ケイ君…」
アキは唖然としながら、気恥ずかしそうに立ち尽くすケイの姿を見つめた。
そんな2人の様子を見つめながら、智日はジーンズのポケットから銀色の懐中時計を引っ張り出した。
「ケイさん!」智日はそう言って、ケイの向かってその懐中時計を投げた。「それ、曄さんの形見だって…俺の母さんが言ってたよ」
ケイは手の中で光る懐中時計を見つめた。
「それ、最初は全然動いてなかったんだ。でも…初めてケイさんに会った日からいきなり動き出してさ…びっくりしたよ。壊れてたワケじゃなかったんだよ…」
智日は笑いながらケイの顔を見つめた。ケイも黙ったまま智日を見つめた。
「それ、結構気に入ってたんだけど…持ち主に返さないとね…」
智日はそう言って、アキの方へ目線を移した。
「……じゃぁね、アキさん…」
智日の声と同時に強い風がゴッと吹き抜け、アキは思わず目を閉じた。シーツのはためく音を聞きながら、アキは慌てて目を開いた。
もう、そこには智日の姿は無かった。
アキは呆然と立ち尽くしたまま、しばらくの間動けなかった。
「…アキ…」
ケイは静かにアキの肩を抱いた。
「…智日君…どこ行っちゃったの?」
「…う〜ん…」ケイはアキの肩を抱いたまま、澄み切った青空を目を細めながら仰いだ。「どっかにいるよ…」
「…そうか…」アキはくすくすと笑いながら呟いた。
ケイも笑いながら、銀色の懐中時計をアキの首に掛けた。アキはその懐中時計を手に取り、蓋を開いた。カチッカチッと規則正しく時を刻む懐中時計を見つめながら、アキは微笑んだ。
「綺麗ね…」
「うん…」アキの言葉にケイは頷いた。「アキが持っててね」
「私が!?…いいの?」
「うん。その方が美成里も曄も喜ぶよ…」
ケイの言葉に、アキは嬉しそうに微笑んだ。
「ねぇ、ケイ君!私達の会話、盗み聞きしてたの?」
「…盗み聞きって…」
ケイはショックで顔を歪めた。
「仕事は?」
「…うん、重水さんが早退していいって…」
「そっか!…そしたら帰りに買い物して帰る時間あるね!」
アキは嬉しそうに笑いながらケイの身体に抱きついた。ケイはアキにしては珍しい行動に、胸を高鳴らせた。
「アキ…」
「うん?」
「僕と寝てる時だけは智日の事、思い出さないでよ…頼むから…」
ケイの真剣な口調に、アキの顔が真っ赤になった。アキは恥ずかしさのあまり、ケイの頬を両方つねった。
「イタタタ!…痛いって!アキ!」
「もう!!2人ともどスケベ!!」
「――――あぁ〜イイお風呂だった…」
清子はスッキリした表情で長い髪にタオルを当てながら居間へと入ってきた。本条はそんな清子の姿に微笑みながら、ソファで新聞を読んでいた。
「冷蔵庫にビールあるよ」
「本当!?飲む!飲む!」清子は嬉しそうに台所へ向かい、冷蔵庫から缶ビールを2本取り出した。「有治君も飲むでしょ?」
「…うん…飲もうかな…」
「…ねぇ、おつまみは?」
「食器棚の下にあるだろ?」
本条の言葉に、清子は食器棚の下の扉を開いた。中にはピーナッツなどの豆菓子やスナック菓子、スルメやサラミなどがストックしてあった。
「わぉ!…」
清子は胸を躍らせながら、何にしようか真剣に悩んだ。
「…あぁ、清子!冷蔵庫の中にアキちゃんが漬けた漬物もあるぞ。それも持ってきてくれ…」
「漬物?」
清子は両手一杯に豆菓子やスナック菓子を持ったまま、それらを落とさないように慎重に冷蔵庫を開けた。一番上の棚にあった容器を取り出し、背中で冷蔵庫を閉めた。
「アキちゃん、漬物まで自分で漬けてるの?」
ソファの前のテーブルの上に、ガサガサと菓子類と缶ビールを並べながら清子は言った。
「清子…こんなに食べれるのか?」
清子が持ってきたつまみの量があまりに多かったので、本条は呆れたように呟いた。
「あら?私のためにアキちゃん準備しといてくれたんでしょ?」
「…まったく…」
本条は苦笑しながら缶ビールのプルタブに指を掛けた。プシュッと音を立てて開けた缶ビールを「乾杯!」と言いながらカツンと当ててから口へと運んだ。
「…っぷはぁ!美味い!…」
清子は満足げに容器の蓋を開け、アキが漬けた茄子と胡瓜の漬物をつまんだ。
「…ん…やだ…本当に美味しい!!何これ!」
清子は感嘆しながら、漬物をパクパクと食べ始めた。
「近所の奥様の中に70近いおばあさんがいるそうなんだけど、その人から簡単で美味しい漬物の漬け方習ってきたみたいなんだ。その漬物でお茶漬けがまた美味いんだよ」
本条も美味しそうに漬物をつまみながらビールを飲んだ。
「本当に…アキちゃんて偉いわよね…感心しちゃう…」ポリポリと口を動かしながら、清子は呟いた。「ねぇ、アキちゃんはもう“Jun−Cafe”には戻らないの?」
「…いや…もう少し落ち着いたら戻るんじゃないかな…店の人達もアキちゃんの事待ってるみたいだし…」
「そうなの?…でもケイ君は?それ承知してるワケ?」
「うん。ケイはケイでちゃんと考えてるみたいだよ…」
本条の言葉に、清子は目を丸くした。
「ケイ君って自分の事中心にアキちゃんの事考えてるのかと思ってた…」
「随分な言い方だな…」
清子の言葉に、本条は苦笑した。
「だって…」清子はブツブツと呟きながら居間の壁に掛けられた時計に目をやった。「……今頃、シャンゼリゼ通りのオープンカフェでランチ中かしらね…素敵よね〜…」
ため息を吐きながら喋る清子に、本条は微笑んだ。
「清子もフランス行きたい?」
「そりゃぁ、行きたいわよ。でも時間が無いのよね…」
「時間なんて作ろうと思えば作れるさ」
「…そうかしら?」
「そうさ」
「そしたら…」清子はソファから身を乗り出した。「時間作ってフランス行こうよ!有治君!」
「うん、いいね。行こうか?」本条は笑顔で答えた。「7月8月は学会とセミナーがあるから…9月なら時間作れるよ」
「9月!?…9月は駄目…大きな会議があるのよ…10月はアメリカに行かないとだし…」
清子は眉間にしわを寄せ、黙り込んだ。本条は漬物をポリポリと食べながら首を傾げた。
「駄目よね…こんなんだから仕事に追われるのよ…大丈夫!9月に行きましょう!なんとか時間作るわ!」
意気込み出した清子に、本条は苦笑した。
「無理しなくてもいいよ。急がなくてもフランスは逃げないよ」
「なによ!有治君!さっきと言ってる事違うじゃない!?」
清子は口を尖らせながらビールを飲んだ。本条もくすくす笑いながらビールを飲んだ。
それから2人はフランスへ行くための計画を練った。2人で4本の缶ビールを空にし、漬物もキレイに完食した。本条は残った菓子類を片付けながら、ウトウトと眠り始めた清子の顔を覗いた。
「清子、2階に上がって寝ろよ。ここで寝たら風邪ひくぞ!」
「ふぁ〜…まだそんなに飲んでないのに…もう歳ねぇ…」
しみじみと言う清子に、本条は苦笑した。
「当直が続いてただろ?疲れが溜まってるんだよ…」
「うん…」清子はソファの背もたれの上に頭を乗せ、居間の天井を見つめた。
「ねぇ、有治君…」
「ん?」本条はテーブルを布巾で拭きながら清子を見た。
「私もここに住んでもいい?」
清子はぼぅっと天井を眺めたまま、呟くように言った。
「うん、いいよ」
本条の言葉に、清子はソファから身体を起こし、テーブルの上を片付けている本条の顔を見つめた。
「私、本気で言ってるんだけど…」
「うん、俺も本気だけど?」
本条の笑顔に、清子は言葉を詰まらせた。本条は笑いながら立ち上がり、台所へと入って行った。清子は眉間にしわを寄せたまま、ソファの前のテーブルの一点を睨んだ。
「なに怖い顔してるんだよ…清子…」
台所から戻ってきた本条は、清子の表情に苦笑した。
「だって…有治君、あんまり簡単に言うから…」
清子はブスッと膨れたまま、もぞもぞと呟いた。
「簡単だろ?マンション引き払って、荷物をここに運べばいいじゃないか」
「…そうだけど…どうせ…ケイ君嫌がるわよ…」
「どうして?」
「だって…私は家族じゃないし…」
清子はそう言って、ソファの上で膝を曲げた。本条を穏やかに微笑みながら、ソファの上で小さくなってしまった清子を見下ろした。
「ケイは嫌がったりしないよ。でも清子がどうしても気になるんなら…清子も俺達の家族になればいい」
清子は大きく目を見開いたまま、穏やかな表情で自分の前に立つ本条を見つめた。
「え?」
清子は驚きのあまり、言葉を詰まらせた。
「だから、清子も本条家に入ればいいじゃないか?」
清子とは反対に、本条は落ち着いた口調で穏やかに言った。清子は口元に手を当て、目をキョロキョロと動かした。
「…え?…有治君…それ、どういう事か分かって言ってるの?」
「もちろん」
「…え…え?…でも有治君って今いくつだっけ?」
「43だけど」
「え…」清子はぐるぐると考えた。自分がもう40歳であるという現実が、清子の頭をもたげた。
そんな困惑気味の清子を見つめながら、本条は小さく息を吐いた。
「ゆっくり考えていいよ、清子…」
本条は苦笑しながら清子を見つめた。清子は小さく頷きながら、ソファから立ち上がった。
「…ねぇ有治君……一つ訊いてもいい?」
「うん?」
「本気で言ってるの?」
清子の言葉に、本条は穏やかに微笑んだ。その優しい眼差しに、清子の胸は熱くなった。
「俺は本気だよ」
清子は眉間にしわを寄せたままうつむき、自分の裸足の指を見つめた。
「私が…ここに住みたいって言ったから…」
「あぁ…」本条は大きく息を吐いた。「誤解しないでほしいんだけど、清子との事は前から考えてたんだ。ケイ達ももう落ち着いたし、そろそろかなぁって…でもいつ言おうか迷ってたんだ…清子の気持ちが一番大事だしな…」
清子は目頭が熱くなるのを感じた。でも、ここでは泣くまいとグッと唾を飲み込んだ。
「…本当に…返事は急がないから、ゆっくり考えて。清子…」本条の言葉に、清子は小さく頷いた。そんな清子を見て、本条は息を吐きながら微笑んだ。「そろそろ寝ようか?」
「…う、うん…」
清子を先に居間から出し、本条は居間の電気を消した。
「明日は早いのか?何時に起こしたらいい?清子?」
本条は先に階段を上り始めた清子に訊いた。
「…明日は遅いの…有治君は?」
「俺?…清子、明日は土曜日だよ?…昼頃研究所の方に顔出すつもりだけど…どうする?何時に起こそうか?」
本条は、階段の降り口で黙り込んだまま立ち止まってしまった清子の顔を見つめた。
「…どうした?清子?」
本条の言葉に、清子は勢いよく顔を上げ振り向いた。
「今日は有治君と一緒に寝るわ!」
本条は面食らい、目をパチパチと動かした。清子は笑いながら本条を見つめた。
「嫌?もう眠い?」
清子の言葉に、本条は吹き出した。
「嫌じゃないし、眠くない」
清子はくすくすと笑った。
「じゃぁ、決まりね!」
君のために僕は詠う。Power Song
★END<2009.5>★
天使の微笑み2でやらかしてしまいました“大変な勘違い”(言葉の間違い)を教えて下さいました読者の方、本当にすいませんでした(≧×≦)…そして有難うございました。
そしてメッセージを送って下さった読者の方、本当に嬉しかったです。
読者の皆様には、本当に拙い文章を最後まで読んで頂き、感謝しています。本当に有難うございました。宜しかったら感想などお聞かせ下さいませ。(^‐^)
★マジュ モトコ★