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飛べない妖精とヴァイオリン

作者: 四つ葉ひな

風の妖精、フロウは妖精の中で一番速く飛べます。

今日も自由に空を飛び回ってました。

でも飛ぶのに夢中になっていて、前を見ていなかったので岩にぶつかってしまいました。

フロウはそのまま真っ逆さまに落ちていきました。


「いててて…」


体は無事でした。

でも大事な羽根は折れてしまいました。


「どうしよう。これじゃ、空を飛べない.....う..うっ」


それからフロウは毎日泣きました。

もう自由に空は飛べません。

いつも空を見上げていました。


すると、どこからかヴァイオリンの音がします。

近づいてみると綺麗なお姉さんがヴァイオリンを弾いています。

ヴァイオリンの音色があまりにも素敵なので、フロウは音に合わせて歌い出しました。

歌っていることにもう夢中でした。


その歌声に今度はお姉さんが気づきました。


「なんだろう、私のヴァイオリンの音に合わせて歌声が聞こえるわ。あっちからね。」


そう言って、お姉さんは歌声がするほうへ行きました。

しげみをかきわけ、進んでいくと....


妖精が歌っているではありませんか!

お姉さんがその妖精、フロウを見つめているのでフロウはお姉さんに見つめられていることに気づきました。

妖精は絶対に人間に見つかってはいけません。

フロウは泣きそうになりました。


「あなた...妖精?」

お姉さんはフロウに言いました。


こくん...

フロウはうなずきました。


「素敵な歌声ね!」


「えっ!?」

とつぜんほめられてフロウはびっくりします。


「あなたの歌、もっと聞かせて!私はヴァイオリンを弾くから!」

「さっきの歌をもっと歌えるのね!ステキ!」


それから二人は音をかなで始めました。


フロウは歌うことがすっかり好きになりました。

毎日お姉さんのところにかよいます。

お姉さんも毎日ヴァイオリンを準備してフロウを待ちました。


でもある日、いつものようにフロウがお姉さんのところに行くと、そこにお姉さんはいませんでした。

フロウがふあんげな顔をしていると、通りすがりのネコが言いました。


「お姉さんは遠くに行ってしまったよ。」

「そ、そんな。」

フロウはがっくり。


「....あっちの方に行ったね。」

ネコはにんまりしてすぐそばの道を見ました。


その言葉にハッとして「ありがとう、ネコさん。」と言って走り出しました。


ネコが見た道を何日も何日も進みます。

とちゅうで犬に追いかけられたり、大きな鳥に食べられそうになったりしました。

それでもフロウはあきらめないで走り続けます。


とうとうフロウは力つきてたおれてしまいました。


「羽がおれていなかったら、お姉さんを見つけられたかもしれないのに。もう動けないよ。」


いくら体に力をいれても、もうフロウの体は動きません。


せめて最後に歌を歌おう。

お姉さんに初めて会ったときの歌を。

フロウは静かに歌い出しました。

力のない、さみしい歌がまわりにひびきます。


「さようなら、お姉さん。さようなら、楽しかったひびのおもいで。」


フロウの歌がおわり、フロウのいのちもおわりそうになった、そのとき.....


「大丈夫!?」


なつかしい声が聞こえました。

目をあけると、そこにお姉さんがいるではありませんか!


「やっと見つけた。やっと会えたね、お姉さん。」


お姉さんは泣きながら、

「私を探してくれたのね。とつぜんいなくなってごめんなさい。ありがとう。ありがとう。」


それからお姉さんはフロウをつれてかえり、フロウをひっしにてあてしました。

フロウはすぐにげんきになりました。


それから二人はまた毎日音をかなでましととさ。


めでたし、めでたし。


*あとがき*

このお話を読んでくれてありがとうございます。

もう感謝しきれないくらいです。

本当にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] とても心が温まる作品で、すごく癒されました。 ありがとうございます。
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