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無職

「アリスは?」


「第三格納庫で基板と格闘している」


「ああ、あのガンブレードまだ改造してんのか。昨日見たけどもう原形無かったぞ」


艦橋に入った瞬間にルークとアルフが若干の会話、その後入室した新人、詳しくはその上半身を一瞥し、困ったように溜息をつく両名


「本日付けで配属されましたリコリスと申します、さっそくですが110番を行いたいので携帯電話の使用を認めて頂けますか」


「よし、不許可だ」


この瞬間に自らの上司がアホであると認識したらしい、フェイへと視線を送ってきた。とりあえず親指を立てておく


「えー、こいつが搭乗するセフィロト4号機、ユーロファイター"ランスロット"は遠距離一辺倒の機体だ。特徴としては専用装備の88ミリスナイパーライフルとそれを使用するための高精度機体制御システムがある、カタログスペックの通りなら戦闘毎にシステム調整が必要っていうふざけた仕様だが、まぁそれを補って余りある戦闘能力があると判断した」


「一応、近接戦闘も可能ですが」


「必要最低限な、そのへんは騎士の意地って所か。標準装備は両手持ち50ミリライフル、左ウエストに高周波ブレード、背中にはスナイパーライフルとECMユニット」


「手数なさそーっすねー」


「1発の弾丸を丁寧に撃つという行為をいい加減覚えろガサツ女」


機体についての説明を一通り終了、さて、とアルフが区切りを置く


顔はなぜか気まずそうな


「ではリコリス、悪い知らせと悪い知らせがある、どっちから聞きたい?」


「………………そうですね、前者からお願いします」


まぁどっちでも変わんねー訳だが、といいながら写真を一枚取り出した。青い空と白い雲は地球特有の光景、地上の様子は凄惨で、爆撃を食らったかのように焼け焦げ抉れている。爆心地の周りに散らかっているのは物資を詰め込むコンテナや大破した車両など


「ロンドン宇宙港、数時間前までお前がいた場所だ、輸送中だった弾薬類が静電気か何かで誘爆したものと推測されてる。補給物資含め生活用品がまるまる吹き飛んじまったから、悪いがお前の部屋にベッドが来るのは明日の作戦行動開始直前になった」


ちらり、とまたこちらを見た。とりあえずグーサインを出す


「では添い寝の方向性で」



「確かに気分の滅入る知らせではありますがその程度なら問題ありません、ヒステリック持ちのJKではあるまいし」


「女性なら気にすると思ったんだがな、それなら大した事じゃないか。……で」


「で、もう一つの方は」


「被害物の中にランスロットが含まれててだな」



止まった



「事故後すぐに修理ドッグへ詰め込んだが、狙撃の要になってるセンサー類がアホになっちまったらしい、最低でも修理に1週間かかるとのお達しだ」


「ちょ……ちょっと待…」


「今後のヘリオスフィアのスケジュールは…明日金星へワープ、5日かけて地表を観測した後、水星に飛んでまた5日。だが予定通りにいかないのは間違いないから、2週間は帰ってこれないと見ていいな」


「いやいや…いや…それでは私は……」


一気に狼狽したリコリスさんはふるふると首を振って今後しばらく自分がプー太郎になるという事実から目を背ける。それにトドメを刺すかの如くアルフは挨拶するように右手を挙げ


「よう、慌てん坊のサンタクロース」



180度反転



「実家に帰らせて頂きます」


「気持ちはわかるが駄目だ」


「では何ですか!2週間もの間同人誌でも書き続けろと!?そんな地獄は絶対に嫌です!」


「同人誌!?」


ぎゃーぎゃー騒ぎ始めた両名を少し眺め、簡単には収まりそうにない事を確認、カフェテリアで紅茶でも飲んでこようとエレベーターに向かう



作業着姿のアリス(満面の笑み)と鉢合わせした


「生まれ変わりました」


「……また折れる」


「折れません、全タングステン製です」


「……高周波」


「流せます」


「………………」


「やってやりましたよ!射撃管制システムを覗く95パーセント以上を他武装パーツと置換!整形!結合!」


「それもう新規開発」


「そのせいでジャンクが10トンくらい出たけど部品倉庫に封印して万事解決!」


「………………………」


「戦艦に当てても折れないブレードと40ミリ炸裂弾発射器の複合武装!名付けて!!」


「とりあえず油臭いからシャワー浴びよう」


「あい!!!!」


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