戯れ
市場から宮殿へ帰って来たパトリシアたちは彼を中庭へと案内した。そして彼はもの問いたげな顔をしていた。
「ここへ来たのは宮殿の案内とひと遊びしようと思ったからよ。それとあなたは今日から私の下僕よ。いいわね」
彼は戸惑いながらも返事をした。
「何か不満でも?」
「いいえ、そんなことは!」
「そう、ならいいわ。では何をして遊ぼうかしら?」
パトリシアは何かないだろうかと探した。そしてとある倉庫を指を指して言った。
「あれは武器庫よ。あの中から武器をひとつ取ってきなさい」
扉を開けるとそこには古今東西の武器が並んでいた。そして彼が選んだのは棍だった。
「ふ~ん。あなた、棍を使ったことがあるの?」
「ええ、何度か」
「なるほど。では、私はこれにしようかしら」
パトリシアが選んだのは洋剣だった。
「手加減はなしよ。本気で来なさい」
「ええ、いいでしょう。本気で行きます」
その時彼ージェイドーの目が一瞬にして冷徹な目へと変わった。
「では、参ります」
「いいわね、その目。ぞくぞくするわ」
こうして主と下僕による戯れが始まったのだ。
「うぉぉぉっ!」
「はぁぁぁっ!」
金属と金属がぶつかり合い火花が散る。ジェイドの体に無数の傷がつけられていく。そしてジェイドの棍が弾き飛ばされ決着がついてしまった。
「おわっと!」
「あなたの負けね」
「くっ!」
「最近の若者は弱いわねぇ。私の恥とならないように強くなりなさい」
パトリシアは切って捨てるように言い放った。そして彼はパトリシアを見て
「はい…わかりました」
と返事をしたのだった。
本当にこんな戯れ方はしたくないものだ。