メデューサに対抗できる一般人 対 それを苦しめるメデューサ
突然だけど、 ”メデューサ” っているじゃん?
髪がヘビで、見た者すべてを石にする怪物。
俺って、アイツの石化能力が効かないのよ。
メデューサに言わせると、俺の名前って【石田岩男】って言うんだけど、だから『お前は既に石だ』って。だから今更石化しないんだって。
当たり判定ガバガバ過ぎるだろ。
まあそれで、俺はメデューサに見られても石にならないんだけど、それを良いことにアイツ、頻繁にうちに来るのよ。
俺の店【散髪屋石田】にな。
なんでも、どこの店に行っても店員が石になってしまうから、今まで散髪してもらえなかったんだって。
なに? その能力、ON/OFF出来ないの?
じゃあ今までどうしてたのか聞いたら、自分で切ってたって。
節約に励むお父さんかな?
まあ、ということで俺が散髪しているわけなのですが...、
わかるだろ。
相手 “ヘビ“ なのよ。
チャキチャキ
『ギャァーーッ!!』
チョキチョキ
『シャアアアアッ!!』
うるせぇよ!!
それと居た堪れねぇんだよ。
頭側は、切ってしばらくすると断面から頭が生えてくる。
切られた側は、床でしばらくウネウネしたあと霧みたいになって消えていく。
そこは掃除いらずで楽なんだけどさ。
なんかものすごく後味が悪い。
それと切る時の感触が最高に気持ち悪い。
『シャンプーも頼む。』
え〜...。
ヘビさん、シャンプーがしみて目がウサギさんみたいになってますやん。めっちゃ辛そうですやん。
この人(?)、自分の髪に容赦ないな。そのうち毛根ストライキ起こすぞ。ハゲても知らんぞ。
まあ、そんでな。そんな精神がガリガリ削られる作業なのにな。
アイツ、やたら頻繁に来るのよ。
散髪ができるのが嬉しくて仕方が無いんだろうけどな。こっちも精神が保たんのだわ。
『襟足は短めに。横は流す感じで。』って。何その【趣味=仕事】の昭和のお父さんみたいな指示。
しかも、一週間でそんなに伸びてねぇよ。
はあ...面倒くせぇ。
ということで、ある時俺もキレてさ。
アイツが寝てる間に、バリカンで丸刈りにしたったんだわ。
これでしばらくは来れんやろ、ってな。
グーで殴られたわ。
後日、俺は【メデューサから物理攻撃を受けた珍しい男】として、オカルト界隈でちょっとだけ有名になった。
おしまい




