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女の子の決意

 

「んー?もう朝?」

 

 空はまだ銀河の星々が輝いていた。暁にはまだ早い。

 

「って、こんな時間!?早くテント畳まなきゃ」

 

 時計は3時半を指している。

 

 いつも起きるのは3時、寝る時間は9時〜10時ほど、5時間睡眠できるのは本当に喜ぶべきことであって、幸せなことなのだ。

 

 まあ、半月前に起きた戦争では、3時間睡眠とか、なんなら寝ないこともザラだったから、身体も順応してきたものよ……

 

 しかし、寝過ぎたな。

 

 早く畳まなくちゃ!

 

 寝袋をテントの中で急速に畳んで、すぐさまテントの外に出た。

 

 へたくそは、下手な畳み方をすると鞄に収まりきらなくなるが(経験者の一味)ここまで慣れれば一瞬で畳めれるものだ。

 

 テントの外に出た。

 

「お、梓今日はすげぇ寝ていたな。」

 

 山際が白くなり始めた。

 

 フェイロンさんは先に起きていて、火を焚いていてくれたようだ。

 

「もー、フェイロンさん先に起きてたら起こしてくれればよかったのに……」

 

 本当に身勝手な自分は、口を膨らませてフェイロンさんに問うた。

 

「んな、まあ年頃の女が40過ぎのおっさんの起こされるのなんかアレじゃねぇか?」

 

 やべ、正論。

 

「はぁい、次からは自分でちゃんと起きます。」

 

「それより早くテントたたんだ方が良いんじゃねえか」

 

「あ、そうでした。」

 

 急ぎでテントを畳んだ。

 

 テントの畳み方はたくさんある。三角形にしたり四角形にしたり(形によるが)と、だが私はトクセイの畳み方がある。

 

 このテントはタープのような長方形。

 

 だからそのタープを半分で合うように谷折りにする。そして、縦に長すぎるから谷折りを横側にしてそこそこの長さにする。

 

 これを鞄のてっぺんにちょっと突き出るがブッ刺せば完成。一瞬でできる。

 

 畳んだ後は自然の映えた食卓に赴いた。

 

「お、梓!おはよう、そろそろ飯はできるからちょっと待っててくれ」

 

「はーい、カゲルの朝ごはん待ってます」


 カゲルは朝起きても上機嫌で、ちょっと寝ぼけた私からすればうざったく感じてしまう。

 

 だけど、カゲルはとっくに起きていて、エプロンをつけて料理もしている。

 

 すげぇなカゲル、尊敬する……

 

「さて、今日はどこまで進むんですかねぇ。」

 

「お、知らないのか?今日はゴンチャンという都市を攻め入るぞ。」

 

「え、マ?」

 

「ほんとだぞ、そういえば、梓が前線へ赴くのは初めてか。」

 

「は、はい」

 

 フェイロンさん……そうなんですよ初めてなんですよ。こわい、こわいよ。

 

「大丈夫だ、決して梓に人を殺させはしない、殺されもしないように守る。」


 そんなキリって言われてもこわいものは怖いんですよお。

 

 まさか今日が初めての戦……心の準備などできているはずもない。

 

 こんなの戦慄を禁じ得なくて当然だろう、たくさん竹槍で突き刺す練習をして、アリサカライフルを窓に当てる練習をして、手榴弾を投擲する練習をして————だが、それを人に向けるなんて、できない。

 

「ありがとうございます……」


 緊張したり、恐れが出て、感謝の言葉を述べるだけで精一杯なのだ。

 

「まあ、そんなに怖がることもねぇんじゃないか、俺もそこまで前線に出たことはねぇが、敵を殺すことなんて滅多になかった。」

 

 そうは言ってもですね、グジョウさん。

 

「いやいや、滅多にでも殺してるじゃないですかあ!!」

 

「小さいことなんて気にしない気にしない、フェイロンさんが守ってくれるんだ、安心しなさい、ほれ、飯もできたことだし温かいうちに食べようぜ、温かい飯は緊張を和ませる。」

 

 諭すように言ってきたカゲル、ちょうど朝食もできたところ、呼ぶのとプラスで言ったのだろう。

 

「そうですね、とりあえず朝食いただきましょう。」

 

 私が相手を手にかけなくて、もしフェイロンさんが殺したとしても、人を殺したことは変わらない。

 

 フェイロンさんが、手にかけるのは同朋であって、これ以上異端認定の烙印を押され故郷の人々を殺しという鎖に繋がれることもあってならないと思う。

 

「今日は昨日残ってたじゃがいもを蒸したのと、あらかじめ焼いておいた肉だ。そして、スープ」

 

 カゲルが淡々と本日の朝食メニューを言っていく。

 

 小さな幸せである。

 

「このスープトマト入ってる?めちゃくちゃ美味しいんだけど、」 

 

 トマトは私の大好物と言っても過言ではない。

 

 完熟でなくとも、その酸味は美味しいし、完熟の時の甘さは果物を食べているかと錯覚させられる。

 

「ふふん、嬉しいよ」

 

「さて、今日のことだ。」


 フェイロンさんが話し始めた。


 それと同時に私たちは箸を止めた。

 

「今日は午前中までひたすら行進だ。そして昼には南下してくる大隊と合流。そこの指揮官の大尉の下で本日の夜攻め入るのだ。攻めは、いわゆる挟み撃ち。大隊と私たち中隊の中で二組に分かれ、大きな街の入り口を塞ぎ、逃げ場をなくす。また、まあお察しの通りそこは一般人も多くいる街だ。武装をしていない、または抵抗しない非戦闘員は絶対に殺さないようにしろ。」


「「はい!」」

 

 先生の教えを真面目に聞く生徒のように、グジョウさん、カゲル、そして私が口を揃えて一つ返事をした。

 

 さてと、今日は絶対にターニングポイントだ、国からしての影響は大きくないことは確か(小さな町であるから)だが、私の中での変化の1日となるのも確かだろう。

 

 人生初の戦闘——計画を練られた作戦への参加は必ず永劫記憶に刻まれる。

 

 だからこそ、平和的に終了して欲しい、おとなしく占領されていろいろ、と相手の方々に言うつもりではないが、お願いだから熾烈な争いにはなってほしくない。

 

 決して人を殺さない戦闘員になるんだ!

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