代償行為
大人になった私は、SEXで一瞬心が
満たされる事を知った。
代償行為だということは気がついていた。
初めての時から、羞恥も貞操観念も無い私
は、満たされない部分を複数の男で補うこと
を覚えた。
抱かれている間は、愛されている気持ちに
なれる・・
でも、本気で愛情を寄せてくれる相手とだ
けは絶対に寝なかった。
相手のことを心使ったのでは無いと思う。
きっと、自分が本気になって傷つくのが怖か
ったのだ。
遊びで始まった関係も、複数の男と関係を
持つことで、何人かの男は夢中になり、結婚
を望むことがあった。
でも、ふたりでいる夜のほうが寂しいって
ことを知った私が、応じることはなかった。
服や宝飾品や車、望むものは大抵の男に
望むままに与えられた。
完全に手に入らない女に、男がどれだけ
夢中になるかを知った私はゲームの様に
関係を楽しんでいた。
でも、同時に心まで完全に手に入ったと
思われれば、簡単に捨てられる様な薄っぺら
な関係でもあった。
多い時には、日替わりで男を変え、複数
の男と同時にベットに入った事もあった。
そんな日々に嫌気がさしたのは、男たち
との愛憎のもつれでストーカー行為等警察
にお世話になっていた頃・・
お世辞にも可愛いとは言えない様な従姉妹
が資産家の男と結婚したのだ。
身内にさえ、チビ・デブ・ブスの三重苦と
言われていた女の子が、優しそうで誠実そう
な男性を射止めた事に驚きとともに喜びをも
たらした。
その出来事に、私は強い敗北感を感じた。
女として負けた気がした。
ただ、男の虚栄心と性欲を満たす為だけ
に存在するかの様なお飾りの私。
彼女は、美しさとは無縁だが、誰よりも
愛されている真実の愛を見つけた気がした。
自分で望んだ結果なのだが、愛の無い関係
が虚しいと感じた。