いつわりの私
学生時代。
いつも微笑む私がいた。
義務教育の子供は自分と違う者に
厳しい。
背も高く大人びた体つきで、大人達
の顔色を伺い、先生に媚を売る私は、
子供たちの中で異分子だったと思う。
子供の世界で、大人びて美しいのは
一種の武器になる。
虐められる事はなかったが、仲間に
入ることも出来なかった。
入ろうと思わなかったのかも知れない。
日々の出来事に一喜一憂する姿は、
私にはずいぶんと子供っぽく映った。
校内外で写真が売られ、年上年下に
限らず・・男女さえ問わずによくモテ
た。
モテたのだろうか・・
よっぽどモノ欲しそうな顔をしていた
のかも知れない。
愛に飢えた私の存在を敏感に感じ取っ
て 群がっていただけなのかも知れない。
だが、不思議な事にその頃の私は、
自分の体を使って寂しさを満たそうと
は思わなかった。
その分、好意を持ってくれた人に対し
て残酷な程に心を弄んでいた。
愛されているのは見た目だけ・・
誰も本当の私を好きじゃない。
見た目だけに騙される男なんて
傷ついてしまえばいい・・。
そんな頑なな気持ちになったのは、
通学途中に車に引きずり込もうとし
たり、追いかけまわしたりする心無
い男達がいたせいかも知れない。