14話:驚異の戦闘者
俺の名前は龍神拓真。敵の最高戦力、轟を前にする武闘派の極道だ。
血で血を洗うこの神楽地区大抗争。もう既に佳境に入ってるといっていいだろう。
そんな俺は今、水無瀬組の最高戦力である轟と正面から激突している。こいつが使う武器は鉄パイプ。重量級の武器だ。俺とは相性が悪い。だが俺は勝たなきゃいけない、組のためにも、そして俺のためにも。
緊張感が漂う空気の中、機先を制したのは轟だ。奴は何かが爆発したかのような凄まじい踏み込みを見せ、俺に向かって突っ込んでくる。
「いきなり死のうかぁ!龍神ぃ!!」
「それはできないな。」(この踏み込み方、引く気はないな。迎撃だ。)
「ほらよ、吹き飛べぇぇぇ!!」
「ちぃっっ!」
俺は瞬時にガードの体勢に入る、しかし間に合わない。轟の放った超重量の鉄塊が俺の腹に突き刺さる・・・・と思った。だがそれはなんと超高度なフェイント。そして奴が放ったのは・・・
「おっと、やっぱやめるわ。こっちが本命だよ。」
「厄介な奴め。」(これは避けられん。仕方がない。
奴が放ったのは、神速の突き。こんなの想定できるわけがねぇ。俺はそれをまともに喰らっちまう。
「ふうぅぅ!!鉄パイプって面白いだろ?_ただ振るだけじゃねぇ。突きもできるんだよぉ?」
「ごふっ!!内臓が少しばかり破裂したか。だが問題はない。」
「あれぇ?まだ立てんのかぁ?」
「俺に負けは許されん。まだ戦える。」
「立てるなら、もう一回行っちゃおうかぁ。」
「来いよ、もう動きは見てる、次は躱せる。」
そして俺は一気に加速しながら、チャカを抜き2発の弾丸を放つ。
「頭に鉛玉入れとけよ。」
「それは当たらないんだって。」
そう言って奴は簡単に避けやがる。だがな、俺を舐めちゃいけねぇよ。その瞬間には俺は既に懐をとっていた。近接戦は俺の真骨頂だ。見せてやる。その刹那、俺は一気に鉄鋼鉤を振るう。
「おらぁ!腹開きだ。はぁぁぁ!!」
「おっと、こりゃまずいねぇ。でも当たらないぃぃ!」
「ちっ、でもそれは想定してる。」
「なにっ!?」
振るった鉄鋼鉤は空を切るもそんなことは想定内、俺はバックステップを踏んだ轟を追いかけるようにさらに一歩踏み込む。
「腹開きって言ったろ?言われた通りにしろよ。」
「ちぃぃぃぃ!!」(これは躱せないねぇ。)
俺が振るった鉄鋼鉤は奴の胸を激しく切り裂いた。・・・・のだが、なんと奴はさらに闘気を増しやがったんだ。
「怒っちゃったよ。もう本気出すしかないよねぇ。」
「ちっ、化け物が。ごふっ!」
「じゃあ、もう一回踏み込むよ?」
その瞬間、奴が先ほどよりも速いスピードで踏み込んでくる。はっきり言って今の俺じゃ太刀打ちできないほど速い。
「ぐうぅぅ!」(まずい。受けきれない・・・。)
「ほらぁ、ぐちゃぐちゃになれぇ!」
そこから放たれたのは強烈なフルスイング。それを避ける術は折れにはなかった。その鉄塊は俺をまともに捉える。
「ぐうぁぁぁぁぁぁ!!」
「これで終わり・・・かな?・・・・あれぇ?」
「ごはぁ!まだ・・・だ・・・。俺はまだ生きてるぞぉ!!」
「暑苦しいのは嫌いだよ。さぁ、死のうか。」
と、その時だった。俺たちのもとに二人の男がやってきた。
「鮫島の兄貴~!!」
「轟の兄貴~!」
その男たちは・・・十六夜組と水無瀬組の舎弟衆、天馬と辰巳だった。
なぜこの二人が一緒にやってきたのか、それはまた後で聞こう。
そしてついに、この抗争は終結することとなる・・・
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