13話:最高の死闘
俺の名前は仙石圭吾。敵のトップ戦闘者鮫島と正面から睨み合う武闘派の極道だ。
壮絶を極めるこの神楽地区大抗争。この抗争もついに佳境を迎えている。日向は敵の剣豪に敗れ重症、舎弟の夏目はこの鮫島によって殺された。だが、その報復として敵の舎弟衆、桐生を殺してる。もうこの抗争、行くとこまで行くしかないだろう。
そして俺は繁華街の裏手の空き地でこの鮫島と正面衝突だ。一発喰らってみたが正直かなり強い。突きと蹴り、両方練り上がってる。恐らくこいつは空手の類だろう。だが負けは許されなぇ。夏目の仇は必ず取る。
俺はいきなり本気モードの構えをとる。俺の主体は中国拳法。その中でも得意なのは八極拳だ。
「俺の八極拳はモノが違う。全部受けきってみろ。無理だがな。」
「いいぜ?全部受けきって見せる。」
「そんじゃ行くぞ!」
「さぁ来い。あんちゃん!」
そう言って俺たちは完全な戦闘モードに入った。そこからは壮絶な乱打戦に流れ込む。両者共に打撃を武器にする戦闘者だ。その拳は必殺の拳。まともに当たったら確実に重症だ。
「凄まじいな、鮫島!こんなの見たことねぇよ・・・!」
「ふん、あんちゃん、なかなかやるねぇ。俺もわくわくしてくるぜぇ?」
「おらぁ!こんなのはどうだい。最大火力だ!」
「むぅぅ!?」
そこで俺が繰り出したのは最大火力の掌底。それは何もかもを破壊できるほどの力のこもった掌底だ。
だがなんと鮫島はそれを受けきって見せたのだ。まぁ、2メートルほど吹き飛んではいたが・・・。
「ぐううぅぅ!!すげぇなぁあんちゃん。ちょっと本気出そうか。」
「おいおい、それ受けきるのかよ。あり得ねぇだろ。」
「この鮫島の前にあり得ないなんて言葉は通じない。それが俺だ。」
「ほう?大きく出たねぇ。じゃあこっちも極限集中行っちゃおうかぁ!」
そう言って俺たちは再び構えなおす。鮫島は空手特有の構え、そして俺は八極拳の構えをとる。
そして機先を制したのは俺だ。いきなり最大火力の極限集中で突っ込む。
「はあぁぁぁ!いきなり死んどけぇ!」
「あんちゃん、そりゃダメだ。残念だが、真正面からで俺に勝てる奴はいねぇよ。」
「へっ!正面からやってやるよぉ!!」
「いいぜ?その気合い、受け取った・・・!」
そこからは当然乱打戦に持ち込む互いの拳がぶつかり合い、時に肉が弾ける。そんな壮絶な殴り合いをしている時だった。鮫島が一歩踏み込んだのだ。たった一歩、だが、壮絶な乱打戦の中ではそれもテンポのずれに繋がる。俺はそれに対応できなかった。
「・・・なに!?」(まずい、ガードが間に合わねぇ・・・!)
「一発目は貰ったぜぇ?」
「ちぃぃぃぃ!!」
そして鮫島が放ったのは強烈な内回し蹴り。それは俺の脇腹に突き刺さってしまった。俺は数メートル吹き飛ぶ。
「がはっ!!!」(まずいな・・・肋骨何本か逝ったか・・・。)
「まともに喰らった気分はどうだ?ちったぁ男前になったかぁ?」(これを喰らって生きてるとはな・・。厄介な相手だ。)
「ちっ・・・!油断したか・・・ごふっ!」
「あんちゃん、なかなか強いねぇ。これを喰らって生きてられるなんてなぁ。」
「ふん、打撃の躱し方なんざいくらでもある。それを試してみただけさ。」
そう、俺はこれを喰らう瞬間わずかに後ろへバックステップしていた。だからここまでダメージを抑えられているというわけだ。バックステップしていなかったら死んでいたかもしれん。
その時だった、両者のスマホがいきなり鳴る。
「なんだぁ?親っさんからか。」
「ん?俺も親っさんからか。」
「これは一時休戦と行こうか。」
「そうだな、一時休戦だ。」
そして電話をとると、なんとも驚くべきことが聞こえてくる。
なんと鮫島も俺ももう戦わなくてよい、とのことだった。この理由はまた親父から聞くとしよう。
そして俺たちはその後抗争の終結を合意することになる・・・
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