11話:最強タッグ、始動
俺の名前は辰巳龍星。死んでしまった鬼龍の兄貴を見送る武闘派の極道だ。鬼龍の兄貴は先日、十六夜組の武闘派、「切り上げの月城」と激突。激しい死闘の末、散っていったんだ。
「鬼龍の兄貴・・・畜生・・・!」
「辰巳、そんな泣くんじゃねぇ。みっともないぞ。こんな時こそシャキッとしとけ。その方が鬼龍も喜ぶだろ。」
そう話しかけてきたのは仙石の兄貴だ。この葬儀には組員の全員が参列した十六夜組の剣豪、飛龍と死闘を繰り広げ、超重症を負った日向の兄貴も傷を押して参列している。
「日向の兄貴、お身体は大丈夫でしょうか。」
「当たり前だ。この程度、怪我じゃねぇ。それに、鬼龍とは同期なんだ。最期の顔くらい、見てやらねぇとな。」
そう、この二人は同期、共に支え合い、時に激突した戦友でもあるんだ。そんな戦友が死んだとなれば、傷を押してでも来たいのは理解できる。そして別の場所でも怒りを爆発させている者がいた。それが意外にも轟の兄貴だ。
「辰巳ぃ。これやったの誰だ。今すぐ調べて情報上げろ。」
「し、承知いたしました。」(う・・・お、やべぇ。この感じ、マジでやばいぞ・・・!)
そして葬儀が終わり、俺たちは帰路へつく。そんなとき、俺は親っさんに呼び出される。
「親っさん、どういったご用件でしょうか。」
「辰巳、この抗争、両組織死者が多数出ていることは知っているな?」
「はい、存じ上げております。」
「俺はな、この抗争をそろそろ終わらせてもいいのではないかと考えている。中心人物だけで言えば夏目に鬼龍、舎弟衆も多く死んだ。これ以上戦火を広げてはならん気がしているのだ。だが、もし十六夜組が引かんというならば、どちらかが消えるまでやるしかない。」
「はい、確かにこの抗争、神楽地区の利権問題は解決するためとためとはいえ、少々戦火広がりすぎに思えますね。これ以上進行すればいずれは幹部クラスのタマの取り合いになるかもしれません。」
「だが、この話はまだ保留だ。こっちは二人もやられてる。その仇は取らねばならない。極道はイモ引いたらおしまいなんだよ。」
「はい、理解しております。それでは、まずは敵討ちということでよろしいですか?」
「あぁ、しばらくはその方針で行こう。」
「承知いたしました。」
そんな会話がありつつ、その足で俺は情報屋の元へ向かう。
「有馬、いつもすまねぇな。戦争中に。」
「いいや?さすがに水無瀬組からの情報依頼は断れないさ。」
「で、頼んでた情報、取れたか?」
「もちろん・・・と言いたいところだが、今回は少々難しくてねぇ。残念だが、その情報自体は取れてない。すまないな。」
「いいや、戦争中だからな。向こうも厳戒態勢だろう。」
「一応取れた情報はあるんだが、聞いていくかい?」
「当たり前だ。聞かせてくれ。」
「水無瀬組が血眼になって探してる鮫島、それと最高戦力の一人の龍神が近日中に神楽に入るそうだよ。」
「まじか?それだけ分かれば十分だ。ありがとよ。報酬は弾む。」
「旦那、どうかお気をつけて。」
「あぁ。」
そう言って俺はその場を立ち去り、組事務所へ戻り、兄貴たちへ報告する。
「仙石の兄貴、轟の兄貴、情報屋から仕入れた情報です。近日中に鮫島と龍神が神楽に入ると・・・。」
「そうか、じゃあ俺たちが動くか、轟。」
「そうだねぇ。あいつらは全員鉄パイプで破壊してやる。」
二人はそれを聞いた直後に動き始める。この二人は組内最強格、この二人が動くことはすなわち血の雨が降ることと同義だ。
そしてついにこの抗争は佳境へ向かっていくことになる・・・・
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